【助産師監修】赤ちゃんにおっぱいを噛まれて痛い!噛む理由と対処法
おっぱいを噛む理由は?
産まれたばかりの赤ちゃんは、口の中におっぱいではなくママの指を入れてもちゅうちゅうと吸います。これは「吸啜(きゅうてつ)反射」という赤ちゃん特有の反射によるものです。授乳というのは最初、「口に入ったものを吸う」という反射によって行われているため、おっぱいを噛まれるということはありません。
ところが、成長にともないこの反射がだんだんと薄れてくると、反射ではなく「赤ちゃん自身の意思」によっておっぱいを吸うようになってきます。そのため、遊び飲みやおっぱいを噛むという行動が見られるようになります。赤ちゃんが急に噛むようになったら、このような理由が背景にあります。
ママにとっておっぱいを噛まれるというのは痛くて苦痛なものですが、赤ちゃんの成長の表れともいえるでしょう。
噛まれないための対処法
母乳を飲んでいる時の赤ちゃんの舌は歯茎を超えて前に出ているため、しっかりと飲んでいるときに噛まれることはありません。
赤ちゃんが浅くくわえて飲んでいたり、飲むのを中断しているときに注意をすることがポイントになります。
おっぱいを深くくわえさせる
おっぱいのくわえ方が浅いと、母乳の出てくる量が少なくなるため授乳時間が長くなり、遊び飲みや噛まれる原因になってしまいます。
授乳のときはおっぱいを深くくわえさせることで母乳が出てきやすいようにし、赤ちゃんが適切な時間で集中して飲めるように促しましょう。
噛まれそうになるタイミングを観察する
おっぱいを飲んでいるときは舌が歯茎より前にありますが、おっぱいを噛むときは舌を奥にひっこめます。これがおっぱいを噛む前兆です。
感覚をつかむのは少し難しいかもしれませんが、赤ちゃんの様子をよく観察して舌をひっこめたタイミングでおっぱいから口を外したり、逆に深く咥えさせるようにおっぱいの方に近づけるとよいでしょう。(参考1)
噛まれてしまったときの対処法
低い声で落ち着いて諭す
噛まれたときはすぐに赤ちゃんの口角から指を入れておっぱいから離しましょう。そしていつもの会話とは違うということを伝えるため、低く落ち着いた声と真剣な顔で、「噛んだらだめ」と諭しましょう。この態度を一貫して続けることで、噛んではいけないと教えていくことが大切です。
注意して欲しいのは、大きい声で「痛い!」と叫んだり、激しく怒って赤ちゃんをびっくりさせないことです。
驚いたショックで赤ちゃんが母乳を飲まなくなってしまうこともあります。
噛まれる原因を考えるより、対処法で乗り切ろう!
「急に噛まれるようになった」と感じるときっかけを考えてしまいがちですが、前述したように成長に伴うものなのでママに悪い原因があるわけではありません。
「おっぱいが嫌いなのかな?」「母乳がおいしくないのかな?」と自分を責めずに、これも成長の証として前向きにとらえましょう。
噛んでしまう時期は一時的なものと考えて、工夫をして乗り切ってくださいね。
参考:
- 水野克己・水野紀子・瀬尾智子、「よくわかる母乳育児」、へるす出版、2012年
- NPO法人 日本ラクテーション・コンサルタント協会、「母乳育児支援スタンダード第2版」、医学書院、2015年
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