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赤ちゃんが病院で受けることの多い検査

【小児科医監修】赤ちゃんが病院で受けることの多い検査

病気の有無や種類を調べるために、赤ちゃんや子どもでも検査が必要になることがあります。
病気の有無や種類を調べるために、赤ちゃんや子どもでも検査が必要になることがあります。

血液検査

全身状態がわかるのでよく行われる検査

血液は、全身状態がわかるデータの宝庫。それだけに血液検査は、よく行われる検査です。血液中の成分を多角的に調べることで、さまざまな情報が得られます。赤ちゃんや子どもの検査では、細菌やウイルスの感染による病気が疑われるときや、アレルゲンの種類や反応の強さを調べるときなどに行います。貧血や肝臓、腎臓の働き、ホルモンの量なども調べることができます。

検査では、腕の静脈に注射針を刺して、1~10㎖ほどを採血します。動くと危険なため、赤ちゃんの場合はベッドに寝かせて採血します。検査結果が出るまでには、数日から1週間ぐらいかかります。

主にわかること

●血液成分の異常

貧血:赤血球やヘモグロビン(血色素)などの量が少ない。

細菌感染症:細菌に感染していると白血球の数が増える。

体内の炎症の有無:CRP(血液中のたんぱく質)などで、体内の炎症の有無や度合いがわかる。炎症が強いと値が高い。

●抗体の有無

インフルエンザや風疹、百日ぜきなど、ウイルスや細菌による感染症にかかったかどうかがわかる。

●アレルゲンの有無

血液中の抗体(免疫グロブリンE)の有無で、食物アレルギーや気管支喘息の原因となるアレルゲンを特定できる。

●血液の化学的成分の異常

たんぱく質、糖質、酵素、脂質などの成分の数値を調べることで、肝臓や腎臓などの病気がわかる。

●内分泌の異常

ホルモンの量を測定することで、低身長(成長ホルモンの異常)やバセドウ病(甲状腺ホルモンの異常)などがわかる。

赤ちゃんの血液型の検査

  • 手術などの場合は必ず検査

    赤ちゃんや子どもの血液型の判定が必要になるのは、病気や手術、輸血などの場合ですが、それ以外には必ずしも検査の必要はありません。念のため判定しておきたいときには、かかりつけの小児科医に相談しましょう。検査は自費になり、5000円前後かかることが多いようです。
  • 正確な判定は生後1か月過ぎから

    血液型の検査では、ABO式とRh式が一般的です。かかとや耳たぶからほんの少量の血液をとるだけで短時間に判定できます。ただ出産直後の検査の場合、ABO式血液型の検査では、まれに不正確な結果が出ることがあります。赤ちゃんが生後1か月を過ぎれば、正確な検査ができます。

便検査

色や形状がおかしいときは成分をくわしく調べる

主に消化管の異常や細菌・ウイルス感染が疑われる場合に行われるのが、便検査です。便の色、形、においなどのほか、潜血反応、細菌・ウイルスの有無を調べます。

病院では、浣腸を使って採便したり、肛門採便といって肛門から綿棒で便をとる場合もあります。家でとる場合は、病院から指定された容器に便を入れます。赤ちゃんの場合は、おむつごと持って行く場合もあります。

主にわかること

●血便の有無
便に血液が混じる血便が見られた場合は、胃・十二指腸潰瘍や腸重積症などの消化管の疾患や、肛門の傷などが疑われる。胃や十二指腸のように腹部の上部にある消化管からの出血は黒っぽい便になり、腸や肛門など腹部の下部の消化管からの出血は赤っぽい便になる傾向がある。

●菌やウイルスの特定
激しい下痢が続き細菌やウイルスによる腸炎の疑いがある場合は、細菌培養検査やウイルス検査が行われる。サルモネラ菌、カンピロバクター菌、病原性大腸菌(Oー157)、ロタウイルス、ノロウイルスなど、種類を特定できる。

