【医師監修】帝王切開で生まれた子に特徴はある?赤ちゃんの発達・病気のリスクを解説
帝王切開で生まれた子どもには、自然分娩の場合と異なる特徴はあるのでしょうか。
また、帝王切開にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
この記事では、帝王切開が子どもに与える影響やリスクについて解説します。
帝王切開のメリットもあわせて紹介するので、安心して出産に臨むため、チェックしてみてくださいね。
帝王切開で生まれた子どもには、自然分娩の場合と異なる特徴はあるのでしょうか。
また、帝王切開にはどのようなリスクがあるのでしょうか。
この記事では、帝王切開が子どもに与える影響やリスクについて解説します。
帝王切開のメリットもあわせて紹介するので、安心して出産に臨むため、チェックしてみてくださいね。
帝王切開で生まれた子にはどんな傾向がある?
「帝王切開で生まれた子は障害が出やすい」といった話を聞くと、不安になってしまう人も多いでしょう。
しかし、出産方法と子どもの特徴の因果関係は、まだ明確にはわかっていません。
一方で、帝王切開で生まれた子にはいくつかの傾向がある、とする調査や研究もあります。
ここでは、帝王切開で生まれた子どもの傾向に関する報告や調査を紹介します。
あくまで傾向であり、解明されていない部分もあるため「帝王切開で生まれた子は絶対にこうなる」というわけではありません。一つの参考として確認してみてくださいね。
肥満
帝王切開で生まれた子どもは、3歳時点での肥満のリスクが自然分娩の場合よりも高いという調査結果があります。
理由は解明されていませんが、経腟分娩と異なり分娩時にママの腸内フローラと接触しないことが関係していると考えられています。
腸内フローラには、腸のバリア機能を高めたり、食べたものを体によい物質に作り変えたりする働きがあり、肥満を防ぐ効果もあるとされています。
腟の入り口と肛門は隣り合って位置しており、腸内に生息する多くの細菌は実は腟にも存在しています。そして経腟分娩の場合、分娩の過程でママの産道にある腸内フローラにさらされ、赤ちゃんのおなかの中で増殖していくといわれています。
しかし、帝王切開の場合は赤ちゃんが産道を通らないので、腸内フローラが定着せず肥満のリスクが高まるとされているのです。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
帝王切開で生まれた子どもは、3歳時点で自閉症スペクトラム障害と診断される頻度が高いという調査結果があります。特に、女児のほうがリスクが大きいことが報告されています。
しかし、もともと男児のほうが自閉症スペクトラム障害と診断されることが多いため、分娩方法による差が男児には出なかったのではないかという見解もあるようです。
また、帝王切開と自閉症スペクトラム障害との因果関係もわかっていないので、現段階では「帝王切開をしたら自閉症スペクトラム障害になりやすい」と言うことはできません。
注意欠陥多動性障害(ADHD)
帝王切開で生まれた子どもは、注意欠陥多動性障害(ADHD)のリスクが高い可能性があるという調査結果があります。
これまでの研究では、帝王切開をした場合、そうでない場合と比べてADHDのリスクが17%増加するという報告がなされています。
しかし、これらの調査はおもに欧米で行われたものです。日本をはじめとするアジアでは、帝王切開とADHDの相関関係についてはまだはっきりと解明されていません。
運動発達遅延
帝王切開で生まれた子どもは、経腟分娩で生まれた子どもより、運動発達の遅延が見られる傾向が高いという結果が出ました。
自閉症スペクトラム障害と同じく、女児のほうが出産方法による差が大きく、男児にはほとんど差が見られないそうです。
しかし、帝王切開と運動発達遅延の因果関係も明らかになっていません。
アレルギー
帝王切開で生まれた子どもは、食物アレルギーやアレルギー性鼻炎を発症しやすいという調査結果もあります。
経腟分娩の場合に比べ、食物アレルギーを発症する確率が20%ほど高いとされているのです。
帝王切開は腟を通過しないため、腸内フローラにさらされずに生まれてくることが理由であるとする研究者もいますが、まだはっきりとはわかっていません。
アレルギーは症状が出る前に、血液検査で発見することができます。心配な場合は検査をしてみましょう。
喘息
帝王切開をすると、子どもの喘息のリスクがわずかに上昇するという報告があります。
しかし、これも欧米からの報告で、まだ世界的な調査がされていないことから研究者や専門家の間でも意見が分かれている部分があるのです。
出典
富山大学,「帝王切開出生と3歳時点における小児肥満の関係:エコチル調査」,2024/8/22閲覧,https://www.u-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/20230517.pdf
富山大学,「帝王切開による出生と神経発達の関係:エコチル調査」,2024/8/22閲覧,http://www.med.u-toyama.ac.jp/eco-tuc/result/teiou3.html
帝王切開をすると必ず赤ちゃんに影響する?
帝王切開が赤ちゃんに必ず影響を与えるとはいえません。
帝王切開で出産する人の割合は約21%であるのに対し、ADHDと診断される割合は3〜7%、自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断される割合は0.1〜0.2%、または2.5〜5%とされています。
また、帝王切開で生まれた子どもは、肥満や喘息、自閉症スペクトラム障害(ASD)などのリスクがやや高いとする研究や調査があるものの、帝王切開と子どもの特徴との因果関係についてはまだはっきりとはわかっていないのです。
帝王切開は今では一般的な手術方法となっているので、心配しないでください。
出典
厚生労働省,「令和2(2020)年医療施設調査」,p20,2024/8/29閲覧,https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/20/dl/02sisetu02.pdf
厚生労働省,「自閉症Q&A」,p8,2021/3/3,https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/07/dl/s0730-6a1.pdf
帝王切開で生まれた子の特徴についてよくある質問
帝王切開で生まれた子どもに関する疑問や心配ごとは、ついつい考えてしまうものですね。
ここでは、帝王切開で生まれた子どもについてよくある質問とその回答を紹介します。
帝王切開をすると寿命が短くなるって本当?
帝王切開と寿命の関係性についての医学的な根拠はありません
帝王切開で生まれた子どもの寿命が短くなるという科学的な根拠は存在しません。多くの研究が行われていますが、帝王切開そのものが寿命に直接影響を与えるという証拠は見つかっていません。寿命は遺伝的要因や生活習慣、環境など複数の要因によって決まります。帝王切開での出産は、医師が母親や子どもの安全を最優先に考慮した結果であり、出産方法が寿命に影響を与えることはありません。帝王切開を選択したからといって、子どもの寿命が短くなると心配する必要はありませんよ。
帝王切開と子どもの特徴との因果関係はまだはっきりとしていない
帝王切開で生まれた子どもには、肥満・自閉症スペクトラム障害(ASD)・アレルギー・喘息などのリスクが高まるという調査結果があります。
しかし、根拠がまだ明確でない部分も多く、必ずしも帝王切開で生まれた子どもに当てはまるわけではありません。あまり心配しすぎないでくださいね。
もし、帝王切開の影響について不安があれば、医師に相談しましょう。
- 帝王切開と子どもの特徴との因果関係ははっきりとわかっていない
- 帝王切開による影響が不安な場合は医師に相談を
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