【管理栄養士監修】授乳中の食事でとりたい栄養素は?栄養素の多い食べ物も紹介
授乳中はどんな食事をとればよい?
授乳中は、ママの体を回復させ、栄養のある母乳をつくるためにもバランスのよい食事を心がけましょう。
栄養バランスのよい食事とは?
栄養バランスのよい食事とは、以下の3つの食品グループがそろった食事のことです。
1.エネルギー源:ごはん、パン、麺類、芋類など
2.たんぱく質源:肉、魚、卵、豆類、乳製品など
3.ビタミン・ミネラル源:野菜・果物、海藻、きのこなど
まずは毎食この3つをそろえることから始めてみましょう。
「妊産婦のための食事バランスガイド」を参考に
献立に迷ったら、厚生労働省・農林水産省が作成している「妊産婦のための食事バランスガイド 」を参考にするのもおすすめです。
授乳中にとりたい栄養素や食べ物
ここからは、授乳中にママが積極的にとりたいエネルギーや栄養素、栄養素の多い食べ物などについて紹介します。
エネルギー
役割と1日に必要な量
ここでいうエネルギーとは、生命機能の維持や体を動かすために必要な燃料のことで、カロリー(kcal)という単位で表示されることもあります。
授乳中は、1日あたり2,350~2,400kcal(非妊娠時と比較すると+350kcal)のエネルギーが必要となります。
おすすめの食べ物
エネルギーを多くとるためには、ごはん、パン、麺類、芋類など炭水化物の多い食べ物から補給するのがよいでしょう。
特におすすめの食べ物は「ごはん」です。茶碗に山盛り1膳のごはんを食べれば350kcalをとることができるので、3食にわけて毎回の食事で少しずつごはんの量を増やせば授乳中に増やしたい分のエネルギーをとることができます。
一度にたくさん食べるのが難しい場合は、おやつにおにぎりやふかし芋を食べるものおすすめです。
たんぱく質
役割と1日に必要な量
たんぱく質は体をつくるために必要な栄養素です。
授乳中は、1日あたり70g (非妊娠時と比較すると+20g) のたんぱく質をとりましょう。
おすすめの食べ物
たんぱく質は、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などに多く含まれています。
特に脂肪の少ない肉や魚はたんぱく質が豊富です。「妊産婦のための食事バランスガイド」も参考にしながら、同じ食品ばかりに偏らないように色々な食品を組み合わせて食べましょう。
忙しいときは、ゆで卵、ツナ缶やさば缶、サラダチキン、納豆などを使うと手軽にたんぱく質をとることができます。
脂質(DHA、EPA)
役割と1日に必要な量
脂質の種類でn-3系脂肪酸と呼ばれるもののうち、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)は、赤ちゃんの脳や体の発達に関わる栄養素です。
DHA、EPAなどのn-3系と呼ばれる脂肪酸は体内でつくることができないため、離乳食を食べていない時期の赤ちゃんは、ママの母乳や育児用ミルクからとる必要があります。
そのため、1日あたり1.8g(非妊娠時と比較すると+0.2g)を食事から補給しましょう。
おすすめの食べ物
DHA、EPAは、いわし、さば、ぶり、まぐろ、鮭などの脂の多い魚に豊富に含まれています。魚を食べる習慣のない人は不足しやすい栄養素のため、焼き魚や刺身、缶詰などを上手に使って魚を積極的に食べる意識を持ちましょう。
たとえば、さんまの塩焼きなら小さめの半身ほど(40g)、トロの刺身なら2〜3切れほど(40g)でおおよそ1日分のn-3系脂肪酸をとることができます。
鉄
役割と1日に必要な量
鉄は、酸素を体のすみずみに運ぶためなどに必要な栄養素です。
ママの貧血を予防し、母乳中の鉄の濃度を保つためにも月経再開前は1日あたり9.0mg、再開後は13.0mg(非妊娠時と比較すると+2.5mg)の鉄を食事から補給しましょう。
おすすめの食品
鉄は、赤身の肉や魚、レバー、卵などの動物性食品に多く含まれています。ほかにも、小松菜や納豆、切り干し大根などの植物性食品にも含まれます。
特に、動物性食品に含まれる鉄は吸収率がよいため、植物性食品ばかりに偏らないよう色々な食品から鉄をとることが大切です。
鉄の吸収率を上げる栄養素
