
【医師監修】無痛分娩のリスクとは?後悔しない?メリットや本当に痛みがないかなども解説
無痛分娩を検討しているなら、リスクやデメリットについてしっかりと理解したうえで受けるかを決めることが大切です。
なかには無痛分娩を避けたほうがよいケースもあるので、事前に把握しておきましょう。
今回は、無痛分娩にはどんなリスクがあるのかだけでなく、メリットや安全性についても紹介します。無痛分娩を考えている人は参考にしてみてくださいね。
無痛分娩を検討しているなら、リスクやデメリットについてしっかりと理解したうえで受けるかを決めることが大切です。
なかには無痛分娩を避けたほうがよいケースもあるので、事前に把握しておきましょう。
今回は、無痛分娩にはどんなリスクがあるのかだけでなく、メリットや安全性についても紹介します。無痛分娩を考えている人は参考にしてみてくださいね。
無痛分娩にはどんなリスク・デメリットがある?

無痛分娩には、いくつかのリスクやデメリットがあります。ここでは、無痛分娩のリスクについて紹介します。
分娩時間が長くなる
無痛分娩を行うことで分娩時間が延びることがあります。麻酔の影響で陣痛が鈍ってしまうことでうまくいきめず、出産がなかなか進まない可能性があるのです。
分娩に時間がかかると、ママや赤ちゃんに負担がかかってしまいます。そのため、場合によっては陣痛促進剤を追加で投与したり、吸引分娩を行ったりします。
麻酔による副作用がある
無痛分娩では、麻酔の副作用があらわれることがあります。
症状としては血圧の低下や発熱、吐き気などです。背中にある脊髄の近くに麻酔の針を指すので、腰や背中に痛みが出る場合もあります。
また「硬膜穿刺後頭痛(こうまくせんしごずつう)」という合併症も1%程度の確率で起こる可能性があります。痛みの程度は人によって異なりますが、ズキズキと鈍い痛みを感じるのが特徴です。
これらの症状は、しばらくすると落ち着いてくることがほとんどです。
麻酔がうまく効かないことがある
麻酔の効きが悪い場合があることも、無痛分娩のリスクの一つです。
人によっては、麻酔が部分的にしか効かなかったり、効果が不十分だったりすることがあります。体質による影響で麻酔が効きづらい人もいます。
麻酔が十分に効かない場合は、麻酔用チューブの入れ直しが必要になることもあります。
赤ちゃんの心拍数に影響するおそれがある
無痛分娩では、麻酔の影響で赤ちゃんの心拍数が一時的に変化することがあります。
しかし、ほとんどの場合、赤ちゃんに長期的に影響を及ぼすものではありません。
無痛分娩中はモニターなどで赤ちゃんの状態を常にチェックし、適切に対応できるように準備しているので、心配しすぎなくて大丈夫です。
無痛分娩は安全?

適切な管理が行われている医療機関であれば、重大な事故が起こることは極めてまれです。
過去には、妊婦さんが亡くなった・後遺症が残ったなどのケースなどがありますが、ほとんどは麻酔が適切に管理されていなかったために起こったものです。
厚生労働省の調査によると、2010〜2016年の間に、妊娠中から産後1年に妊婦さんが亡くなった271例のうち、無痛分娩で死亡した例は14例(5.2%)でした。このうち13例は無痛分娩を行っていなくても起こりうるものが原因だったと報告されています。無痛分娩を行ったことで死亡する例は極めて少ないことがわかるでしょう。
また、海外では多くの妊婦さんが無痛分娩を受けています。2023(令和5)年の日本の無痛分娩率が11.6%だったのに対し、アメリカは73.1%、イギリスは60%、カナダは57.8%と、日本に比べてかなり高くなっています。
このように、無痛分娩は海外では主流の分娩方法であり、過度に心配する必要はないといえるでしょう。
無痛分娩のメリットは?

