【専門家監修】産休(産前産後休業)中も住民税は支払う?
住民税と産休との関係
産休中であっても住民税は原則支払います。
「産休中で収入がなければ、住民税を支払わなくてよいはず」と間違って理解している場合は、住民税と所得税を混同しているからではないでしょうか。
住民税と所得税は確かに似ています。住民税は都道府県と市区町村に納め、所得税は国に納めるという違いはありますが、どちらも所得を得たときに発生します。
ところが、所得税は所得が発生したときに課されますが、住民税は前年の所得に基づいて課されるという違いがあります。
住民税と産休の関係について解説します。
住民税は前年の所得に基づいて課される
住民税の課税方法を翌年度課税といいます。住民税の税額は、前年の1~12月の所得を基に計算します。
そのため、たとえば2021年に所得がなくても、2020年に働いて所得があれば、2021年も住民税を支払います。2021年に所得がなければ住民税は課されないのですが、それは「2022年に住民税を支払わなくてよい」というかたちになって現れます。
産休のルールと給料
産休は産前休業と産後休業に分かれており、原則、産前休業は出産予定日の6週間前から取ることが可能で、産後休業は出産日の翌日から8週間後まで取らなくてはなりません。(医師の診断次第では早められる場合もあります)
産休は国の法律である労働基準法で定めた労働条件に関する最低基準であり、企業はこのルールを守らなければなりません。ただ労働基準法は、産休中の給料について規定していません。そのため産休中、無給にする企業も、減額する企業もあります。
就業先によっては産休を取得すると、所得がなくなることもあります。これは家計にとって負担になるので、妊娠がわかったら勤務先の総務部に、産休中の給料について確認したほうがよいでしょう。
住民税分のお金を用意しておく
仮に所得がなくなっても前年に所得があれば、産休中も住民税を支払い続けなければなりません。
産前産後は支出の機会が増えるので、住民税が支払えない事態にならないように注意してください。住民税分のお金を用意しておいてください。
自治体によっては、住民税の支払いの猶予を受けつけている場合もあるので、お住まいの自治体に相談してみましょう。
産休中の住民税の支払い
産休中に所得がなくなり、女性労働者が住民税の支払いに困ることは、自治体も企業も想定しています。そこで、産休を取る女性労働者が困らないように、普通徴収と特別徴収という方法を用意しています。
ただ、普通徴収も特別徴収も、住民税が徴収される点では同じです。つまり普通徴収や特別徴収を使っても「実質的な税負担」は変わりません。しかし「お金のやりくり」では少し助かるはずです。
普通徴収
住民税の普通徴収は、市区町村から送られてくる納付書を使って、年4回に分けて支払う方法です。産休中の女性労働者が、自ら市区町村に住民税を支払う形になります。
納付書は6月頃、納税通知書と一緒に本人に送られてきます。支払い期限は市区町村によって異なりますので、支払い期限はよく確認しておきましょう。
働いて給料をもらっていれば、住民税は給料から天引きされますが、産休中に給料をもらっていないと天引きできません。その場合は労働者自身が納付書を使って住民税を支払うわけです。
4回に分けて支払うこともできますが、一括で支払うこともできます。
妊娠がわかった時点で住民税分のお金を用意しておけば、一括払いをすることで、それ以降は住民税について気をもむ必要がなくなります。
特別徴収
特別徴収は、企業が産休を取得している女性労働者からお金を徴収して、それを市区町村に住民税を支払う形態です。住民税の給料天引きは、この特別徴収のルールによるものです。
企業によってはこのルールを使って、産休中の女性労働者の住民税を一時的に肩代わりするかたちで市区町村に支払い、女性労働者が職場復帰した段階で、肩代わりした住民税の額を給料から差し引くかたちをとっています。
もしくは、産休に入る前の給料から、産休中の住民税分を一気に天引きして、それを使って産休中の住民税の支払いに充てる企業もあります。
まとめ~住民税は「後払い」
今回は産休中の住民税について紹介しました。
住民税は後払いと覚えておきましょう。
妊娠がわかったら「お金のこと」をいろいろ考えると思いますが、そのとき住民税についても忘れないようにしてください。
参考
『あなたも取れる 産休&育休 』(厚生労働省)
『住民税の納税方法(普通徴収と特別徴収) 』(那須塩原市)
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