
妊娠中に知っておきたい性感染症⑤ 外陰腟カンジダ症【産婦人科医監修】
外陰腟カンジダ症とは?
外陰腟カンジダ症は、元々腟内に常在菌として存在しているカンジダアルビガンスという真菌(カビの一種)が腟内に増えて炎症を起こす女性特有の性感染症です。
女性では主に腟炎と外陰炎の症状が合併することが多いので一般に外陰腟カンジダ症といわれます。
カンジダ症の原因菌である真菌は、口腔や消化管や腟など分泌物で湿った状態である皮膚で増えやすく、ストレスや免疫の低下などの原因で症状が引き起こされます。
ステロイドや抗菌剤の長期使用でカンジダを発症することも多く見られます。女性の性感染症のなかではよくみられる病気で、およそ半数が繰り返すといわれています。
カンジダの症状と治療
妊娠中の性感染症は、母子感染により赤ちゃんに感染する可能性もあるため注意が必要です。性感染症の中でもカンジダにはどのような症状が出るのか、治療法やリスクについて解説します。
カンジダの症状
女性の主な症状は腟と外陰部のかゆみで、酒粕やヨーグルト、カッテージチーズのような白いおりものが特徴です。カンジダが重症化すると灼熱感や性交障害、痛みが起こります。
通常カンジダは無症状で、病原体となる真菌は腟の中にいるごくありふれたものです。カンジダの症状は何らかの原因が加わって発症します。
カンジダを発症する主な原因は、性行為や抗菌薬・ステロイドの服用、糖尿病の合併などです。体調不良など疲れているときにも発症しやすいといわれており、腟を自分で洗ったことで常在菌のバランスがくずれたときなどにも発症リスクを高めるとされています。
■妊娠中の症状は?
妊娠中のママも症状は通常と同様です。
妊娠すると腟内の菌バランスが変わりカンジダが異常増殖しやすくなります。
■赤ちゃんの症状は?
赤ちゃんが産道感染したときに鵞口瘡(がこうそう)と呼ばれる口腔カンジダ症が起こります。口腔内の頬粘膜に灰白色の苔の様なものが症状として現れます。稀に肺炎(カンジダ肺炎)を起こしたりすることもあります。
皮膚カンジダ症になっている場合では、皮膚が赤くなり、皮膚の角質が剥がれ落ちる症状がでます。皮膚が湿って摩擦しやすい部位に多く現れ、赤ちゃんではおむつの当たる部位に多くみられます。
■男性の症状は?
男性の罹患数が少ないことから、カンジダは女性特有の性器感染症といわれますが、男性も感染・発症することがあります。男性の主な症状は「亀頭炎」と呼ばれる陰茎の亀頭部分の炎症です。
ママと赤ちゃんに対する治療法は?
腟内カンジダの保菌率は妊娠していない女性では10%前後、妊娠している女性では30%前後といわれており、腟内に常在しています。腟内に菌が確認されたとしても必ずしも治療が必要というわけではありません。
症状があり医師の診断を受けた場合は、抗真菌腟坐薬やかゆみ止めの軟膏を処方され、それを使うことで症状がよくなります。症状によっては抗真菌経口薬が処方されることもあります。
治療を開始すると数日で症状は治まっていきます。
妊娠中の人や何度も再発している人、糖尿病、免疫不全、全身衰弱などに対しての治療は長期間薬を使用したり、半年程の維持治療をすることが推奨されています。
■妊娠中のママの治療法は?
外陰腟カンジダ症のママに対しては抗菌薬の局所投与が行われます。
妊娠中は少量でも母体内への薬の吸収もあることから、安易に市販薬を使用せず、医師の指示に従って薬を使用するよう心がけてください。
■赤ちゃんへの治療法は?
皮膚カンジダ症は抗真菌薬のぬり薬を使用します。真菌が肺や肝臓、脳など体の深部に入った状態のことを「深在性真菌症」と呼び、その様な場合は抗真菌薬の全身投与で治療します。
症状があって治療をはじめたら、やらない方がよい行動があります。
- 石鹸を使用してしっかり洗う:炎症がひどくなる場合があります。軽く洗う程度にとどめましょう。
- 腟洗浄器や洗浄液で腟を洗う:自浄作用が弱まるため、自分での腟洗浄は控えるようにしましょう。
- 性行為:パートナー同士で感染する可能性もあり、お互いに症状などあれば完治して行いましょう。
- 症状のある場所をかく:かゆみや痛みがひどくなったりする可能性があります。
カンジダの治療に市販薬は使える?