無痛分娩のリスクはゼロではありませんが、メリットも多くあります。
ここでは、無痛分娩のメリットを紹介します。
分娩時の痛みを軽減できる
無痛分娩は、麻酔を使用して分娩時の痛みを軽減します。痛みに対する恐怖感が抑えられ、リラックスした状態で出産を迎えることができるでしょう。
ただし、まったくの無痛になるわけではありません。陣痛が始まってから麻酔を開始するので、最初は痛みを感じます。また、痛みを完全になくしてしまうといきむタイミングがつかめないので、痛みの感覚はある程度残ります。
完全なる無痛ではないものの、出産による強い痛みを軽減できるのは大きなメリットといえるでしょう。
妊婦さんの産後の回復が早い
出産の痛みが軽減されることで、妊婦さんの体力消耗が少なくすみます。
自然分娩の場合、出産の強い痛みで体力が奪われ、数日間動けなくなってしまうことも。
一方、無痛分娩なら痛みによる疲れが軽減されるため、早い段階で日常生活に戻ることができ、赤ちゃんのケアも早めにできるようになります。
出産への恐怖心を和らげられる
無痛分娩では痛みに対する不安が少ないため、出産前の精神的な負担が軽減され、前向きな気持ちで出産に臨むことができます。
初めて出産を迎える女性だけでなく、最初の出産で痛みを強く感じた妊婦さんにとっても、出産にポジティブに向き合えるのはうれしいポイントですね。
無痛分娩を選んだほうがよい人は?

「私は無痛分娩にしたほうがいいのかな?」と悩む人もいるでしょう。ここでは、無痛分娩を選んだほうがよいケースを紹介します。
分娩方法を検討する際の参考にしてくださいね。
痛いのが苦手
痛みに弱い、苦手だという人は無痛分娩を選ぶとよいでしょう。
普段から痛みに対して敏感だったり、激しい痛みを経験したことがあったりする人は「陣痛や出産が怖い」と感じることもありますよね。
無痛分娩であれば、分娩時の恐怖感を軽減し、リラックスした状態で出産に臨むことができます。
過去に経験した痛みがトラウマになっている人や、痛みへの苦手意識がある人は、無痛分娩を検討してみてください。
血圧が高い
血圧が高い人も、無痛分娩を検討されることがあります。
分娩中は痛みによる影響で血圧が上がるので、もともと血圧が高い場合、さらに血圧が上がり、けいれんや頭蓋内出血を起こすおそれがあります。
無痛分娩によって痛みを軽減できれば、血圧の上昇を抑えることができます。出産時のリスクを抑えられるので、血圧が高めの妊婦さんも安心して出産に臨めるでしょう。

無痛分娩ができない人は?

無痛分娩を避けたほうがよい・できない人とはどのような人なのでしょうか。ここでは、無痛分ができない可能性があるケースをいくつか紹介します。
なお、無痛分娩できるかどうかは病院や医師によって異なります。無痛分娩できるか不安な場合は、医師に相談しましょう。
持病を抱えている
血液疾患や脊椎などに持病がある場合、無痛分娩ができないことがあります。
そのため、無痛分娩の前にはあらかじめ血液検査などを行い、問題なく無痛分娩できるかを確認します。検査の結果や医師の指示に従って分娩方法を選びましょう。
麻酔のアレルギーがある
ごくまれですが、麻酔によって蕁麻疹や呼吸困難などの重篤なアレルギー反応を起こすリスクがあります。
命にかかわるおそれもあるため、過去に麻酔でアレルギー反応が出たことがある場合は、必ず医師に相談しましょう。
肥満
肥満の人も、無痛分娩ができない可能性があります。
肥満により背中に厚い脂肪がついていると、麻酔を注入するカテーテルを挿入する位置がつかめず、神経を傷つけてしまうリスクがあるのです。
分娩の進みが早い
分娩が進むのが早い人は、麻酔が間に合わず無痛分娩ができないことも。
無痛分娩を行うためにはさまざまな準備が必要で、入院が決まってから早くても2時間はかかります。その間に子宮口が全開し、出産のほうが先になることもあるのです。
特に、2人目以降のお産は早く進む傾向があるため、無痛分娩が間に合わないケースが多いといえます。
無痛分娩のリスクについてよくある質問

