トモニテ
赤ちゃんの頭

【小児科医監修】乳児脂漏性湿疹(にゅうじしろうせいしっしん)

皮脂がかたまってできる湿疹。
【主な症状】湿疹
皮脂がかたまってできる湿疹。
【主な症状】湿疹

【症状】頭皮や髪の生え際にかさぶた状の湿疹ができる

赤ちゃんの頭皮やまゆ毛、髪の生え際などにできる、黄色っぽいかさぶた状のものを乳児脂漏性湿疹(にゅうじしろうせいしっしん)と呼んでいます。

ベタベタとしたかさぶた

触るとベタベタしていて、かさぶたの下には赤い湿疹ができています。かゆみはあまりありません。

このベタベタしたかさぶたをそのままにしておくと、厚みを増し、洗っても落ちにくくなります。さらに悪化すると炎症を起こしてただれてきます。

同じ症状は、頭や顔だけでなく、わきの下、おへそのまわり、またの内側などに見られることがあります。

ママからのホルモンの影響

生まれたばかりの赤ちゃんは、ママからもらった性ホルモンが残っていて、皮脂の分泌が多いのです。これが汚れと混ざってかたまり、かさぶたのようになって皮膚にこびりつくのが原因です。髪の毛の生え際や、額からまゆにかけては特に皮脂腺が多いため、このような湿疹ができやすくなります。

しかし、皮脂の過剰な分泌は、生後2〜3か月ごろには治まってきます。それに伴って、乳児脂漏性湿疹もしだいに見られなくなります。

【治療】ふやかしてからやさしく洗って取る

かさぶた状の皮脂のかたまりは、無理にはがそうとしないように。無理にはがすと、頭皮を傷めたり髪の毛が抜けてしまったりします。次のような方法でケアしてあげましょう。

ベビーオイルでふやかす

入浴前にベビーオイルをかさぶたの部分にぬって30分くらいおき、ふやけてやわらかくなってからおふろで取るようにすると、うまくいきます。オリーブオイル、ワセリン、亜鉛華単軟膏などを使ってもほぼ同じ効果があります。

頭皮は石けんでやさしく洗う

頭皮を洗うときは、石けんをつけ、指の腹でやさしく洗いましょう。ベビーオイルの湿布でふやけた皮脂のかさぶたは比較的取れやすくなっていますが、無理やりはがそうとつめを立ててはいけません。頭皮を傷つける結果になってしまいます。なでるようにするのがコツ。

かさぶた状になった皮脂は、一度で全部取りきるのは難しいでしょう。毎日続けてケアをしていくことで少しずつ取れていきますから、根気よくケアを続けていくことが大切です。

よくならないときは受診

乳児脂漏性湿疹は、スキンケアを続けていれば3〜4週間で治ることがほとんどです。しかし、ケアをしていてもなかなか治らない、よくなったり悪くなったりを繰り返す、いやなにおいがする、かさぶた状の皮脂が厚くなってきて、いくら洗っても落ちない、などの症状が見られるときは、小児科か皮膚科を受診して治療しましょう。

大泉門もしっかりていねいに洗う

赤ちゃんは新陳代謝がさかんです。そのうえ、低月齢の時期は皮脂の分泌が多いので、さらに肌が汚れやすいのです。それが乳児脂漏性湿疹をはじめ、肌トラブルの原因になるので、ていねいなスキンケアが欠かせません。

この時期は、大泉門(頭部の前面にある、頭の接ぎ目の部分)がまだ閉じておらず、触るとペコペコしていてやわらかいので、怖くて赤ちゃんの頭を洗えないというママもいるようです。頭の湿疹が気になってもきちんと洗わないままにすると、乳児脂漏性湿疹をつくる原因になってしまいます。

しかし、しっかり洗わないと乳児脂漏性湿疹はなかなかよくなりません。ふつうに頭を洗って大泉門が傷ついたりすることはないので、安心してください。おふろに入ったときに頭皮や髪の毛の生え際、額などをていねいに洗うことが乳児脂漏性湿疹のケアになり、予防にもなるのです。

写真提供:ゲッティイメージズ

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