【小児歯科専門医監修】授乳中に歯医者に行ってもいいの?
授乳中に歯医者に行って治療してもいいの?
治療が受けられるのはいつから?
授乳中の虫歯や歯肉炎の治療は産後から可能です。しかし、産後すぐの体はまだ万全ではないため、なるべく1ヶ月健診のときに問題がないかどうか医師と相談してからにしましょう。
問題ないようであれば、授乳中でも歯科医院で受診することができます。
ただ、産後から歯に痛みがあるなど、症状がひどい場合は、出産直後から治療が可能なこともあります。
万が一、出産直後に大きな処置が必要になる場合でも、体調が回復するまで応急処置で留め、体調が万全のときに再度治療を行うなどの計画を立てることも可能です。
出産直後で体調が心配な場合も、授乳中の場合も、歯のことで何か困っている症状があれば、まずは相談してみましょう。
授乳中でも親知らずの治療は受けられる?
親知らずの治療には大がかりな施術が必要です。
授乳中でも処置を受けることは可能ですが、授乳が続けられない場合もあります。
親知らずを抜くには、以下の施術が必要です。それぞれ授乳に影響があるのかについてまとめました。
- レントゲン撮影
授乳には影響がないといわれています。
レントゲンの中には授乳中に撮影を控えるものもありますが、歯科医院で用いられるレントゲンは、授乳中でも影響がでることはありません。
- 麻酔
歯科医院で用いられる麻酔には「局部麻酔」と「全身麻酔」があります。多くの場合は「局部麻酔」という部分的に麻酔が用いられる手法のため、母乳に影響が出ることは少ないです。どうしても心配な場合は、施術直前に授乳を済ませ、次の授乳との時間をあけるなどの工夫が必要です。
また、「全身麻酔」が必要になる治療となる場合は歯科医とよく相談しましょう。
- 薬
親知らずを抜いたあとは、鎮痛薬や抗生物質が処方されることがあります。多くの薬は母乳に移行するものの、その量は非常に少ないことがわかっており、赤ちゃんに影響する可能性は低いです。授乳中であることを伝えれば、授乳に影響のない鎮痛剤や抗生物質の処方が可能です。
治療の内容や状態によっては、授乳中に治療を受けることが難しい場合があるので、必ず歯科医に相談しましょう。
※国立研究開発法人 国立成育医療研究センターのホームページにある「妊娠と薬情報センター」で、授乳中の薬に関するQ&Aもチェックしてみてください。
(国立研究開発法人 国立成育医療研究センターのホームページ https://www.ncchd.go.jp/index.html )
歯医者に行くときの注意点
授乳中に歯医者に行く場合、歯科医院に問い合わせや相談が必要な場合があります。
赤ちゃんを一緒に連れて行きたい場合
歯科医院によっては、施術中の安全のため診察室に赤ちゃんを入れない場合もあります。歯科医院に行く前に確認するようにしましょう。
ほかにも薬を処方されている場合
普段から処方されている薬があれば伝えておきましょう。
授乳中でも影響のない鎮静剤や抗生物質を処方されますが、薬にも相性があるため、事前に伝えることが大切です。
薬でアレルギーが出たことがある場合
授乳中は、女性ホルモンのバランスが崩れやすい状態です。免疫力も低下しているので、普段よりもアレルギーが出やすくなることがあります。妊娠前は大丈夫だったとしても、アレルギーがある場合は事前に歯科医に伝えておきましょう。
歯の治療をするにあたって
治療後の痛みが気になるとき
親知らずの治療に限らず、大きな虫歯などの治療のあとは、治療後にも歯に痛みが残る場合があります。歯科で一般的に処方される鎮痛剤は授乳中でも問題ないといわれています。担当の歯科医師とよく相談の上、処方してもらい、処方された薬は指示通りに服用しましょう。
赤ちゃんに虫歯菌をうつさないために治療する
生後間もない赤ちゃんの口には、虫歯菌はいません。しかし、大人が赤ちゃんにする以下の行動は虫歯菌をうつすと考えられています。
- 大人と同じスプーンで食事を与える
- フーフーして食べ物を冷まし、食べさせる
- 赤ちゃんとキスをする
- 大人がかみ砕いたご飯を食べさせる
など
赤ちゃんの清潔な口内環境を維持するためには、このような行動は控えたほうがよいでしょう。
また、授乳中のママだけでなく、パパの口腔内にも潜む虫歯菌は潜んでいます。赤ちゃんを虫歯菌から守るためにも、赤ちゃんの周りにいる大人が歯の治療をするという意識も大切です。
歯が生えていないからまだ大丈夫などとは思わず、赤ちゃんの口内環境にも気を使うとよいでしょう。
歯が生える前からできるケアについてはこちらの記事を参考にしてみてください。
授乳中でも歯の痛みは我慢しない
授乳中であっても、歯の治療には行けないというわけではありません。なるべく体調が万全な1ヶ月健診後をおすすめしますが、もし痛みなどの症状がひどい場合は、我慢せずに歯科医院で相談をしましょう。中には、歯が痛いと思っていても、違う病気が原因であることもあるので、自己判断は避けましょう。
参考
・医学書院、『成人看護学[15] 歯・口腔 第14版 (系統看護学講座 専門分野)』、2020年
・医学書院、『《系統看護学講座 専門分野Ⅱ》小児看護学[1]小児看護学概論小児臨床看護総論』、2015年
・国立研究開発法人 国立成育医療研究センター、「妊娠と薬情報センター」 、2021年2月閲覧
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