症状・状況によっては市販薬は使えますが、注意が必要です。
カンジダ症の判断は難しく、自己判断で市販薬を使用してしまうと症状によっては悪化してしまう可能性があるため、自己判断で市販薬を使用するのはやめましょう。カンジダの症状かも。と思ったら放置せず、すぐに病院を受診しましょう。
腟カンジダと診断された場合は、抗真菌剤の腟坐薬や塗り薬が医師から処方されます。一度発症すると再発を繰り返す人が多くみられます。
同じ症状が再発した場合に限り、病院から処方されたものと同じ抗真菌成分が配合された市販薬を使用することができますが、再発した場合は使ってよい市販薬を医師に確認してみましょう。
カンジダの自然治癒は可能?
腟は自浄作用があるため、通常は細菌が腟内に入ったとしても炎症を起こすほど菌の繁殖はしないとされています。病気や妊娠中、抗生物質やステロイドを服用したとき、疲労やストレスで抵抗力が落ちているときなどは発症しやすい体になっています。しかし発症したとしても炎症が進む前の段階で症状が軽い場合は、カンジダは自然に治ることがあります。
自然に治ることがあるからといって放置するのではなく、症状が現れた場合は病院を受診しましょう。
カンジダにかかっているのはいつわかる?
カンジダを疑って病院を受診したら、どのような検査が行われるのでしょうか。カンジダの検査では、問診・内診とおりものの培養検査や顕微鏡検査が行われます。
問診で現在の症状を伝え、その症状がある場所や、炎症がないか診察し、真菌があるかないかを医師が確認し、カンジダにかかっているかが判明します。
その後は抗真菌薬の軟膏や腟錠で治療します。
カンジダの感染経路は?
カンジダの感染経路には性行為がありますが、性行為だけが原因ではありません。
もともとの常在菌が、妊娠や病気、疲れやストレスなどで抵抗力が弱まったことをきっかけに増え、カンジダが発症することがあります。これは妊娠の有無に関わらず同様です。
妊娠中のママから赤ちゃんへの感染経路が心配になりますが、もしママが感染している場合は何か対策はできるのでしょうか。ママから赤ちゃんへの感染経路と、感染リスクを軽減するために知っておきたいことについて解説します。
赤ちゃんへは産道で感染
赤ちゃんへの主な感染経路は産道感染です。
赤ちゃんへ感染した場合は鵞口瘡(がこうそう)と呼ばれる口腔カンジダ症が起こり、重篤な場合は肝臓や脳などの臓器感染や稀に肺炎(カンジダ肺炎)を起こしたりすることもあります。
赤ちゃんへの感染リスクを軽減するために知っておきたいこと
妊娠中のママが、カンジダを発症してる場合には抗真菌剤の膣錠で治療しておけば赤ちゃんに感染する心配はありません。
カンジダはお風呂でうつる?
子どもや赤ちゃんと一緒にお風呂に入るときにカンジダを発症している場合に、カンジダがうつるのかうつらないのかが気になる人もいるかもしれません。
カンジダは常在菌のため、体の抵抗力が落ちているときなどは感染・発症しやすいものの、通常は感染したとしても発症しないとされています。
免疫力が落ちたりしていない限りは、お湯やタオルを介してカンジダが付着したとしても発症につながる可能性は低いです。心配なようでしたら、家族とタオルの共用は避けた方が良いかもしれません。
妊娠中にもしカンジダに感染していることがわかったら
カンジダは女性の性感染症の中では感染数が多く、再発しやすい感染症といわれています。症状があれば必ず病院を受診し、早めの完治を心がけましょう。特に、妊娠中のママは治療をしておかないと、赤ちゃんへママの産道から感染させてしまう可能性もあります。
発症したときには治療を心がけつつ、炎症している部分を無理に石鹸を使って洗わないことや、家族とタオルを共用しないなどの対策もしっかりと取るようにしましょう。
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