【小児科医監修】いざというときに知っておくべき応急手当て
いざというときのために、応急処置のやり方を確認しておきましょう。
いざというときのために、応急処置のやり方を確認しておきましょう。
事故が起きたときのために 応急手当てを知っておこう
乳児死亡の原因は、家庭内での不慮の事故が、0歳で3位、1〜4歳で2位(「2018年人口動態統計」より)と上位で、残念ながらこの傾向は、長年にわたって変わりません。不慮の事故で亡くなる乳児は多いです。
家庭内の事故の多くは、事前に防げます。家庭内の危険な箇所を知り、対策をすることが第一です。さらに、応急手当てのやり方を知っておきましょう。とくに多い誤飲、おぼれる、頭を打つ、やけどについては、応急手当てを確認しておくと、あわてずに対応できます。
目の前の子どもを救うことができるのは、その場にいるママとパパです。事故が起きたとき、すぐに応急手当てをとれるようにしておきましょう。
1~4歳に多い不慮の事故 誤飲
4㎝以下の大きさは危険
東京都の調査によると、1~4歳児の場合、転倒に次ぐ救急搬送理由の2位が異物誤飲。直径4㎝以下のものは誤飲の可能性があり危険です。手先が器用になると、キャップや箱のふたが開けられるようになります。洗剤類やアルコールは、誤飲すると大変危険です。とくに危険なのはタバコ。約1本が致死量です。たとえ少量でもすぐ病院へ。誤飲のケアは、うつぶせにして肩甲骨の間を強く4~5回すばやくたたいて吐かせること。ただし、揮発性のものや強酸性のものは、吐かせるとかえって危険なので注意して。
病院へいく目安
□ 吐かせても出てこない
□ 顔色が悪い
□ 声が出せない
□ 呼吸がない。苦しそう
□ 意識がない
こしたかのりこ
大至急病院へ 吐かせると危険なもの
- 揮発性のあるもの(マニキュア、灯油、ガソリンなど)
- 強酸性のもの(漂白剤、トイレ・お風呂用洗剤など)
- 電流の流れるもの(ボタン電池)、画びょう、針など
溺死事故の8割は浴槽 おぼれた
水深10㎝でもおぼれる
赤ちゃんは水深10㎝でおぼれる危険があるので、お風呂場だけでなく、トイレや洗濯機にも注意。2歳未満の溺死事故の約8割は浴槽で起きていますが、意識があり、すぐ大泣きすれば心配ありません。着替えさせ、体を温めながらしばらく様子を見ます。機嫌が悪い、顔色が悪い、水をたくさん飲んだときはすぐに病院へ。意識がない、呼吸をしていないときはすぐに救急車を呼び、心肺蘇生を行います。機会を見つけて救命法の講習を受けておくとよいでしょう。
病院へいく目安
□ 名前を呼んでも反応しない
□ 意識がない
□ 呼吸がない。苦しそう
□ ぐったりしている
□ 嘔吐をくり返す
こしたかのりこ
事故発生まで0.5秒 転んで頭を打った
意識障害がないか確認
頭を打ったあと、意識がない、ウトウトしている、何度も吐く、けいれんを起こした、耳や鼻から血が出ているなどのときは緊急事態です。すぐ救急車を呼びます。意識があり、すぐに大声で泣いたり、その後機嫌もよく食欲があれば心配はありません。しかし、その後意識障害を起こす可能性も考え、なるべく静かに過ごし、入浴も控えましょう。1~2日は様子を見て、反応がおかしいなど、心配な様子があれば脳外科を受診します。頭をけがして血が出た場合は、止血が第一。清潔なガーゼなどを当て、手のひらで5~10分間しっかり圧迫して止血をしながら、すぐに病院へ行きましょう。
病院へいく目安
□ 名前を呼んでも反応しない
□ けいれんしている
□ 出血が多い、止まらない
□ 顔色がまっ青
□ 傷口が深い
□ 嘔吐する
こしたかのりこ
1歳以上に多い事故 やけどした
皮膚はデリケートで重症化しやすい
まずは流水で冷やすのが基本。顔など水をかけられない部分は、冷やしたタオルを当てます。赤ちゃんは皮膚が薄く、重症化しやすいので注意が必要です。やけどの大きさが10円玉大までの範囲で、少し赤くなった程度なら冷やしたあと翌日に受診を。水ぶくれになったり、赤ちゃんの手のひら大の範囲や皮膚が白や黒に変色していたら、冷やした後すぐに受診します。それ以上の広い範囲の場合は緊急事態。衣服は脱がせず、濡れたバスタオルなどで体を包んで救急車で病院へ。
病院へいく目安
□ 広い範囲をやけどした
□ 水ぶくれができた
□ 低温やけどした
□ 顔・頭・性器をやけどした
□ 皮膚が変色している
こしたかのりこ
やっておきたい対策
- 赤ちゃんの手の届く低い場所に湯気の出るものや熱いものを置かない
- 温風ヒーターを床に置かない。置く場合は囲いをして、赤ちゃんが触れないようにする
- ママやパパが抱っこしたまま熱いものを飲まない
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