【専門家監修】赤ちゃんの喃語はいつから?喃語が遅い時の対応法と成長を促す関わり方
赤ちゃんの喃語とは?
喃語とは、一般的には乳児の言葉になる前の意味のない音声と言われています。
誕生したての赤ちゃんは泣き声しか出しませんが、生後6~8週間くらいすると「ウー」や「アー」といった音を発するようになります。
これは喃語の前の段階で、一般的に「クーイング」(cooing)と呼ばれています。クーイング自体は意味を持たず、赤ちゃんは自分で、音の出し方を確かめたり、音を出して楽しんでいると言われています。
その後、3か月頃を過ぎると「ブー」や「ダ―」と舌を使って子音が含まれる音も徐々に発するようになります。
そして6か月くらいになると「ダァダァ」「マンマン」など、音を連続させるようになり、これが喃語と言われるものです。口や舌を使って、二つ以上の音が重なり、母語の音素を多く含んだ音節からなっています。
喃語は最初は意味がなく、赤ちゃんは違った音声を出すことで、それを楽しんでいると言われています。
しかし8か月を過ぎると、かなりはっきりとした音で「マンマ」「バブバブ」と重ね、かなり母語の音韻体系に沿った喃語を発するようになってきます。
この頃より「指さし」もそろそろ始まり、意志を伝える手段として使うようになってくるでしょう。
そして1歳前後で、身近な単語や一語文を話し始め、1歳6か月くらいには2つの単語を組み合わせる2語文、「ワンワン キタ」「ブーブー ココ」「ボール ポーン」などに繋がっていきます。
このように喃語は赤ちゃんが母語を獲得する前段階なのですが、その発達過程は個人差が大きく、月齢はあくまでも目安として考えてください。
喃語を話し始めた時の健やかな成長を促す対応法
喃語は、言葉を話すようになる前のとても大切な発達過程のひとつなのですが、意味もなくただ音を発しているだけのようにも感じますね。
赤ちゃんは発声の練習として、どのように舌や喉や口や筋肉を動かせば音が出るのか試しながら、「言葉」が意志を伝えるコミュケーションの手段であることも学んでいる時期です。赤ちゃんが喃語を話している時は、できるだけ応えてあげましょう。
「うんうん、そうね」
「どうしたの?」
「ご機嫌ね」
など、その都度、親なりの解釈で、返事をしてあげればよいでしょう。
このときのポイントは「笑顔」で語りかけるように接することです。
喃語を話し始めない場合
3か月を過ぎ6か月近くになっても、喃語らしいものを発さない場合、親としては心配になってくることもあるかもしれませんね。
喃語が出ない主な原因と対応法を次にお伝えします。
原因1 身体発育の未熟
発声には、喉や舌、あご、骨格などの発育が影響を及ぼします。身体的発育が未熟であるという理由から、喃語が出にくいこともあります。
原因2 聴覚の問題
赤ちゃんは、お腹の中にいる時から、お母さんの声を聞いています。耳の機能は、胎児の時にでき、その後、生活音や人の声、そして自分の発した音を聞き取りながら、言葉の発達が促されていきます。喃語があまり出ない場合、聴覚に何らかの問題がある可能性も。
原因3 快いコミュニケーションの不足
赤ちゃんは、言葉の意味が理解できず、大人の語りかけも分からないと思われがちですが、実は、敏感に言語以外のコミュニケーションを感じ取っています。相手の表情であったり、声のトーン、口調などから、自分にとって快いコミュニケーションか、そうでないかしっかり判断しています。
そのため快いやり取りが少なければ、コミュニケーションを自発的に取ろうとする気持ちもあまり湧かず、喃語が出にくいこともあるでしょう。
原因4 表出性言語障害などの発達の遅れ
言葉の理解は正しくされているのにも関わらず、それを使う能力が遅れていることがあります。この場合、使う能力が一定の水準に達すれば、一気に話し出すと言われています。
ほかに、先天的な発達障害や自閉症スペクトラムなどの症状のひとつとして、喃語を含む言葉の発達の遅れがあります。
しかし、喃語や言葉が遅いだけで発達障害と決めるのはよくありません。
先にも述べていますが個人差が大きいので、この時期は専門機関でも「経過観察」と言われることが多いでしょう。
喃語を引き出す親の関わり方
ステップ1 正しく発達を知る
まずは、親が赤ちゃんの発達や発育について正しく知りましょう。
さまざまな情報があふれているために不安になったりすることもあるかもしれませんが、発達や発育の個人差は大きいので焦らず対応しましょう。
ステップ2 笑顔で話しかける
笑顔で話しかけましょう。
優しい声のトーンでゆっくり、目線を合わせて語りかけ、赤ちゃんが発した声にはできるだけ返答をしてあげましょう。
ステップ3 専門機関に相談する
それでも不安があるようでしたら、専門機関に相談してみましょう。かかりつけの小児科や保健センター、また乳幼児健診のときに相談してみるのもよいでしょう。
生活全体に働きかけ、おおらかに関わりましょう
もし喃語が遅いと感じた場合、「言葉」だけに焦点を当てて考えるのではなく、身体面、情緒面、コミュニケーション面など総合的に見て、生活全体の関わりに働きかけていくことを考えましょう。
そしてお母さんは焦らずおおらかに受けとめ、笑顔で赤ちゃんに接することが最も大切です。
参考:
- 東京女子大学言語文化研究 星山由布、「子どもの言語発達に関する研究」、2012年
- 発達科学教育センター 田中規子ら、「発達初期の理解語彙の獲得(Ⅲ)」、 2004年
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