【助産師監修】授乳中に赤ちゃんが泣く・暴れるのはなぜ?原因と対処法
授乳中に赤ちゃんが泣いたり暴れる原因
乳首が口の奥まで入っていない
赤ちゃんは口の奥まで深くおっぱいをくわえることで、母乳をうまく吸うことができます。そのため、くわえさせ方が浅いと吸っても母乳が出てこなかったり、そもそも吸うときだという認識ができずに泣いてしまうことがあります。
おっぱいを吸わせるときは乳首の先だけではなく、乳首の付け根から2~3㎝離れた乳輪の部分まで口の中に含ませるようにしましょう。おっぱいを深くくわえることで赤ちゃんが授乳に集中しやすくなります。
お腹が空きすぎて癇癪をおこしている
「赤ちゃんが泣いたら授乳」と思っている人が多いですが、実は授乳のタイミングとしては泣いてからでは遅いことがあります。お腹が空きすぎて赤ちゃんが怒って泣いてしまうと、舌があがってしまうため乳首をうまくくわえさせにくくなってしまいます。
実は授乳のベストタイミングは「泣く前」。寝ている赤ちゃんがもぞもぞと動き始めたり、口元に触れた手や洋服などを吸おうと口を動かしているときがよいタイミングです。(参考1)
泣く前のタイミングで授乳をすることで、穏やかに授乳をすることができます。
母乳の分泌が少ない
出産直後は母乳がたくさん出ることはあまりありません。そのため、お腹がとても空いている赤ちゃんはおっぱいを吸っても母乳が出てこないことで泣いてしまうこともあります。
この場合も前述のように、お腹が空きすぎていないタイミングで授乳を始めることが効果的です。たとえ母乳がまだ出ていなくても、赤ちゃんに吸ってもらうことでホルモンが分泌されるため、母乳が出てきたり母乳量が増える効果が期待できます。
おっぱいは空に近くなればなるほど「もっと作ろう!」という働きがおこって母乳量が増えていくため、授乳が終わったあとに残っている分を搾乳で出すことで、なるべく空に近づけるのも母乳量を増やすためにはおすすめです。
母乳が出過ぎている
赤ちゃんが飲み込む量以上に母乳がたくさん出ている場合にも、授乳の途中でおっぱいを離して泣いてしまう原因になります。
特に、授乳をし始めて最初の射乳反射(母乳がぴゅーっと勢いよく出てくるとき)におこりやすいため、泣いておっぱいを離したときに口から母乳があふれていたり、むせている場合には出過ぎかもしれません。
この場合は、ママがうしろに寄りかかる姿勢になり、赤ちゃんをうつぶせに近い状態にして飲ませることで、飲み込みきれない過剰な母乳を口からこぼしてむせにくくすることができます。この際の注意点は、完全にうつ伏せにするのではなく、赤ちゃんの身体がやや起きた状態で鼻呼吸ができる状態で行うようにすることです。
頭を強く押されることに拒否感がある
のけぞる赤ちゃんに対して、ママがついつい赤ちゃんの頭を強く持ってしまうと、赤ちゃんが授乳という行為自体を嫌だと思ってしまうことがあると言われています。(参考2)
そんな赤ちゃんには、肌と肌とのふれあいで気持ちを落ち着かせることで授乳への拒否感をなくしてあげることがよいでしょう。
赤ちゃんが穏やかに起きているタイミングで、赤ちゃんをおむつだけの状態にして、ママの裸の胸に優しく抱っこします。乳首のモントゴメリー腺からの分泌物や母乳の匂いは赤ちゃんの「おっぱいを飲もう」という意欲を引き出す可能性があるため、その効果をうまく使って赤ちゃん自ら吸う気持ちになることを促しましょう。
急におっぱいを飲まなくなることも
生後3か月以降の赤ちゃんでは急におっぱいを飲まなくなったり、飲ませようとしても泣いて拒否するということがあります。(参考2)
この場合も、前述のような肌と肌との触れ合いが有効です。
無理に飲ませようとすると一層拒否反応をおこしてしまうことがあるため、搾乳をして母乳の分泌量が減らないようにしながら根気よく付き合うことが大切です。
赤ちゃんによっては、静かで落ち着ける場所や眠くてうとうとしているときなら飲めるという場合もあります。
無理強いはしないように気をつけながら、飲んでくれそうな場面がないかを探してみましょう。
授乳中に泣く・暴れるのには理由がある
本来、赤ちゃんはおっぱいを飲むのが好きなもの。泣いたり暴れるのには多くの場合、理由があります。
赤ちゃんやおっぱいの状態をよく観察して原因を探ることで、ママと赤ちゃんの双方にとって授乳が心地よく安心できるものになることを願っています。
参考:
- 水野克己・水野紀子・瀬尾智子、「よくわかる母乳育児」、へるす出版、2012年
- ペリネイタルケア編集委員会、「乳房ケア・母乳育児支援のすべて」、メディカ出版、2017年
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