
妊娠中の喫煙が赤ちゃんに与える影響とは?タバコのリスクや禁煙の重要性も解説
妊娠中は、お腹の赤ちゃんへの影響を考え禁煙することが大切です。
しかし「妊娠に気づかずタバコを吸ってしまったけど大丈夫…?」「電子タバコなら安全なのでは?」と疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。この記事では、妊娠中の喫煙が赤ちゃんや母体に与える影響、出産後のリスク、禁煙する方法などを詳しく解説します。妊娠中のタバコとの向き合い方について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんへの影響を考え禁煙することが大切です。
しかし「妊娠に気づかずタバコを吸ってしまったけど大丈夫…?」「電子タバコなら安全なのでは?」と疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。この記事では、妊娠中の喫煙が赤ちゃんや母体に与える影響、出産後のリスク、禁煙する方法などを詳しく解説します。妊娠中のタバコとの向き合い方について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
妊娠中は必ず禁煙しよう!

妊娠中は禁煙することがとても大切です。タバコに含まれる有害物質は、お腹の赤ちゃんの成長や健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
母体に悪影響を及ぼすリスクもあるので、妊婦さんと赤ちゃんの健康を守るために、妊娠中は全期間を通して禁煙しましょう。
妊娠中の喫煙はなぜダメ?タバコが妊娠に与える影響とは

妊娠中の喫煙は、母体だけでなくお腹の赤ちゃんにもさまざまな悪影響を及ぼします。
ここでは、喫煙が赤ちゃんと母体に与える影響について詳しく見ていきましょう。
赤ちゃんの発育が遅れる
タバコの煙に含まれるニコチンの作用によって胎盤の血流が悪くなり、赤ちゃんに十分な酸素や栄養が届きにくくなります。その結果、赤ちゃんの発育が遅れ、低出生体重児となるリスクが高まることがわかっているのです。
これまでの研究では、タバコを吸う妊婦さんでは、タバコを吸わない妊婦さんに比べ低出生体重児が生まれる確率が約2倍になるという報告もあります。
低出生体重児として生まれた赤ちゃんは、出生後に医療的なケアが必要となることが多く、将来的な発達や健康におけるリスクも高いといわれています。
先天異常のリスクが高まる
妊娠中の喫煙は、先天性異常のリスクを高めることが報告されています。
最近の研究では、妊娠中にタバコを吸うと、胸筋の一部欠損や指どうしのくっつきがみられる「ポーランドシークエンス」や、唇や上顎などが裂ける「口唇・口蓋裂」の発生率がやや増加するという報告もなされています。
このように、妊娠中のタバコについては、赤ちゃんの奇形につながる可能性も指摘されているのです。
早産・流産・前置胎盤などが起こりやすくなる
妊娠中の喫煙は、早産や流産、前置胎盤などのリスクを高める原因にもなります。
特に早産については、喫煙本数が多いほどリスクが高まることが明らかになっています。たとえば、妊婦さんが非喫煙者の場合の早産率は6%ほどですが、1日の喫煙本数が5本以上の場合は7%、6〜10本の場合は11%、11〜20本の場合は13%と、本数が増えるほど早産率が高くなっているのです。
また、流産や前置胎盤、常位胎盤早期剥離などの発生率も2〜3倍になるといわれています。
母体への影響
妊娠中の喫煙は、母体の健康にも影響を及ぼします。
これまでの研究では、喫煙者の妊婦さんは「妊娠高血圧症候群」になるリスクが高いことが報告されています。
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に高血圧がみられる病気です。むくみや頭痛、めまいなどの症状をともない、重症化すると母体や胎児の命にかかわることもあります。
妊娠中の喫煙は出産後の赤ちゃんにも影響する