ここでは無痛分娩に関するよくある質問を紹介します。
無痛分娩は本当に痛くないの?
完全に痛みがなくなるわけではありません
無痛分娩は、完全に痛みがなくなるわけではありません。麻酔が効き始める前までは陣痛を感じますし、いきむために出産中も痛みの感覚をわずかに残してあります。とはいえ、通常の分娩と比較すると痛みはかなり軽減されます。分娩中のストレスを軽減し、リラックスした状態で出産を迎えることができるでしょう。
無痛分娩をして後悔することはある?
無痛分娩によるリスクを理解していないと、後悔することもあるかもしれません
無痛分娩の副作用やリスクをしっかり理解していないと、後悔することがあります。無痛分娩では、麻酔による副作用や、麻酔が効かないなど想定外のことも考えられます。また、陣痛が弱くなることでお産が長引き、ママや赤ちゃんに負担がかかることも。これらのリスクを事前にしっかりと理解し、納得したうえで無痛分娩を選択しましょう。
先輩ママにアンケート|無痛分娩にしてよかった?

トモニテ編集部は、出産を経験した女性を対象に、出産・分娩方法に関するアンケートを実施。
無痛分娩での出産を経験した人に、次も無痛分娩を選択するかを尋ねたところ、95.5%が「はい」と回答しました。
その理由について、以下のコメントが寄せられています。

たんさん/30代/専業主婦/中部地方在住/1児のママ

やきとりさん/30代/専業主婦/関東地方在住/2児のママ

ゆきりんさん/30代/専業主婦/九州・沖縄地方在住/2児のママ
落ち着いて出産できた、産後の回復が早かったなどの理由が挙げられていました。上記の体験談を参考に、無痛分娩にするかを検討してみてくださいね。
無痛分娩にはリスクもある!デメリットもしっかり理解して検討しよう

無痛分娩には多くのメリットがある一方で、リスクやデメリットもあります。
完全な無痛ではないこと、麻酔による副作用が起きる可能性があることなど、リスクも踏まえたうえで無痛分娩を検討しましょう。
「私は無痛分娩できるのかな?」と疑問に思う場合は、医師に相談してくださいね。
- 無痛分娩にはお産が長引く・麻酔の副作用があるなど、リスクもある
- 痛みに弱い人、出産に対する恐怖心が強い人は無痛分娩を検討しよう
- 持病やアレルギーによっては無痛分娩ができないことも
- 後悔のないよう、メリットだけではなく無痛分娩のリスクもしっかり確認して
出典
- 国立成育医療研究センター,「無痛分娩について」,2025/2/10閲覧
- 国立成育医療研究センター,「無痛分娩における麻酔導入時の胎児徐脈の原因究明」,2025/2/5閲覧
- 聖路加国際病院,「無痛分娩ー聖路加国際病院の分娩時の鎮痛についてー」,p13,2025/2/5閲覧
- 医療法人聖粒会慈恵病院,「無痛分娩とは?無痛分娩の安全性」,2025/2/5閲覧
- 国立成育医療研究センター,「妊娠高血圧症候群(Hypertensive Disorders of Pregnancy: HDP)」,2025/2/5閲覧
- 日本産科麻酔学会,「Q18. 硬膜外鎮痛をしてはいけない場合はあるのでしょうか?」,2025/2/5閲覧
- 日本麻酔科学会,「過去にアレルギーやアナフィラキシーをおこしたことがある方」,2025/2/5閲覧
- 厚生労働省,「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築について」,p6,2025/2/18閲覧
- 日本産科麻酔学会,「Q19.海外ではどのくらいの女性が硬膜外無痛分娩を受けているのでしょうか?」,2025/2/18閲覧
- 日本産婦人科医会,「無痛分娩 産科施設の立場から〜日本産婦人科医会施設情報からの解析〜」,p4,2025/2/18閲覧
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