
【助産師監修】赤ちゃんの指しゃぶりはやめさせた方がいいの?
指しゃぶりはいつからするの?
赤ちゃんが指しゃぶりを始めるのは産まれてからではなく、実はママのお腹の中にいるときから行っている自然な行為です。
これは、口の周りに触れたものの方へ口をむける反射(探索反射)と、口の中に入れたものを吸う反射(吸てつ反射)が胎児のときから備わっているためです。この反射によって手が口の周りに触れるとそれを吸う「指しゃぶり」がおこります。
指しゃぶりには意味がある!
赤ちゃんは、胎児のときはへその緒を通じてママから栄養をもらっていますが、産まれたあとは自分でおっぱいを吸って母乳を飲まなくてはいけません。
そのため、ママのお腹の中で探索反射と吸てつ反射を使って指しゃぶりをすることは、産まれたあとにおっぱいを探して吸えるようにする練習の意味があります。
また、生後5~6か月になると離乳食が始まります。このころの赤ちゃんは指しゃぶりをしたりおもちゃを口に入れることで、離乳食という母乳やミルク以外のものの味や固さを覚える準備をしています。
このように、赤ちゃんの指しゃぶりには大切な意味があるのです。
指しゃぶりは心地よいものでもある
口は敏感な場所です。指しゃぶりをして口に刺激を与えることは、上記の意味を持つ以外に、赤ちゃんにとって楽しく心地よいものでもあります。
そのため眠くなったり退屈になったときに、自然に指をしゃぶる様子がよくみられます。
指しゃぶりは赤ちゃんにとっておっぱいを吸ったり離乳食を食べるために必要であるだけではなく、心地よい行為だという面もあるということを認識しておきましょう。
指しゃぶりはいつまで続けて大丈夫?
一般的に指しゃぶりは3歳くらいまでに自然に減っていきます。
指しゃぶりをしていると歯並びが悪くなってしまうのではと心配する人がいますが、日本小児歯科学会(参考)では3歳頃までは特にやめさせなくてよいとされているため、この頃までの指しゃぶりは過度に心配せずにおおらかに見守ってあげましょう。
4歳以降も頻繁に続くようであれば、小児科医や小児歯科医に相談してみるのもよいでしょう。
指しゃぶりで気をつけたいことは?
3歳までの指しゃぶりは無理にやめさせる必要はありませんが、指しゃぶりに執着が強くなり、4歳以降もやめられないような頑固な癖とならないように気をつけたいことがあります。
前述したように、眠いときなどに自然と指しゃぶりをするのは普通のことです。
しかし、充分に寝たあとの遊びの時間にも頻繁に指しゃぶりをしている様子がみられるのなら、指しゃぶりが過度な癖になってしまっているかもしれません。
指しゃぶりは心地よい刺激でもあるため、退屈であったり気持ちが不安であると行ってしまいやすくなります。
そんな時は楽しくできる遊びに誘ったり、外出をして指しゃぶりから気をそらすように促してあげましょう。
特に2歳ごろはイヤイヤ期といわれ、育児を大変に感じやすい時期です。
指をしゃぶっているときは子どもが静かであるため、子育てに疲れていたり煩わしさを感じていると、つい無意識に「指しゃぶりをしていてくれたらいいのに」と考えてしまうこともあるかもしれません。しかし、それが子どもへ伝わり「指をしゃぶっている時間はママの機嫌がいい」と学んでしまうと、指しゃぶりへの執着が増す原因になる可能性があります。
3歳までの指しゃぶりは積極的にやめさせる必要はないものの、頻度がだんだんと減っていき自然にやめていけるよう工夫をしていくとよいでしょう。
赤ちゃんの指しゃぶりは心配しなくて大丈夫
赤ちゃんが指しゃぶりをするのは自然な行動です。3歳になるまでは、歯並びが悪くなる?甘えん坊にならないようやめさせるべき?なにか心の問題があるのでは?などと心配しなくて大丈夫です。
成長や発達には個人差があるように、指しゃぶりも全くしない子もいればよくする子もいたりとそれぞれです。これもわが子の個性ととらえて、強固な癖にならないようにだけ気をつけながら、自然に卒業していくのを焦らずおおらかな気持ちで見守っていきましょう。
参考:公益社団法人 日本小児歯科学会、「こどもたちの口と歯の質問箱『Q1. 指しゃぶりをします。どうすればよいですか?』」 、2019年11月14日閲覧
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