【医師監修】胎盤の役割・構造は?完成する時期や変化なども解説
病院で「胎盤」という言葉を聞き「胎盤って何だろう?」「どんな役割があるの?」と疑問に感じている人もいるでしょう。胎盤は赤ちゃんにとって大切なものだということはなんとなくわかっていても、パッとイメージするのは難しいですよね。この記事では、胎盤の役割や完成時期のほか、妊娠時期ごろの変化などを解説します。
病院で「胎盤」という言葉を聞き「胎盤って何だろう?」「どんな役割があるの?」と疑問に感じている人もいるでしょう。胎盤は赤ちゃんにとって大切なものだということはなんとなくわかっていても、パッとイメージするのは難しいですよね。この記事では、胎盤の役割や完成時期のほか、妊娠時期ごろの変化などを解説します。
胎盤とは?
胎盤とは、ママの子宮に付着している赤ちゃんの一部です。
胎盤に集まっている血管を通して、酸素や栄養分、水分などを赤ちゃんに送る役割を担っています。
そのため、胎盤は赤ちゃんの健やかな成長に欠かせないものなのです。
まずは、胎盤の役割や構造を詳しくみていきましょう。
胎盤の役割
胎盤は、ママと赤ちゃんをつなぐ大事な器官です。胎盤にはさまざまな役割があります。
胎盤の主な役割
赤ちゃんに酸素と栄養を送る
赤ちゃんから二酸化炭素と老廃物を受け取る
ママの血液に含まれる有害な成分を取り除く
妊娠継続のためのホルモンを分泌する
胎盤の構造
胎盤は、直径約20~30cm、厚さ約2~3cmの円盤形の臓器です。
なかには血管の束が集まっており、たくさんの血液が流れています。血管の先には「絨毛」と呼ばれる器官が生えていて、血液から必要な栄養素を取り込んで赤ちゃんに送っているんですよ。
絨毛は、赤ちゃん側からの老廃物や二酸化炭素をママに受け渡す際にも活躍しています。
胎盤はいつごろ完成する?
胎盤は、妊娠7週目ごろから受精卵が着床した部分に作られ始め、妊娠15週頃に完成します。
胎盤が完成すると、赤ちゃんはそこからママの栄養を直接受け取るので、成長スピードが一気に速くなりますよ。
また、胎盤完成後は流産のリスクが下がり、いわゆる「安定期」と呼ばれる時期に入ります。
胎盤が完成するまでに気を付けたいこと
胎盤が完成するまでは、無理せず体を十分に休めましょう。
胎盤が適切な時期に完成してうまく機能しないと、赤ちゃんの成長に影響を及ぼすことがあります。
胎盤や赤ちゃんが健全に成長するために、体に負担をかけないように過ごしましょう。
また、栄養バランスがよい食事を摂ることも大切です。
つわりがひどい場合は食べられる範囲でかまいませんが、あまりに何も口にできない場合は医師に相談しましょう。
胎盤完成後も油断は禁物
胎盤が完成して安定期に入っても、油断は禁物です。栄養が偏っていたり食べ過ぎたりすると、高血圧合併妊娠・妊娠糖尿病といった合併症を引き起こすことがあります。また、栄養の偏りによって血流が悪くなると、胎盤がうまく機能しなくなることも。胎盤が完成した後も、引き続き生活習慣や食事に気を配って過ごしましょう。
妊娠中の胎盤の変化
胎盤は、妊娠中も少しずつ変化します。どのように変化するかみていきましょう。
妊娠初期の胎盤
受精卵が子宮内に着床すると、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの分泌がはじまります。
そして着床した部分に絨毛ができ、妊娠7週頃から胎盤が作られ始めます。
未完成の胎盤はまだ機能が十分でなく、ママの血液に含まれる有害物質を取り除くはたらきはありません。
妊娠中期の胎盤
妊娠15週に入り胎盤が完成すると、胎盤はまだ未熟な赤ちゃんの臓器の代わりを担うようになります。酸素や栄養を届けたり、二酸化炭素や老廃物を受け取ったりして、赤ちゃんの成長をサポートします。
妊娠後期の胎盤
胎盤は赤ちゃんとともに大きくなり、最終的には500~600gにもなります。
出産予定日を過ぎると胎盤の機能が少しずつ衰えてくるため、十分な酸素と栄養が届かず、赤ちゃんが弱ってしまうことも。