鉄は、果物や緑黄色野菜、じゃがいもやさつまいもなどに多く含まれるビタミンCと一緒にとることで吸収率がアップします。
カルシウム
役割と1日に必要な量
カルシウムは、心臓や筋肉・神経の動きを正常に保ったり、骨や歯の健康のために必要な栄養素です。
1日あたり650mg(非妊娠時と同量)のカルシウムをとる意識を持ちましょう。
授乳中に必要な量が増えるわけではありませんが、乳製品や大豆製品、青菜などを食べる習慣があまりない場合は、普段から不足しがちな栄養素です。
母乳をつくるのにたくさんのカルシウムが使われるため、普段からカルシウムが不足気味だったママは積極的にとることが大切です。
おすすめの食品
カルシウムは、小魚、桜エビ、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、厚揚げや納豆などの大豆製品、小松菜や水菜などの青菜に多く含まれています。
たとえば、桜エビの素干し大さじ1程度(3g)と、牛乳コップ1杯(200ml)と、チーズ2個(35g)と、納豆1パック(40g)と、水菜50gを食べると、おおよそ1日分のカルシウムをとることができます。
カルシウムの吸収率を上げる栄養素
カルシウムは、鮭やしらす干しなどの魚類、きのこ類、卵などに含まれているビタミンDと一緒にとることで吸収率がアップします。
葉酸
役割と1日に必要な量
葉酸は、体の発育や血液をつくるのに必要な栄養素です。
赤ちゃんの発育のためにも1日あたり340㎍(非妊娠時と比較すると+100㎍)の葉酸をとりましょう。
おすすめの食品
葉酸は、枝豆などの大豆製品、小松菜やブロッコリー、かぼちゃなどの緑黄色野菜、果物類、海苔、レバーなどに多く含まれています。
たとえば、ゆでた枝豆(さや付き)60gと、小松菜50gと、ブロッコリー50gと、アボカド60gと、大きめのいちご5個(1個あたり20g、計100gほど)と、焼きのり全形1/2枚を食べると、おおよそ1日分の葉酸をとることができます。
ただし、葉酸はとりすぎると体によくない影響が出ることがあります。自然にある食べ物から摂取している場合はとりすぎによる心配はありませんが、サプリメントや葉酸を強化した栄養補助食品を活用しているママは、必要量を確認して、とりすぎに注意しましょう。
ビタミンA
役割と1日に必要な量
ビタミンAは肌や目・鼻・のど・胃腸などの粘膜を正常に保って免疫力を維持することや、赤ちゃんの成長や感染症の予防などに関わる栄養素です。
1日あたり1,100〜1,150㎍RAE(非妊娠時と比較すると+450㎍RAE)のビタミンAをとる意識を持ってみましょう。
おすすめの食品
ビタミンAは、レバー、うなぎ、卵、乳製品などに多く含まれています。にんじん、ほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンは、体の中でビタミンAに変換され効果を発揮します。
ただし、ビタミンAはとりすぎると体によくない影響が出ることがあります。特にレバーは非常にたくさんのビタミンAを含んでいるため、食べるときは量や頻度が極端に多くなるのは避けましょう。
いっぽうで、緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンは、とりすぎによる体へのよくない影響は報告されていません。緑黄色野菜には授乳中にとりたい栄養素がたくさん含まれているので、積極的に食べる意識を持ちましょう。
初めての母乳育児はわからないことが多く、悩んでしまう場面もあるかもしれません。栄養のある食事をとることはとても大切ですが、無理はしすぎず、お惣菜や缶詰など便利なものも上手く活用しながら、栄養バランスの整った食事を目指してみてくださいね。
参考
五十嵐隆(監修)、「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)実践の手引き」、公益財団法人 母子衛生研究会、2020年
堤ちはる・土井正子(編著)、「子育て・子育ちを支援する 子どもの食と栄養」、萌文書林、2018年
「妊産婦のための食事バランスガイド 」(厚生労働省・農林水産省)
「日本人の食事摂取基準(2020年版) 」 (厚生労働省)
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