【医師監修】胎盤のトラブル|「癒着胎盤(ゆちゃくたいばん)」とは
癒着胎盤とは?
胎盤が非常に強く子宮に付着している状態のこと
癒着胎盤とは、胎盤が非常に強く子宮に付着している状態のことです。正常な胎盤は、分娩後に自然に排出されるようになっています。
どのような仕組みかというと、胎盤は子宮の筋層に直接付着することはなく、間に「脱落膜」という膜をはさみます。これにより胎盤は、分娩後に脱落膜とともに自然に排出されるのです。
しかし、脱落膜に何らかの異常があると、胎盤の組織の一部(絨毛・じゅうもう)が子宮筋層内へ侵入し、胎盤と子宮筋層がしっかりとくっ付いてしまいます。この状態を「癒着胎盤」といいます。
癒着胎盤の種類
癒着胎盤には、状態によって以下の3種類に分けられます。
■単純癒着胎盤(たんじゅんゆちゃくたいばん)
絨毛が子宮筋層表面に付着している状態。
■侵入胎盤(しんにゅうたいばん)
絨毛が子宮筋層内に侵入して付着している状態。
■穿通胎盤(せんつうたいばん)
絨毛が子宮筋層を突き抜け、子宮の外にはみ出ている状態(はみ出た絨毛が子宮と隣接している膀胱へ侵入して、膀胱への癒着が起こる場合もある)。
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癒着胎盤の原因は?
過去に帝王切開の経験がある
帝王切開で子宮を切開した部分は、子宮筋層や脱落膜の一部が欠けたり(欠損)、薄くなったりしている状態です。術後の妊娠では、切開した部分に胎盤が形成されやすくなり、さらに胎盤が癒着しやすくなります。
胎盤のトラブル「前置胎盤」の症状がある
正常な胎盤は、子宮口から離れた場所に形成されますが、前置胎盤(ぜんちたいばん)は胎盤が子宮口を覆っている状態のことをいいます。前置胎盤の症状があると、癒着胎盤を起こしやすくなります。前置胎盤の妊婦のうち、5%~10%くらいの人が癒着胎盤を発症しています。
前置胎盤で癒着を発症している場合、「前置癒着胎盤」と呼ばれます。
特に帝王切開を経験している場合前置胎盤になりやすく、癒着胎盤を発症しやすい状態です。
前置胎盤について詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。
癒着胎盤になりやすいママの特徴
癒着胎盤になりやすいママの特徴として、以下のような項目も挙げられます。
- 子宮筋腫の手術や子宮内容除去術(流産や中絶で行われる手術)など子宮内手術を受けたことがある
- 高齢(35歳以上)である
- 数回の出産経験がある
- 双子・三つ子などの多胎である
- 喫煙している
癒着胎盤はいつわかる?
癒着胎盤は、帝王切開を受けたことがある方や前置胎盤の人に多いため、妊娠20週頃に超音波検査をして胎盤の状態を確認します。検査は、超音波検査などを使い、超音波検査で診断できない場合はMRI検査で判断することもあります。
しかし、帝王切開を受けたことがない方や前置胎盤でない方が癒着胎盤だった場合、事前に癒着胎盤と診断することが難しいのが現状です。赤ちゃんを出産後、胎盤が剥がれる段階で下記のような事態が起こってから気付かれることが多いです。
- 分娩から30分以内に胎盤が娩出されない場合
- 医師の手で子宮から胎盤を剥がすことができない場合
- 胎盤を剥がす処置中、大量出血した場合
癒着胎盤と診断された場合は?
帝王切開の経験や前置胎盤があり、事前に癒着胎盤と診断された場合、大量出血に備えて予定帝王切開が行われます。特に侵入胎盤や穿通胎盤では胎盤を剥がすことができないため、子宮の摘出も同時に行われることがあります。
出産時に癒着胎盤であることがわかった場合は、ママの命の安全を守るため、大量出血を起こさない、もしくは出血を一刻も早く止めることが優先されます。
将来の妊娠・出産を考え、子宮を温存できるよう医師はさまざまな方法を試みますが、出血の状態によっては希望に添えない可能性があることも理解しておきましょう。
癒着胎盤は繰り返す?
癒着胎盤になって幸いにも子宮を温存できた場合、次回以降の妊娠で癒着胎盤を繰り返す可能性はあります。帝王切開を繰り返すと、癒着胎盤になる確率が高くなります。
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癒着胎盤は、定期的な妊婦健診の画像診断により、事前に発見できる場合もあります。少しでも不安に思うことがある場合は医師ときちんと話をして症状を正しく理解することが大切です。
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