X線検査

X線の性質を利用して部位の状態や形態を調べる

体を透過するX線(レントゲン線)を必要部位に照射してフィルムに撮影し、状態や形態を調べる検査です。胸部や腹部、腎臓・尿路系、股関節脱臼や骨折の有無など、全身が対象になります。そのまま撮影する単純X線撮影と、映りにくい部分・機能を見るために特定の造影剤(バリウムやヨード)を体に投与してから撮影するX線造影撮影に分かれます。

調べる部位によって、寝かせたりお座りさせたりします。動くと撮影できないので、X線技師が付き添います。撮影は痛みもなく短時間ですみ、放射線の被曝量もごくわずかです。

心電図検査

心臓の働きを波形にして調べる

心臓の筋肉が収縮するときに流れる微弱な電流を波形で表したものが心電図です。心臓の働きを調べるための検査で、心臓の超音波検査とあわせて行われます。不整脈がある、心雑音がある、チアノーゼが出ているなど、心臓病が考えられる場合に行います。不整脈などは、小さい心電計で24時間検査することもあります。

検査は、上半身裸になってベッドにあおむけの状態で行われます。胸部、手首、足首に電極をつけ5~10分ぐらいじっとします。赤ちゃんや子どもは動いてしまうので、催眠剤で眠らせてから検査することもあります。

尿検査

尿の成分の変化から体調を見る

高熱が続いて尿路感染症や腎炎などが疑われるときに行います。まだおしっこを教えられない赤ちゃんの場合は、尿をとるための「採尿パック」を体につけて、おしっこが出るのを待ちます。検査には、2~3㎖の尿があれば十分です。

成分の変化から、主に次の病気かどうかがわかります。
●白血球の有無:尿路感染症など。
●血尿の有無:腎炎、出血性膀胱炎など。
●ケトン体の異常:脱水症の有無。
●尿たんぱくの有無:ネフローゼ、腎炎、尿路感染症など。
●尿糖の有無:糖尿病、腎性糖尿など。

CT・MRI検査

体の中の構造を細部まで映し出す検査

頭蓋骨や脳内など、外から見ただけではわからない臓器・器官の状態が詳細にわかる検査です。てんかん、脳腫瘍、頭蓋内出血の疑いがあるときや、胸部、腹部の形状や腫瘍などを調べるときに行われます。体の部位に合わせて、CT検査かMRI検査かを選びます。
●CT検査(コンピュータ断層撮影法)
X線を用いた断層撮影。体に1㎝きざみぐらいにX線を照射し、横断面をスライスした形に画像化する。
●MRI検査(磁気共鳴画像診断法)
強力な磁気を当て、5㎜から1㎝間隔で体を立体的に輪切りやたて割りなど、さまざまな方向から撮影。それを、画像化する検査。

超音波検査

無害で苦痛もないのでよく行われる検査

人には聞き取れない高周波の音(超音波)を体に向けて発信し、その反射をキャッチして画像化したものです。各器官の病変の有無や臓器の形状、位置などがわかります。無害で苦痛もないので、よく行われる検査です。

検査は、超音波を通しやすくするために検査部位にゼリーをぬり、プローブ(超音波発信器)を当てて動かします。画像はテレビモニターに映し出されます。赤ちゃんは催眠剤で眠らせて行うこともあります。

心臓病が疑われる場合や、川崎病の定期的な検査、幽門狭窄症や腸重積症など、腹部の病気などのときに行われる検査です。

脳波検査

脳波によって脳の働きを調べる

脳が発する微弱な電流を波形で表したものが脳波です。けいれんを起こしたり、熱性けいれんを繰り返したりするときに、てんかんを疑って検査します。てんかんの場合、てんかん特有の波が現れるので、診断がつきます。また、脳炎や脳腫瘍、頭蓋内出血が考えられるときにも、診断のために脳波検査をするケースがあります。

検査では、頭皮に十数個の電極をつけて、20~40分ぐらい安静にします。赤ちゃんや子どもの場合は、看護師や親が抱いたまま検査することもあります。安静にしていられない場合は、催眠剤で眠らせることもあります。その場合は、睡眠時の脳波を検査します。

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