
【医師監修】妊婦健診のエコー検査でわかる胎児の異常とは?時期別に解説
妊婦健診のエコー検査では、赤ちゃんの発育状況を確認できますが、何らかの異常が偶然見つかることもあります。
エコー検査ではどのような異常が見つかるのでしょうか。また、異常が指摘された場合、どう対応すればよいのかも気になりますよね。
この記事では、エコー検査で発見される可能性がある胎児の異常を、時期別に解説します。異常が見つかった場合の対応も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
妊婦健診のエコー検査では、赤ちゃんの発育状況を確認できますが、何らかの異常が偶然見つかることもあります。
エコー検査ではどのような異常が見つかるのでしょうか。また、異常が指摘された場合、どう対応すればよいのかも気になりますよね。
この記事では、エコー検査で発見される可能性がある胎児の異常を、時期別に解説します。異常が見つかった場合の対応も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
妊婦健診のエコー検査で胎児の異常がわかるって本当?

妊婦健診のエコー検査は超音波検査ともいい、赤ちゃんの発育状況や健康状態を確認する目的で行われます。
しかし、検査の過程で赤ちゃんの異常が偶然見つかることがあります。エコー検査だけで異常を確定することは難しいので、より正確な診断を行うために追加の検査を医師からすすめられる場合があります。
エコー検査でわかる胎児の異常とは?

エコー検査で確認されることがある異常は、妊娠時期によって異なります。ここでは、初期・中期・後期それぞれの時期において、エコー検査で判明する可能性のある胎児の異常について解説します。
なお、赤ちゃんの発育のスピードや異常が確認されるタイミングはケースにより異なるため、発見時期が前後する可能性があります。また、以下で紹介する所見がエコー検査で確認されたからといって、異常があると断言することはできません。
エコー検査だけで異常の有無を正確に判断することは難しいので、あくまで参考程度に考えてくださいね。
妊娠初期のエコー検査でわかる胎児の異常
さまざまな器官が形成される妊娠初期(妊娠0〜15週頃)には、以下の異常がエコー検査で見つかることがあります。
妊娠初期に発見されることがある異常
無脳症
無脳症とは、脳の一部またはすべてが欠損している状態のことです。エコー検査では、頭部に丸みがなかったり、頭部の一部が映らなかったりするなど、脳が正常に形成されていない様子が確認されます。
二分脊椎
二分脊椎とは、背骨の一部がうまく形成されず、脊髄が背骨の外に出ている状態です。エコー検査では、脊椎の欠損や、赤ちゃんの背中に袋状の構造が見られることがあります。
胎児項部浮腫(NT)
胎児項部浮腫(Nuchal Translucency:NT)とは、首の後ろのむくみが厚くなる状態です。NTは健康な赤ちゃんにもみられますが、通常よりも厚い場合は染色体異常や心奇形の可能性があるとされています。エコー検査では、首の後ろに厚みがある様子が確認されます。
妊娠中期のエコー検査でわかる胎児の異常
多くの器官や組織の成長が加速する妊娠中期(妊娠16〜27週頃)では、以下の異常がエコー検査で見つかることがあります。
妊娠中期に発見されることがある異常
先天性心疾患
先天性心疾患とは、先天的な心臓の異常のことです。最近では、エコー検査で発見されることが多くなり、早ければ妊娠20週頃に確認されます。エコー検査では、血流や心臓の位置・形状が通常とは異なって見えます。
口唇口蓋裂
口唇口蓋裂とは、上唇や上顎が十分に形成されず裂けてしまう病気です。エコー検査では、赤ちゃんの口元が裂けている様子がみられます。
腎奇形(腎盂拡張など)
腎奇形とは、腎臓の形状に異常が生じる病気です。エコー検査では、腎臓が通常よりも大きくなっている状態(尿が溜まっている部分)などが確認されます。
骨形成不全
赤ちゃんの骨がうまく発育せず、骨折や変形が起こりやすくなる病気です。エコー検査では、手足の長さが通常より短いことや、骨の弯曲などが見られます。
妊娠後期のエコー検査でわかる胎児の異常
妊娠後期(妊娠28週以降)では、以下の異常がエコー検査で確認されることがあります。
妊娠後期に発見されることがある異常
胎児発育不全(Fetal Growth Restriction:FGR)
胎児発育不全とは、赤ちゃんの発育が遅れたり、止まったりしてしまうことです。エコー検査では、赤ちゃんの頭の大きさ、腹囲、足の長さなどから推定される赤ちゃんの推定体重が通常よりも小さかったり、前回の妊婦健診から発育が見られないことがあります。
水頭症
水頭症とは、脳室などの頭蓋内腔に水がたくさん溜まってしまう状態のことです。エコー検査では、脳室が通常よりも大きくなっている様子が確認されます。
臍帯巻絡(さいたいけんらく)
臍帯巻絡とは、へその緒が赤ちゃんの体に巻きついてしまうことです。特に首に巻きついてしまう「頸部巻絡(けいぶけんらく)」が多くみられます。
臍帯巻絡自体は妊娠全体の30%ほどにみられ、1回だけ巻きついている場合は出産に影響がないことがほとんどです。しかし、巻きついている回数が多い、巻きつきが強いなどの場合は、赤ちゃんの心拍数の低下や難産のリスクが高くなるため、場合によっては帝王切開が行われることもあります。
消化管閉鎖
消化管閉鎖は、赤ちゃんの消化管が正常に発達せず、塞がっていたり狭くなっていたりする状態を指します。エコー検査では、胃や腸が拡張している様子や羊水過多などが確認されます。
エコー検査で胎児の異常が見つかったらどうすればいい?

