双子、三つ子、 多胎妊娠、気をつけることって?
不妊治療の普及で多胎妊娠は増加
ひとりの赤ちゃんを妊娠することを「単胎妊娠」というのに対し、一度に二人以上の赤ちゃんを妊娠することを「多胎妊娠」といいます。日本では不妊治療が本格的に普及し始めたことにより、多胎出産が増加してきました。多胎妊娠が判明するのは妊娠5〜6週ごろ。超音波検査で子宮内に胎嚢が2つ以上見えるか、ひとつの胎嚢に2つ以上の胎児が確認できたら、多胎妊娠を確定します。
多胎の中でも最も多いのは双子。双子には一卵性と二卵性があります。一卵性はひとつの受精卵が2つに分かれて育つため、二人は同じ遺伝子を持ち、顔や体つきがよく似ているのが特徴。一方、二卵性は、一度に2つの卵子が受精して起こります。そのため、異なる遺伝子を持ち、外見はきょうだい程度の差があります。
多胎の妊娠でも、初期のママのおなかの大きさは単胎妊娠とほぼ変わりません。しかし、妊娠6カ月ごろから急におなかが大きくなり出し、妊娠8カ月ごろには単胎妊娠のときの臨月と同じくらいになります。ママの体重は13〜15㎏程度増えることが多いようです。
トラブルを抱えやすいので早期発見を
多胎妊娠は、単胎に比べてトラブルを抱えやすく、切迫流・早産や、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群の確率も高くなります。妊娠経過によっては、妊娠28〜30週くらいから管理入院をすすめられることもあるでしょう。
また、双子の「一絨毛膜性双胎」には注意が必要。双子には、ひとつの胎盤を共有している一絨毛膜性双胎と、別々の胎盤を持っている二絨毛膜性双胎があります。二絨毛膜性双胎はそれぞれの胎盤から栄養や酸素が供給されますが、一絨毛膜性双胎はひとつの胎盤から栄養を分け合っています。そのため、どちらかが栄養を奪い取ってしまうことがあるのです。栄養の配給が偏ると片方の赤ちゃんの発育が進まず、危険な状態になりかねません。特に一絨毛膜性双胎は健診回数を増やし、注意深く経過を見ていきます。
多くの場合、お産は予定帝王切開になります。しかし、母子の状態が安定していれば、正期産で経膣分娩することも可能なので、医師とよく相談しましょう。
みんなの体験談 多胎妊娠、どうだった?
- できるだけ近い病院で出産するのがおすすめ
初回の健診(妊娠6週)で多胎と判明。健診4回目から産科と新生児科がある「周産期センター」に転院しました。多胎は管理入院や赤ちゃんが入院する可能性が高いので、できるだけ自宅から近い病院を探し、紹介状を書いてもらいました。多胎妊娠は無理に運動をせず、安静に過ごすのが一番です。(まきの)
- 育児を手伝ってくれる人を探して
多胎は単胎妊娠以上に妊娠中から気を使うので、大変なことも多いです。しかし、それ以上に、出産後が大変。ひとりでいきなり二人のお世話をするのは精神的にも肉体的にもつらいです。できるだけ、育児を手伝ってくれる人を探しておいたほうがいいですよ。(くればのとも)
新星出版社/©かつまたひろこ
周囲の協力を得て妊娠・育児を楽しもう
単胎妊娠でもはじめての出産は不安が大きいもの。一度に二人以上の出産・育児となると、不安や負担はさらに大きくなるでしょう。それらを軽減するためにも、まわりの協力は大切です。事前に家族としっかり話し合っておきましょう。まわりに多胎の妊娠・出産をした人がいない場合は、インターネットなどで多胎妊娠中のママ仲間を探すのもおすすめ。同じ悩みや不安を抱える妊婦さんや、双子の妊娠・出産を乗り越えた先輩ママもたくさんいます。心配なことがあれば相談したり、情報交換ができるので心強いですよ。
ベビーグッズは徐々に買い足せばOK
また、赤ちゃんの人数によって気になるのがベビーグッズの数。必ずしもすべて人数分をそろえなければならないわけではありません。ベビーベッドや布団も、最初のころはひとつに二人寝かせられます。最低限のものを用意して、足りなければ徐々に買い足していけば大丈夫です。
出産後はお出かけも大変です。近所のお出かけなら、双子用のベビーカーを活用するとよいでしょう。最近では赤ちゃんが横に並んで座る横型タイプや、前後に座らせる縦型ベビーカーなど、便利なものが出ています。
多胎妊娠の種類
一卵性
受精卵はひとつで、分裂を繰り返す過程で2つに分離します。もともと同じ受精卵なので二人の顔立ちや体型が似ています。
〈一絨毛膜一羊膜性〉
胎盤と羊膜がひとつずつ。二人が同じ部屋にいる状態。妊娠経過中にお互いのへその緒(臍帯)が絡んで、血液の流れを遮断する危険性もあります。
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〈一絨毛膜二羊膜性〉
胎盤がひとつ、羊膜が2つ。片方の赤ちゃんの血液がもう片方の赤ちゃんの血液に流れ込んでしまう「双胎間輸血症候群」という状態になることも。
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二卵性
受精卵は別々。それぞれ違う遺伝子を持っているので、顔立ちや、性別が違うことがあります。
〈二絨毛膜二羊膜性(癒合胎盤)〉
胎盤は2つあるものの、妊娠が進んでいくと2つがくっつき、見かけ上ひとつの胎盤になったタイプ。血液循環と栄養は二人それぞれ独立しています。
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〈二絨毛膜二羊膜性(分離胎盤)〉
胎盤と羊膜が2つずつ。胎盤循環が分離されているため片方の赤ちゃんに何かあった場合でも、もう片方の赤ちゃんに影響が及びにくいタイプ。
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※一卵性でも、受精卵が早期に2つに分かれると胎盤が2つの二絨毛膜二羊膜性になります。
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