【医師監修】排卵痛とは?痛みの原因と対処法について
排卵痛とはどんな痛みなのか、原因や対処法などについて詳しくみてみましょう。
排卵痛とはどんな痛みなのか、原因や対処法などについて詳しくみてみましょう。
排卵痛とは
排卵痛は排卵時期に起こるおなかや腰の痛みです。チクチクした痛みが続く、おなかや腰が重い、下腹に違和感があるなど、痛みの場所や程度はさまざまです。
個人差が大きいので、まったく症状のない方もいます。通常、排卵痛は2~3日程度で治まるのが特徴です。
また、排卵痛とともに、おりものに血が混じる、異常に眠い・だるい、胸が張る、便秘、吐き気などの症状が見られることがあります。
排卵痛はなぜ起こるの?
排卵痛は排卵するときに卵胞(卵子の入った袋)が破裂し、卵巣の表面が傷つくことが原因です。「破裂」と聞くと驚かれる方もいるかもしれません。しかし、これが卵巣の正常な働きなのです。
卵巣で育った卵胞が卵巣の表面で破裂し、腹腔(おなかの中)に飛び出すことを「排卵」といいます。飛び出した卵子は、卵管の端の漏斗状になっている部分(卵管采)にキャッチされ、卵管を通って子宮に向かうようになっています。
この卵胞の破裂によって卵巣表面が傷つくと、そこから血液などの分泌物が腹腔内に流れ出して周りを刺激することがあります。これが痛みや違和感の原因です。
また、排卵前後はホルモンが大きく変化するため、自律神経も乱れやすく、便秘や吐き気などの消化器症状が出る場合があります。これらの症状によって腹痛が起こることもあります。
排卵痛、対処法はある?
痛みが続くのは辛いですよね。排卵時期に痛みがある場合の対処法をみてみましょう。
体を休める
痛みを感じている場合は、無理をせず休むことが大切です。痛みは体からの「休んで!」という信号ですので、我慢は禁物です。頼れるところは家族に頼んだり、家事も最低限にするなどしてみましょう。
セックスは控え目に
排卵後の卵巣はデリケートな状態です。排卵痛がある場合は、激しい運動は控えておきましょう。
セックスに関しても痛みが強い場合は控えることが大事です。妊娠希望が強くなければ無理しないほうが無難でしょう。
排卵後から次回の生理が始まるまでの「黄体期」という期間は、卵巣出血という病気が起こりやすい時期です。
卵巣出血は自然に止血することが多いですが、ひどくなると手術が必要になる場合も。無理はしないようにしましょう。
冷えに注意する
体の冷えは自律神経を乱します。自律神経が乱れると、体調不良や痛みなどの症状が強く出る原因になったりします。
そのため、夏場の冷房のかけすぎや、冬場の暖房の節約しすぎには注意しましょう。
また、入浴する際には、39~40℃くらいのぬるめのお湯をはり、ゆっくり湯舟に浸かるのがおすすめです。
ストレスをできるだけ溜めない
ストレスも自律神経を乱す原因のひとつです。排卵時期はホルモンの影響で自律神経が影響を受けやすい状態ですので、ストレスをできるだけ溜めずに発散することを心がけましょう。
見たかった映画や本をゆっくり楽しんだり、好きな食べ物を堪能したりして、ストレスを上手に発散しましょう。
鎮痛剤を処方してもらう
痛みが強い場合には、鎮痛剤を使って痛みを抑えるという方法もあります。ただし、排卵時期の痛みがすべて排卵痛というわけでなく、病気が隠れている可能性もあります。我慢せず、自己判断で鎮痛剤を内服し続けるのは避けましょう。
痛みが続く場合は、一度産婦人科を受診したほうが安心です。状態に合った薬を処方してもらいましょう。
こんな痛みに注意
排卵時期の痛みは、排卵痛や自律神経の乱れによるものだけではありません。排卵時に傷ついた卵巣から出血が続く卵巣出血や、気付かないうちに妊娠しており流産や異所性妊娠(子宮の内膜以外で受精卵が成長している状態)が進行している場合にも、腹痛や腰痛の症状が見られます。
痛み始めて2~3日を過ぎても痛みが続く場合や、痛みとともに出血が続く場合、痛みが強い場合には産婦人科を受診しましょう。
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排卵痛自体は生理的なものなので心配ありません。しかし、痛みが強い場合や排卵時期を過ぎても痛みが続く場合には、排卵痛ではなく子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮がんなどの婦人科疾患の可能性もあります。
1年以上婦人科検診を受けていない方は、この機会に病院で検査を受けましょう。
参考:
・医療情報科学研究所(編)、『病気がみえる vol.10 産科 第4版』、株式会社メディックメディア、2018年
・「女性の病気について 排卵時期の腰痛・性器出血 」(一般社団法人 日本女性心身医学会)、2020年10月閲覧
写真提供:ゲッティイメージズ
※当ページクレジット情報のない写真該当