【小児科医監修】赤ちゃんと子どもの症状別ホームケア 発疹や肌トラブルがある
発疹の多くは、感染症の一症状として現れます
子どもがかかりやすい病気の中には、発疹を伴うものが少なくありません。多くが発熱やせき、鼻水などほかの症状に前後して発疹が現れる感染症です。
発疹が現れたら、受診が必要です。ただし、発疹を伴う病気は、はしかや水ぼうそうなど感染力が強い病気が多いので、ほかの子どもと遊ばせないのはもちろん、受診前に病院にその旨を伝えるのがマナーです。病院では、うつる病気が疑われる場合、別室で待つなどの指示があります。
発疹は、時間の経過とともに形や出る部位が変わることもあります。診断の目安になるので、発疹の変化をメモしておくといいでしょう。
湿疹は、ホームケアで改善しなければ、受診を
発熱のようなほかの症状がなく、顔やおむつが当たる部分に湿疹などの肌トラブルが起きることもあります。子どもの皮膚は薄く敏感なので、肌トラブルを起こしやすいのです。石けんで洗ったりして肌を清潔にし、数日ようすを見てもよくならないときは、小児科か皮膚科を受診しましょう。
気になるあざは皮膚科へ。取り除くこともできます
あざには、赤いあざ、茶色いあざ、青いあざ、黒っぽいあざなどがあり、あざができる皮膚の組織や深さによって違ってきます。皮膚の血管が異常に増えると赤いあざに、色素細胞が皮膚の表面に多くなると黒っぽいあざに、皮膚の深いところに多くなると青いあざになります。
あざができる原因ははっきりわかっていません。中には自然に消えるあざもありますが、一般的には消えないあざが多く、レーザー光線治療などを行って治します。あざが気になるときは、皮膚科を受診してください。
受診の目安をチェック
家でようすを見る
□ 別の病気で受診したときに、「いずれ発疹が出る」と言われ、そのとおりになった。
診察時間内に病院へ
□ 発疹はあるが、熱は平熱。
□ せきや鼻水などの症状がある。
□ 目が赤く充血している。
□ 手や足がはれている。
□ 湿疹ができ、長引いている。
□ あざができている。
□ 高熱が続き、舌が赤くブツブツし、目が充血している。
診察時間外でも病院へ
□ 水分がとれず、脱水症状の兆候がある。
救急車で大至急病院へ
□ けいれんを伴う。
□ 吐いて意識がもうろうとしている。
□全身にじんましんが出て、ゼロゼロやせきを伴う。
【受診のポイント】
発疹の出方は、病気によって異なります。受診の際は、熱の有無、発疹が出たのは熱の前か後か、発疹の色や形、発疹の出ている部位などを医師に伝えます。
発疹の種類
斑(はん)
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盛り上がりがなく、色だけが違います。りんご病など。
水疱(すいほう)
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皮膚の表面に水がたまります。水ぼうそう、手足口病など。
丘疹(きゅうしん)
min
円形に盛り上がります。はしか、突発性発疹症など。
膨疹(ぼうしん)
min
境目がはっきりしているふくらみです。じんましんなど。
皮膚の構造と役割
皮膚は、表面から順に表皮、真皮、皮下組織という3層からできています。表皮の主な働きは、外部の刺激から肌を守ること。皮膚の層の95%を占める真皮は、血管や神経が集まる皮膚の本体ともいえる部分です。皮下組織は脂肪を蓄え、エネルギーをつくり出しています。表皮は約28日のサイクルで生まれ変わります。
大人も子どもも皮膚の構造や働きは、同じ。けれども、子どもの皮膚は薄く、機能も未発達なため、外部からの刺激に弱いのです。子どもの肌を健康に保つために大切なのは、清潔にしておくことと、十分に保湿をすることです。洗ったりふいたりするときは、肌を傷つけないよう、やさしくていねいに。空気が乾燥する季節は、加湿器を使うのもいいでしょう。肌の水分キープに役立ちます。
1.体の表面を保護する
体の内部を衝撃から守ったり、細菌など異物の侵入を防いだりします。
2.体の水分を逃がさない
人間が生きていくために必要な水分が蒸発するのを防ぎます。
3.体温を保つ
断熱材のような働きで、気温が変化しても体温をほぼ一定に保ちます。
4.さまざまな刺激を感じる
温度、痛み、圧力などの刺激を触覚で感じとり、脊髄や脳に伝えます。
5.免疫力を持つ
体内に入りこもうとする異物を、体の外へ追い出す働きがあります。
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表皮は4層に分かれています。いちばん外側の角質層の表面を皮脂が覆うことで、皮膚の大切な働きであるバリア機能を備えます。
大人と子どもの肌の違い
薄く傷がつきやすい
子どもの肌の表皮は、大人と比べてとても薄くできています。表皮が薄いということは、傷がつきやすいということ。外部からの刺激に敏感なので、よだれや食べこぼし、汗、おしっこやうんちなどがついたままだとすぐに炎症を起こしてしまい、それをゴシゴシふいたりすると、さらに傷つけることに。
汗っかきで汚れやすい
汗を分泌する汗腺の数は、生涯変わりません。大人と比べて体表面積の狭い子どもは汗腺の密度が高く、かく汗の量は同じ面積あたりで約3倍にもなります。また、大人と比較して基礎代謝量が多く、その上体温が高いため、ちょっと動いても汗をかきやすく、その汗にほこりがつくと汚れとなってしまうのです。
カサカサになりやすい
肌の表面を覆っている皮脂は、外部からの有害物質を防ぎ、体内の水分が逃げて乾燥しないように働いています。生後2か月ごろまでの赤ちゃんは、ママからもらったホルモンの影響で皮脂の分泌が盛んですが、それ以降は急激に減っていくため、水分を保っておくことができず、カサカサに乾燥しやすいのです。
免疫力が弱い
子どもは、外部の刺激にふれる経験が大人と比べはるかに少ないといえます。そのため、皮膚はさまざまな物質に対する抗体をつくることができず、免疫力がまだついていません。ですから、大人にはなんでもない物質のちょっとした刺激でも、子どもの皮膚には大きなダメージになりかねません。
バリア機能が弱い
子どもは、大人に比べて皮膚が薄く、バリア機能が弱いため、細菌やウイルスだけでなく、衝撃や衣類による摩擦などの刺激にもとても弱いのです。そのため、化学繊維やごわごわした衣類でこすれたり、洗濯の際の洗剤のすすぎが足りずに刺激になったりすると、すぐに赤くなって炎症を起こしてしまいます。
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