赤ちゃんの頭のかたち、心配しすぎ？整える方法と病院に相談すべきサインとは

赤ちゃんの頭の形は「丸いのが理想」と思うママ・パパも多いですが、実際には成長の過程で少し平らになったり、左右差が出たりすることがあります。特に生後数ヶ月までは頭の骨がやわらかく、変化しやすいため、寝る向きや生活環境の影響を受けやすいといえます。

ここからは、赤ちゃんの頭の骨の特徴や形のタイプ、ゆがみの原因を詳しく見ていきましょう。

生まれたばかりの赤ちゃんの頭はいくつかの骨が組み合わさってできており、大人と違って骨同士がまだしっかりとつながっていません。「縫合」と呼ばれる部分でつながり、間にはやわらかい隙間（大泉門・小泉門）が残っています。

これは、産道をスムーズに通過するためや、脳が急速に成長するスペースを確保するためで、生後2年ほどかけて徐々に閉じていきます。そのため、生後0〜6ヶ月ごろは外からの力に影響されやすく、頭の形が変わりやすい時期といえます。

赤ちゃんの頭の形のゆがみには、いくつかのパターンがあります。

たとえば「斜頭」は後頭部の左右どちらかが平らになるタイプで、耳の位置にもずれが出ることがあります。「短頭」は後ろ全体が平らで幅広い形になり、「長頭」は反対に頭の前後が長くなるのが特徴です。

真上から見たり、写真を撮って比べると、どのタイプかわかりやすくなります。

赤ちゃんの頭の形のゆがみの大きな原因は「向き癖」です。赤ちゃんはお気に入りの向きがあると、寝るときにいつもそちらを向きがちです。また、ベビーベッドや親の声がする方向が固定されていると、同じ側ばかりに顔を向けやすくなります。

さらに、胎内での姿勢や分娩時の圧力が影響することもあります。これらの要因が重なることで一定の場所に圧がかかりやすくなり、頭の形に偏りが生じやすくなるのです。

「頭の形のゆがみは成長とともに自然に治る」という話も耳にするものの、「早めに治療しないとそのままの形で定着してしまうのでは」と不安になるママ・パパも多いでしょう。

実際には、月齢やゆがみの程度によって、改善の可能性や必要な対応が変わります。ここからは、自然に目立たなくなるケースと限界、整えるタイミング、そして病気の可能性との違いについて見ていきましょう。

軽度のゆがみであれば、成長に伴い髪が生えそろったり、首がすわって動きが増えたりすることで目立たなくなることがあります。ただし、左右差が強い場合や顔立ちに影響が出ている場合は、自然改善だけでは限界があることも考えられます。

そのため、ゆがみに気づいた時点からできるだけ早く生活環境を整え、必要なら医師に相談することが大切です。

赤ちゃんの頭は生後6ヶ月ごろまでが最もやわらかく、この時期に体勢や生活環境を工夫すると改善を期待しやすいです。首がすわり寝返りが始まると頭にかかる圧が自然に分散されるようになり、変形が進みにくくなります。

ただし1歳を過ぎると骨がしっかりしてきて矯正が難しくなるため、整えるなら生後3〜6ヶ月を目安に取り組むのが理想的です。

単なる向き癖ではなく、病気が原因のゆがみが現れることもあります。

代表的なのが「頭蓋縫合早期癒合症」で、頭の骨同士が早く閉じてしまうために独特の変形が見られます。この場合は自然に治ることはなく、専門的な治療が必要です。

頭の形が極端に変わっている、あるいは成長とともに悪化しているようなら、小児科や専門外来に相談するようにしましょう。

赤ちゃんの頭の形を整えるには、日常のちょっとした工夫がとても大切です。特に生後6ヶ月ごろまでのやわらかい時期に、家庭で安全にできるケアを取り入れると効果が出やすいといえます。

ここではタミータイムや抱っこの工夫、寝かせ方、そして気になる人の多い枕の使用方法についてご紹介します。

タミータイムとは、赤ちゃんをうつ伏せにして遊ばせる時間のことです。新生児期から短時間でも取り入れられ、生後3ヶ月ごろには1日数回・合計20分ほどを目安にするとよいとされています。

はじめはママの胸の上で抱き合う形でも大丈夫です。慣れてきたら床にマットを敷き、おもちゃを使って首を上げる練習につなげると、頭の形だけでなく運動発達にもプラスになります。

同じ側ばかりで授乳したり抱っこしたりすると、赤ちゃんは自然とお気に入りの向きができやすくなります。授乳の腕を左右交互に変える、抱っこの向きを変えるなど、日常の小さな工夫が頭のゆがみの予防につながります。

また、寝かせるときにベッドの向きを入れ替えるだけでも効果があります。赤ちゃんが無理なく首を動かせる環境をつくることが、ゆがみ予防の第一歩になります。

「頭の形を整える枕」として市販されている商品もありますが、就寝時の使用には注意が必要です。柔らかい枕やポジショナーは窒息につながる可能性があるため、基本的には使わないのが安心です。

頭の形を整えるためには、まずは安全な仰向け睡眠を守りつつ、タミータイムや抱っこの工夫などで調整していくことが推奨されています。

赤ちゃんの頭の形について、家庭での工夫だけでは改善が難しい場合や、ゆがみが強く心配な場合は医療機関に相談するようにしましょう。「自然に治るのか」「治療が必要なのか」を専門家と一緒に判断すると安心につながります。

ここでは受診の目安や、代表的な治療法、そして家庭ケアとの違いについてご紹介します。

頭のゆがみが月齢を重ねても改善されない、顔の左右差が強い、耳の位置にずれが見られるといった場合は医師に相談が必要です。また、首が片側にしか動かない（斜頸の疑い）など、運動面の問題がある場合も早めの受診が勧められます。

最初は小児科で相談し、必要に応じて形成外科や頭の形専門外来を紹介してもらうと安心です。

ヘルメット治療は、専用のヘルメットを1日23時間ほど装着し、成長に合わせて頭の形を整えていく方法です。効果が高いのは生後3〜8ヶ月の間で、1歳を過ぎると骨が硬くなるため矯正効果は低くなります。

自費診療となることが多く、費用は30～60万円程度が目安です。装着は大変そうに思えますが、赤ちゃんはすぐに慣れるケースが多いとされています。

軽度のゆがみであれば家庭での体位変換やタミータイムで十分改善が期待できます。中等度の場合は、専門家による理学療法で首や体のバランスを整えることが有効です。重度の場合はヘルメット治療を検討するのが一般的です。

医師は月齢やゆがみの程度を見て適切な選択肢を提案してくれるため、不安を抱え込まず相談してみるようにしましょう。

赤ちゃんの頭の形は多くが成長に伴って自然に整いますが、月齢やゆがみの程度によっては早めの対応が必要です。タミータイムや抱っこの工夫など家庭でできるケアに加え、改善が難しい場合は小児科や専門外来で相談しましょう。ヘルメット治療などの選択肢も含め、安心できる方法を見つけていくことが大切です。

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