エコー検査で赤ちゃんの異常が指摘されたら、まずは医師の説明をしっかりと聞き、その後どうすればよいのか指示を仰ぎましょう。
追加で精密検査を要したり、大きな病院に転院したりと、状態によって対応が異なります。なかには心配しなくてもよく、追加の検査や対応が必要ない場合もあります。
また、異常の種類によっては、出生後に治療が可能なものもあるため、医師と相談しながら今後の対応や選択肢を検討しましょう。
エコー検査についてよくある質問

ここでは、エコー検査と赤ちゃんの異常についてよくある質問に回答します。
エコー検査でダウン症の有無はわかる?
ダウン症の可能性を知ることはできますが、確定診断はできません
エコー検査では、ダウン症の子によくみられるNTや心臓の異常などが確認される場合があります。しかし、これらの所見があってもダウン症と断言することはできません。特に、NTは健康な赤ちゃんにもみられます。エコー検査だけでは異常の有無を正確に判断することは難しいので、確定診断にはスクリーニング検査や羊水検査などの追加の検査が必要です。エコー検査の結果だけで判断するのではなく、必要に応じて医師と相談しながら追加検査を検討しましょう。
エコー検査で医師に何も言われない=異常がないということ?
必ずしも異常がないとは言い切れません
エコー検査で医師から特に指摘がなかった場合でも、100%異常がないとは言い切れません。赤ちゃんの異常には、エコーでは判別しにくいものや、出産後に明らかになるものもあるためです。不安がある場合は、より詳細な検査を受けることも可能なので、医師に相談してみましょう。
「異常なし」と言われたけれど不安な場合はどうすればいい?
胎児スクリーニング検査を任意で受けられます
妊婦健診のエコー検査だけでは不安を感じる場合、胎児スクリーニング検査を任意で受けることが可能です。胎児スクリーニング検査では、より詳しいエコー検査を行い、異常の可能性を精査します。異常が確認された場合は、大きな病院で羊水検査などの追加検査を受けることになります。医師やパートナーとよく相談したうえで、受けるかどうかを検討しましょう。

また、胎児スクリーニング検査で異常が疑われた場合、さらなる検査を受けるかどうか、妊娠継続を希望するかどうかなど、難しい判断を迫られることもあります。
遺伝カウンセリングの専門資格を持った医療者がいる医療機関で検査を受けたり、医師やパートナーと相談したりして、今後の対応を検討しましょう。
エコー検査で異常を指摘されても、問題なく生まれてくることはある?
出生後に何の異常もみられないこともあります
エコー検査で異常が指摘された場合でも、健康に生まれてくるケースもあります。また、一部の異常から発見された疾患や症状は、出生後の治療により改善することもあります。異常が見つかったからといって、必ずしも何らかの疾患があるとは限らないので、医師の説明をよく聞き、落ち着いて対応しましょう。
エコー検査で異常が見つかっても焦らず医師に相談しよう