妊娠中に喫煙していた場合、赤ちゃんが「乳幼児突然死症候群(SIDS)」を発症するリスクが高まることがわかっています。
SIDSは、健康な赤ちゃんが何の予兆もなく突然亡くなってしまう原因不明の病気です。妊婦さんがタバコを吸っていた場合や、妊娠中の受動喫煙などによって発症のリスクが高まるといわれています。
出産後の影響も考え、妊娠中は妊婦さんやパートナーの禁煙がとても重要です。
喘息や注意欠陥多動性障害(ADHD)との関連性も指摘されている
近年の研究では、妊娠中の喫煙が赤ちゃんの将来的な健康や発達にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。特に、妊娠中の喫煙が赤ちゃんの喘息や注意欠陥多動性障害(ADHD)の発症率に関連することが報告されています。
妊娠中や出産直後だけでなく、その後の赤ちゃんの成長にもかかわるため、妊娠中の禁煙は非常に重要です。
いつから禁煙するとよい?

妊娠を考え始めた時点から禁煙しましょう。
妊娠に気づかずにタバコを吸っていた場合、知らないうちに赤ちゃんをタバコの危険にさらしてしまう可能性があります。
リスクを最小限に抑えるためにも、妊娠前からタバコをやめることが大切です。
パートナー・家族も禁煙するべき?

妊娠中の受動喫煙も赤ちゃんに悪影響を及ぼすため、周囲の人の協力が欠かせません。
喫煙者が吐き出す「呼出煙」やタバコから出される「副流煙」には、喫煙者が直接吸い込む「主流煙」よりも有害物質が多く含まれていることがあります。
また、喫煙者の髪の毛や服などにも有害物質が付着しています。喫煙者と同じ空間にいるだけでもリスクにつながるため、パートナーや同居の家族も禁煙することがとても大切です。
家族全員で禁煙に取り組み、妊婦さんと赤ちゃんの健康を守りましょう。
どうしてもタバコを吸いたくなったらどうすればいい?

長年の喫煙習慣がある人にとって、禁煙は簡単なことではありません。ふとした瞬間にタバコを吸いたい衝動にかられることもあるでしょう。
ここでは、妊娠中にタバコを吸いたくなった場合の対処法を解説します。
ガムや飴などで気を紛らわせる
タバコを吸いたくなったときは、ガムを噛んだり飴を舐めたりしてみましょう。手軽にできる方法なので、外出先などでも実践しやすいですよ。
ただし、甘い飴を多く舐めすぎると、妊娠糖尿病などの合併症や虫歯を引き起こす可能性があるため、摂り過ぎには注意しましょう。ノンシュガーの飴や低カロリーのものを選ぶと安心です。
禁煙外来を受診する
自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来の受診も検討しましょう。禁煙に向けて、専門の医師による適切なサポートを受けられますよ。
無理のない禁煙の進め方を知ることで、心の負担も軽減されるでしょう。
妊娠中のタバコ・喫煙についてよくある質問

ここでは、妊娠中の喫煙についてよくある質問を取り上げ、わかりやすくお答えします。
妊娠中のタバコ、1日1本でも赤ちゃんに影響する?
1日1本のタバコでも影響する可能性が十分にあるので、完全に禁煙しましょう
妊娠中は、1日1本のタバコでも胎児の発育に悪影響を与え、赤ちゃんが低出生体重児になるリスクが高くなります。「1本だけなら大丈夫」と油断してしまわないように注意しましょう。赤ちゃんの健康を守るため、妊娠がわかった時点で完全に禁煙することが大切です。
電子タバコや加熱式タバコでも吸ってはダメ?
健康に悪影響を及ぼす可能性があるため避けましょう
電子タバコや加熱式タバコは害が少ないと思われがちですが、実際には安全性が確立されておらず、胎児や母体に悪影響を与える可能性があります。電子タバコは「ホルムアルデヒド」という発がん性物質を発生させるほか、加熱式タバコには有害物質であるニコチンが含まれています。一概に「電子タバコ・加熱式タバコは紙巻きタバコよりもリスクが低い」とは言えないので、妊娠中は使用しないようにしましょう。タバコの種類にかかわらず、禁煙を徹底することが大切です。
出産後はいつからタバコを吸ってもいい?
少なくとも授乳が終わるまでは禁煙を続けましょう
少なくとも授乳期間中は禁煙を継続しましょう。ニコチンなどの有害物質によって母乳が出なくなったり、赤ちゃんが肺炎や気管支炎にかかりやすくなったりする可能性があります。また、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクにもつながるため、出産後の禁煙は非常に大切です。赤ちゃんの健康を守るためにも、少なくとも卒乳までは禁煙を続けましょう。
外出先などでタバコの煙を避けられないときはどうすればいい?
マスクをつけるなどの対策を行いましょう
外出先など、受動喫煙を完全に避けるのが難しい場合は、マスクの着用や喫煙エリアを避ける、風通しのよい場所に移動するなどの工夫をしてみましょう。受動喫煙は、タバコの煙だけでなく、喫煙者の衣服や髪の毛、呼気などから有害物質を吸い込むことでも起こります。そのため、喫煙エリアにはできるだけ近づかない、人混みではマスクをするなど、タバコの有害物質をなるべく避けることが大切です。周囲にも、妊娠中であることや受動喫煙の危険性を伝え、協力を得られると安心ですね。
妊娠中の喫煙は控え受動喫煙にも注意しよう