胎盤の機能が下がっていると判断された場合は、赤ちゃんを外に出すために陣痛促進剤を使ったり帝王切開をしたりするのが一般的です。
出産後、胎盤は剥がれ落ち、体外に排出されます。
注意が必要な胎盤のトラブル
ここからは、注意が必要な胎盤のトラブルを解説します。
前置胎盤
前置胎盤とは、胎盤が子宮の下側にできてしまうことです。前置胎盤かどうかは、超音波検査でわかります。
前置胎盤になると大量出血や早産が起こりやすくなるため、医師の指示に従って子宮を収縮させないように安静に過ごすことが大切です。
自然分娩では赤ちゃんへのリスクが高いので、帝王切開で出産するのが一般的です。
常位胎盤早期剥離
常位胎盤早期剥離とは、出産が始まる前に胎盤が剥がれ落ちてしまうことです。
胎盤が剥がれると赤ちゃんに酸素や栄養が行き届かなくなるだけでなく、大量出血によって命に危険が及ぶこともあります。
妊娠高血圧症候群の人に多くみられるものの、はっきりとした原因はわかっていません。
ママも赤ちゃんも危険な状態にあるため、緊急帝王切開をおこなうことになります。
胎盤機能不全
胎盤機能不全とは、胎盤が本来の機能を維持できなくなることです。
赤ちゃんに十分な酸素や栄養を送れなくなるため、赤ちゃんが十分に発育できなかったり窒息してしまったりする可能性があります。
胎盤の機能は妊娠41〜42週を超えると衰えてきますが、そのほか妊娠高血圧症候群や糖尿病、腎炎などによっても胎盤機能不全が起こることがあります。
胎盤機能不全と判断された場合は、帝王切開で出産することがめずらしくありません。
癒着胎盤
癒着胎盤とは、胎盤が子宮にしっかりとくっついて、剥がれなくなってしまうことです。
多くの場合、出産後に胎盤の排出がないことで初めて発覚します。
無理に剥がすと大量出血のおそれがあるため、産後の子宮マッサージで剥離を促したり、医師が手で剥がす処置をしたりします。
胎盤に関するよくある質問
ここからは胎盤に関するよくある質問を解説します。気になる疑問を解消しましょう!
胎盤を通じてママが食べたものの味や嗅いだものの香りは赤ちゃんに伝わる?
匂いが伝わっている可能性があるといわれています
これまでの研究では、血液や羊水を通じてママが食べたものの匂いを赤ちゃんが感じている可能性があることが示されています。しかし、赤ちゃんの嗅覚についてはまだわかっていないことも多いです。
胎盤の大きさは赤ちゃんの大きさに影響する?
胎盤の大きさと赤ちゃんの大きさには関係があるといわれています
赤ちゃんに酸素や栄養を送る器官である胎盤が大きいと、赤ちゃんも大きくなるといわれています。一般的に、胎盤の重さは赤ちゃんの体重の5分の1から6分の1程度とされています。
胎盤が食べられるって本当?
日本では胎盤を食べる人はいません
基本的に、日本では胎盤を食べることはありません。野生動物のなかには本能的に胎盤を食べる動物もいますし、海外では胎盤を食べる文化がある国もあるようです。しかし、日本では胎盤は感染性廃棄物に指定されており、法律に則って適切に廃棄することが定められているので、原則として胎盤を食べることはできません。希望する場合は、医療機関と相談して食べるかどうかを決めましょう。
胎盤は赤ちゃんの成長のために不可欠な器官!トラブルを防ぐために健康に注意しよう
胎盤は、赤ちゃんに栄養や酸素を送るという重要な役割を担っています。胎盤の機能を正常に保つために、生活習慣や食事に気を配りましょう。
胎盤が完成すると安定期に入りますが、油断は禁物です。少しでも不安なことがあれば、早めに医師に相談してみましょう。
- 胎盤は赤ちゃんの命綱
- 赤ちゃんは胎盤を通じて酸素や栄養を受け取っている
- 胎盤は妊娠15週頃に完成する
- 胎盤は出産後自然に剥がれ落ちて排出される
- 胎盤の機能を正常に保つにはママが健やかに過ごすことが大切
【注意事項】
本記事は公開時点での情報となります。
本記事は妊娠中の方への情報提供を目的としており、診療を目的としておりません。
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