エコー検査は赤ちゃんの健康状態を確認する検査ですが、何らかの異常が偶然見つかることもあります。しかし、エコー検査だけで異常を確定させることはとても難しく、必ず疾患があると断定することはできません。
異常が指摘された場合、まずは医師の指示をよく聞きましょう。必要に応じて医師から追加の検査をすすめられることがあります。
エコー検査で異常が見つかると不安に感じますが、問題なく元気に生まれてくる赤ちゃんもいます。赤ちゃんの成長を信じて、前向きに過ごせるとよいですね。
- エコー検査で異常が偶然見つかることがある
- 異常が見つかってもエコー検査だけで確定することは難しい
- 確定診断には、スクリーニング検査や羊水検査などが必要
- 異常が確認されても問題なく生まれてくる赤ちゃんもいる
- 異常を指摘されたらまずは医師の指示をよく聞こう
出典
- 日本脳神経外科学会,「二分脊椎」,2025/4/25閲覧
- 日本産婦人科医会,「23. 骨格胎児の形態異常(骨格)」,2025/4/25閲覧
- 日本産婦人科医会,「Nuchal Translucencyについて」,2025/4/25閲覧
- 日本産婦人科医会,「NTとは何でしょうか?」,2025/4/25閲覧
- 新潟大学大学院医歯学総合研究科,「胎児浮腫の病態と疾患発症リスク」,2025/4/25閲覧
- 日本心臓財団,「先天性心疾患の発見」,20225/4/25閲覧
- 日本小児循環器学会,「胎児心エコー検査ガイドライン(第2版)」,p18,2025/4/25閲覧
- 日本産婦人科医会,「口唇・口蓋裂」,2025/4/25閲覧
- 日本形成外科学会,「口唇口蓋裂(唇顎口蓋裂)」,2025/4/25閲覧
- 大阪大学医学部附属病院,「頭部の疾患 口唇裂・口蓋裂」,2025/4/25閲覧
- 東京女子医科大学病院,「水腎症」,2025/4/25閲覧
- 小児慢性特定疾病情報センター,「38から44までに掲げるもののほか、腎奇形」,2025/4/25閲覧
- 日本産婦人科医会,「胎児泌尿器系異常 (閉塞性尿路疾患、嚢胞性腎奇形など)を見つけたら (産科編)」,2025/4/25閲覧
- 日本小児外科学会,「小児外科で治療する病気 先天性腎疾患」,2025/4/25閲覧
- 難病医学研究財団/難病情報センター,「骨形成不全症(指定難病274)」,2025/4/25閲覧
- 和歌山県立医科大学 産科婦人化学教室,「産科【胎児発育不全(FGR)】」,2025/4/25閲覧
- 母子衛生研究会,「Q.妊娠29週。胎児の脳室拡大を指摘され、将来の発育が気がかりです。(2014.12)」,2025/4/25閲覧
- 日本産婦人科医会,「胎児水頭症 『出生前診断と妊娠中の対応』」,2025/4/25閲覧
- 日本産婦人科医会,「胎児消化管閉鎖疾患(食道閉鎖、十二指腸・小腸閉鎖、鎖肛など)[産科編]」,2025/4/25閲覧
- 日本産婦人科医会,「32. 臍帯巻絡・真結節」,2025/4/28閲覧
- 日本小児科学会,「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)新指針(案)に関する日本小児科学会の基本姿勢」,2025/4/28閲覧
- 日本医学会,「NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」,2025/4/28閲覧
【注意事項】
本記事は公開時点での情報となります。
本サイトでは正確な情報を提供できるよう最善を尽くしておりますが、妊娠期の母体の状態は個々人により異なるためすべての方に適用できるものではございません。
記事の一部では妊娠中の方から寄せられた体験談を紹介しておりますが、個人の実体験に基づいており医学的根拠があるものとは限りません。専門家の見解と異なる意見も含まれるためご注意ください。
掲載情報に基づく判断はユーザーの責任のもと行うこととし、必要に応じて適切な医療機関やかかりつけの病院などに相談・受診してください。
サイベックスベビーカー当たる!
人気のベビーカー「サイベックス リベル」が当たるよ♪
アプリで妊娠中の体調管理&情報収集!
自分の週数に合わせて情報が出てくる!
ママの妊娠週数に応じたおすすめ記事が表示されます。
ネットなどでわざわざ調べに行かなくても、出産予定日を設定するだけで、ママの妊娠週数に応じた情報が手に入りますよ!

おなかの赤ちゃんの成長がイラストでわかる
妊娠中のママがおなかの赤ちゃんの成長をよりイメージしやすくなる新機能です。
出産予定日までの日数をカウントダウンしながら、イメージイラストで週数に合わせて赤ちゃんが成長していくようすが見れます。

イラストをタップすると、赤ちゃんからのひとことが表示され、妊娠中のママを応援してくれます!

医師監修のメッセージで週ごとの赤ちゃんとママの様子がわかる
医師監修のもと、赤ちゃんやママに関する様子や変化に関する読み物を毎日更新!
「今日の赤ちゃんのようす」では、おなかの中で赤ちゃんがどう過ごしているのかなどについて分かります。

「今週のママのようす」では妊娠中のママの体調変化、過ごし方のアドバイスなどを毎週読むことができます。
パパにママの体調を理解してもらう助けにもなりますよ。