妊娠中の喫煙は、赤ちゃんと母体の健康に深刻な影響を与える可能性があります。
たとえ少量であってもリスクはゼロではありません。1日1本の喫煙でも胎児の発育に影響を及ぼすリスクが高まるので、妊娠を望む人は今から禁煙を始めましょう。
自力での禁煙が難しい場合は一人で悩まず、周囲の協力や専門機関を頼りながら禁煙に取り組んでいきましょう。
- 妊娠中のタバコは、低出生体重児や先天異常などのリスクを高める
- 早産・流産・前置胎盤、母体の合併症のリスクの原因にもなる
- 妊娠中の喫煙により、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクも高まる
- 受動喫煙防止のため、パートナーや周囲の人の協力も欠かせない
- 妊娠を望んだ時点で禁煙を始めよう
出典
- 厚生労働省,「Q 妊娠中の健康への悪影響について」,2025/6/10閲覧
- 厚生労働省,「-たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう-」,2025/6/10閲覧
- 厚生労働省,「低出生体重児保健指導マニュアル」,2025/6/10閲覧
- 日本産婦人科医会,「飲酒、喫煙と先天異常」,2025/6/10閲覧
- 日本形成外科学会,「合指症」,2025/6/10閲覧
- Annals of plastic surgery,「ポーランドシーケンス:66症例の遡及的分析」,2025/6/10閲覧
- 国立成育医療研究センター,「口唇口蓋裂」,2025/6/10閲覧
- 環境省,「喫煙妊婦では妊娠高血圧症候群の頻度が高い:エコチル調査」,2025/6/10閲覧
- 日本産科婦人科学会,「妊娠高血圧症候群」,2025/6/10閲覧
- こども家庭庁,「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」,2025/6/10閲覧
- 北海道大学,「妊婦の喫煙、未就学児のADHD発症、DNAメチル化の3つの関係を調べました」,2025/6/10閲覧
- 富山大学,「母体喫煙と乳児の喘鳴(ぜんめい)および喘息発症との関連について」,2025/6/10閲覧
- 厚生労働省,「子育て世代のみなさまへ」,2025/6/10閲覧
- 禁煙科学4巻,「妊婦の受動喫煙と胎児、子どもへの影響」,2025/6/10閲覧
- 日本医師会,「誰かのたばこの煙を吸うだけで喫煙者と同様のリスクがあります」,2025/6/10閲覧
- 日本禁煙学会,「妊婦の新型タバコの健康への影響に関する認識とニコチン依存度の実態」,2025/6/10閲覧
【注意事項】
本記事は公開時点での情報となります。
本サイトでは正確な情報を提供できるよう最善を尽くしておりますが、妊娠期の母体の状態は個々人により異なるためすべての方に適用できるものではございません。
記事の一部では妊娠中の方から寄せられた体験談を紹介しておりますが、個人の実体験に基づいており医学的根拠があるものとは限りません。専門家の見解と異なる意見も含まれるためご注意ください。
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