子どもが指しゃぶりをやめられない理由とやめさせる方法【小児歯科専門医監修】
「指しゃぶり」は何歳までするもの?
3歳後半くらいには自然としなくなる
1歳児のおおよそ50%がする指しゃぶりですが、その割合は子どもの年齢が上がるごとに減少していき、4〜5歳でかなり少なくなるといわれています。
指しゃぶりの習慣が自然消失する年齢は、平均で3.8歳といわれており、日本小児歯科学会(参考)では、3歳までは無理にやめさせる必要はないとしています。3歳頃までの指しゃぶりについては自然になくなる可能性がまだあるので、あまり心配し過ぎる必要はありません。
やめさせる練習は3歳以降を目安に
4歳を超えて指しゃぶりを続けていると、永久歯の不正咬合(ふせいこうごう:噛み合わせが悪いこと)のリスクが高まるとされています。
そのため、3歳を過ぎても指しゃぶりの頻度が変わらない場合は、遅くとも4歳までにやめられるように誘導していくのがよいでしょう。
詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。
「指しゃぶり」をする意味とは?
指しゃぶりは、もともと生後数ヶ月の間にみられる、くちびるに触れたものに口を開いて頭を向ける反射(探索反射)と、口に入ったものに一定のリズムで吸い付く反射(吸てつ反射)の2つが組み合わさってできたもので、ママのおなかの中にいる頃から練習しているといわれています。
おなかの中で行っていた反射が組み合わさってできた指しゃぶりは、生まれてきてから母乳を飲むための準備につながっています。
生まれたあと、離乳初期(5〜6ヶ月頃)に進むと、離乳食や母乳、ミルク以外のものの味や固さを覚えるための準備としての役割へと変化し、指しゃぶりは成長の中で大切な行為といえます。
「指しゃぶり」がやめられない理由は?
指しゃぶりが3歳以降も頻度が変わらなかったり、ひどくなる場合、その理由は一様ではありません。
考えられる要因はさまざま
たとえば、
- 退屈している
- 不安やストレスを感じている
- 指しゃぶりが入眠儀式になっている
など、子どもの精神面や生活リズムといった、さまざまな要因があげられます。
指しゃぶりには、
- 安心感が得られる
- リラックスできる
- 退屈がまぎれる
などの効果があるとされており、子どもはその効果を快く感じて、無意識的に指しゃぶりを続けている可能性が高いと考えられます。
「指しゃぶり」をやめさせるには?
はじめに、子どもに対して指しゃぶりをやめることが「できない」と考えるのは避けましょう。
指しゃぶりをやめさせるには、指しゃぶりをしてしまう理由を考え、それに合った解消法を試すことが、無理なく指しゃぶりを卒業させることにつながるでしょう。
どのような状況で指しゃぶりをしているのかを観察する
まずは子どもがどんなときに指しゃぶりをするのかを観察してみましょう。
たとえば、
- 退屈したときにする
- 一人になったときにする
- 就寝前や就寝中にする
など、指しゃぶりをするときのパターンを探してみましょう。
指しゃぶりは安心感を求めてする行動でもあることから、子どもに不安やストレスを与えている原因がないかを考えてみることがとても大切です。
「指しゃぶり」をやめさせる方法
指しゃぶりは無意識的な行動なので、やめさせるには
- 指を意識させる
- 指しゃぶりができない状況をさりげなく作る
などがよいといわれています。
たとえば、
- 指先を意識できる遊びを一緒にする
- ばんそうこうを指に貼る
- 味のするマニキュアを塗る
- 手を繋いで一緒に寝る
- 就寝中の指しゃぶりは大人がそっと外す
- 指しゃぶりをしなかった日に褒める
など、あくまで一例ですがこのような方法があります。
やめさせるときの注意点
指しゃぶりをやめさせるときには、叱ったり、他の子と比べたりするのは避けましょう。そのような否定的な振る舞いはかえって子どもの不安やストレスを強めたり、心理的なトラウマになる恐れもあり逆効果です。
無理にやめさせようとするのではなく、子どもが自発的に「やめよう」と思えるように導いたり、指しゃぶりをなかなかやめられない子どもの無意識を理解する姿勢が大切です。
まずは原因を考えてみましょう
3歳を過ぎても指しゃぶりを続ける原因は、子どもによって異なります。そのため、まずは原因を探すことが大切。指しゃぶりをやめることが「できない」と考えるのではなく、指しゃぶりをしてしまう理由を、指しゃぶりをするときの子どもの立場になって考えてみましょう。
頭ごなしに「できない」と否定してしまっては、子どもを否定し、子どもにとってもママやパパにとっても辛いことになりかねません。
指しゃぶり自体は成長の中で大切な行為なので、まずは3歳頃まで様子を見て、なかなか頻度が減らない場合は、指しゃぶりから意識を逸らすことや指先の運動などから挑戦してみましょう。もし4歳以降も頻繁に続くようであれば、小児科医や小児歯科医に相談してみるのもよいでしょう。
参考
・O Fukutaほか(1996). Damage to the primary dentition resulting from thumb and finger (digit) sucking, Abstract 、2021年4月28 日閲覧
・DANA FEŞTILĂほか(2014)、Suckling and non-nutritive sucking habit: what should we know?、2021年4月28 日閲覧
・細田多穂 監修、小児理学療法学テキスト改訂 第3版 p.48、南江堂、2018
・小児科と小児歯科の保健検討委員会、『小児保健研究』第65巻 第3号 p.513、「指しゃぶりについての考え方」、
・宮城県 東北大学大学院歯科研究科、宮城県口腔機能育成者資質向上化事業、「指しゃぶり指導ガイド」、2021年4月28 日閲覧
・佐久医師会(2019)、「指しゃぶり おしゃぶり」 、2021年4月28日閲覧
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