【医師監修】産後は痔になりやすい?種類と症状、対処法は?
なぜ妊娠中や産後は痔になりやすいの?
妊娠中の血流の変化
妊娠前に鶏卵大であった子宮は、赤ちゃんがおなかで育つにつれどんどん大きくなり、個人差はありますが、出産直前には長さ30cm以上に達します。
当然重みもあるので、腸の血流が変わり(場合によっては血行が悪くなり)、痔の原因になるのです。
出産時のいきみ
出産時には、赤ちゃんを外に出すために腹圧をかけます。そのため、肛門・会陰部・産道付近すべての場所にも強い圧がかかります。
その結果、出産時に痔になりやすくなります。
また、妊娠前からもともと痔がある場合などは、出産時にいきむことで悪化することもあります。
便秘
産後は授乳するため水分が不足しやすく、便秘になりやすくなります。
硬くなった便は肛門を刺激し、血行を悪くする場合があり、このような状況が痔の原因に繋がることがあります。
産後に多い痔の種類と治療法
直腸から肛門付近は血流が豊富で、その豊富な静脈が痔のもとになる場合があります。
できる場所によって、痛みがあるかどうかや治療法などが異なりますが、出産後の痔は自然に治るケースも多いです。
内痔核(いぼ痔)
いわゆる中の痔。直腸の内側にできる、静脈のこぶのようなものです。
直腸と肛門の境目の線より内側にある場合は痛まず、中の痔は痛みを感じないケースが多いです。排便時に出血がおこることがあります。
<治療法>
静脈のこぶの大きさと、こぶが飛び出した場合に自然に戻るかどうかで治療法が変わります。
こぶが出ず、痛みが軽い場合は塗り薬や座薬で治療します。
こぶが出てしまい、戻らない場合や出血が多い場合は注射や手術を行います。
外痔核(いぼ痔)
肛門よりも外側にできる外の痔です。内痔核同様静脈のこぶですが、排便時に痛みがあることが多いです。
<治療法>
外にできた痔は、基本的に塗り薬で治療します。
切れ痔
肛門・直腸粘膜が切れている状態。出血や痛みがあります。
粘膜の修復と共に治癒することが多いです。
<治療法>
塗り薬、座薬などで治療します。
いぼ痔がこすれ、切れた粘膜に大腸の雑菌などにより炎症が起こることがあるので、温水便座で洗い、軟膏で保護します。
痔のときに家でできること
便秘の予防
まずは便秘を予防すること、いきみ過ぎないことが重要です。
食物繊維の多いものを食べ、水分をしっかり取りましょう。
肛門周りの血行をよくする
肛門周囲の血行をよくすることも大切です。
トイレのたびにお尻をお湯で洗い、同じ姿勢で座り続けないようにしましょう。
円座を使用する
円座は、ドーナツのような形をした中央に穴の開いたクッションです。
お産で入院中、病室で見たことがあるママも多いのではないでしょうか。
座ると痛い痔におすすめです。バスタオルを丸くしても代用できます。
病院にすぐにかかった方がよい場合
肛門からの出血に伴い、腹痛や吐き気がある場合
もし腸に腫瘍があり、腸が詰まれば腹痛・吐き気が起こる場合があります。産後の痔からの出血かと思っていたら、大腸がんだったというケースも。
便秘そのものでも腹痛が起こることがありますが、出血と腹痛、両方ある場合は受診しましょう。
肛門からの出血が止まらない場合
出血量が多く、止まりにくい場合はすでに手術が必要になっている可能性があるので、早めに受診しましょう。
産後の痔、何科に相談する?
「痔というと肛門科を受診しないと……」と思うかもしれませんが、そうとも限りません。
出産後の痔の場合は、まず産婦人科の診察時に、先生に相談しましょう。
また、入院中であれば、助産師さんに相談してもよいでしょう。
症状によっては、担当医から外科の先生を紹介してくれる場合もあります。
痔の治療に大切なこと
便秘をしない、いきみ過ぎないことが重要です。
食物繊維の多いものを食べ、水分をしっかり取りましょう。
また、肛門周囲の血流をよくするため、トイレのあとはお尻をお湯で洗う、同じ姿勢での座りっぱなしを避けるなどもおすすめです。
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