【医師監修】授乳中に起こりやすい乳腺炎の症状は?予防はできる?
おっぱいの痛みや発熱、ひどくなると感染を起こして膿(うみ)がたまることも。
ママへの負担はとても大きく、赤ちゃんへの授乳についても悩みますよね。
今回は乳腺炎の種類や症状、予防についてお伝えします。
おっぱいの痛みや発熱、ひどくなると感染を起こして膿(うみ)がたまることも。
ママへの負担はとても大きく、赤ちゃんへの授乳についても悩みますよね。
今回は乳腺炎の種類や症状、予防についてお伝えします。
乳腺炎の種類はおもに2つ
乳腺炎には、産後数日で起こりやすい「うっ滞性乳腺炎」と、産後2〜3週間後に起こりやすい「急性化膿性乳腺炎」の2種類があります。
乳腺炎は、母乳がおっぱいの中にたまってしまうところから始まり、「うっ滞性乳腺炎」から「急性化膿性乳腺炎」、さらに炎症が大きくなってしまうと乳腺に膿(うみ)がたまる「乳腺膿瘍」へと進行します。
そのため異常に気がついたら早めに対応することで、重症化を防ぐことができます。
うっ滞性乳腺炎とは
赤ちゃんが生まれると、母乳はママのおっぱいにある乳腺で作られます。
母乳がうまく外に出ず、おっぱいにたまったままだと、おっぱいが張ってしまいます。硬くなったり痛みを感じたり、熱を持った部分が出てきます。この状態を「うつ乳」といいます。
授乳をしたり、搾乳(さくにゅう)をすることでよくなりますが、赤ちゃんが母乳を飲む量が少なかったり、乳腺の開通がうまくいかなかったりすると「うつ乳」の状態が続き、さらに痛みや硬さが強くなります。この状態を「うっ滞性乳腺炎」といい、産後3〜4日目に多くみられます。発熱することもあります。
うっ滞性乳腺炎の治療
「うっ滞性乳腺炎」の治療は何より、母乳が滞っている状態(うっ滞)を改善することです。
赤ちゃんへの授乳を行ったり、搾乳をしたりすることがよいとされています。また、おっぱいや乳頭部分のマッサージも、滞った母乳を外に出すのに有効です。
痛みが強いときには鎮痛薬(痛みを抑える薬)が処方されることもありますが、根本的な解決ではなくあくまでも補助的なものです。
細菌に感染している状態ではないので、抗菌薬(細菌を壊したり、増えるのを抑える薬)は不要です。
急性化膿性乳腺炎とは
母乳が滞ることで乳首についた細菌が逆戻りしてしまったり、乳首の部分(乳頭)が傷ついたり裂けたりして細菌が入ってしまうことがあります。そこからおっぱいにある乳腺や母乳の通り道である乳管、そのほか血管などに感染を起こした状態です。
産後2〜3週間で発症することが多く、初めて出産したママに多くみられます。
おっぱいには痛みを伴うしこりや、腫れ、赤み、熱くなるなどの炎症がみられます。
赤ちゃんに直接授乳するときも痛みを感じるでしょう。
38℃以上の発熱や寒気、だるさ、インフルエンザにかかったときような体の痛みが出ることもあります。
急性化膿性乳腺炎の治療
急性化膿性乳腺炎では抗菌薬が使われます。また、痛みや炎症を抑える薬を使うこともあります。
痛みや腫れがひどい場合は、無理に搾乳をすると炎症が広がることもあるので、状態を見ながら行います。医師や助産師に方法を教わりながら行うのがよいでしょう。
おっぱいが熱い場合、ママが心地よいと感じる程度に冷やすこともあります。
病院へ受診のタイミングは?
しこりや痛み、熱を持っているなどおっぱいに異常を感じたら母乳がうっ滞しているサインです。
ママはなるべくゆっくりと休息を取り、赤ちゃんにこまめに母乳を飲んでもらいましょう。
それでも改善しなかったり、熱が出たりする場合には無理せず医師や助産師に相談しましょう。
乳腺炎を繰り返さないためには?
乳腺炎予防のポイントは2つ。母乳がたまってしまうのを防ぐことと、乳首などからの感染を防ぐことです。
ママは休息をとろう
出産の疲労や出血、低栄養、ストレスなどが伴うとママの免疫力は低下し、細菌への感染のリスクも高くなります。
赤ちゃんのお世話や授乳で、ママは思うように休憩が取れないかもしれません。短い時間でも赤ちゃんの面倒を見てくれる人がいる場合は、なるべく息抜きや昼寝をしましょう。難しい面もありますが、地域のサポートなども活用し、なるべく周囲の協力を得て無理をしないようにしたいものです。
おっぱい部分の圧迫に注意
おっぱい部分を長い間きつく締めていると、母乳が滞ってしまい乳腺炎の原因となることがあります。
たとえば、きついブラジャーや寝ているときのおっぱいの圧迫、抱っこ紐などは影響を与える可能性があります。なるべく締め付けの少ない下着を選んだり、長時間同じ場所を圧迫する姿勢は避けましょう。
授乳方法を工夫しよう
授乳のときのママの姿勢と赤ちゃんの抱き方を確認してみましょう。
赤ちゃんが飲み残しがないような抱き方の工夫をしたり、練習してみるのもよいでしょう。
赤ちゃんがうまく乳首を口に含んだり、外せるやり方を習得することで乳頭が傷つくのを防ぐことができます。また、授乳のあと、母乳が残っているときには搾乳をするとトラブルを予防できることもあります。
うまくできないときや不安があるときには、出産した施設の母乳外来や、近くにある助産院などで専門家に相談するとよいでしょう。
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ママは赤ちゃん優先で自分のことは後回しになりがちですが、疲労やストレスも乳腺炎の原因となりえます。少しずつでも休憩を取ることが大切です。
また、症状を感じたら我慢せず、医師や助産師に相談しましょう。
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