【助産師監修】もしかして乳頭混乱?赤ちゃんが母乳を飲んでくれない場合の対処法
乳頭混乱とは?
医学的な根拠が明確ではないのですが、哺乳瓶を使ったあと、母乳を飲むことを拒否しおっぱいを吸わなくなることを指します。
しかし、すべての赤ちゃんが哺乳瓶を使ったら乳頭混乱になるというわけでもありません。赤ちゃんによって、直接授乳と哺乳瓶を併用してもケロリとしている赤ちゃんもいれば、そうではない赤ちゃんもいます。
乳頭混乱の原因
母乳と哺乳瓶の違い
赤ちゃんは、直接母乳を吸うときに多くの筋肉と舌運動を連動させながら、おっぱいを吸っています。生後3ヶ月頃までは舌の中央部が波動のように動き、乳首・乳頭を圧搾、吸引します。(3ヶ月以降は舌の上下運動に変わります。)
つまり、直接おっぱいを吸うには赤ちゃんに顎の筋肉や舌の運動が必要であり、哺乳瓶に比べると疲れることでもあるのです。
一方、哺乳瓶はどうでしょうか?
哺乳瓶を倒したときに、倒れた哺乳瓶の乳首からミルクが流れて出てくるのを見たことがあると思います。
哺乳瓶の場合、赤ちゃんが乳首をくわえるだけで自然と乳汁やミルクが流れ出てきます。
哺乳瓶に慣れてしまうと、乳房から直接おっぱいを吸いつくことが難しくなり、上手に飲めなくなるために、直接母乳を飲むことを嫌がるようになるのではないかと言われています。
乳頭混乱は治せる?
では、乳頭混乱になってしまったら、直接おっぱいから飲む授乳はあきらめなくてはならないのでしょうか。
乳頭混乱になっても、練習をしていくことで直接母乳を飲めるようになることがあります。
個人差があり、「○○を実践すれば必ず治る」と言う方法はないのですが、過去私が実践した中で、効果のみられたことのある具体的な方法をあげます。
焦らず、時間をかけて試してみてくださいね。
抱き方、含ませ方をよく見る
直接おっぱいから飲めるようになるには、赤ちゃんの口が大きくひらいたタイミングで乳輪部分まで深く乳首が入っていることが必要です。
通常、おっぱいを吸われたときに乳首に痛みは感じませんので、吸われて痛いときは適切な位置に乳首が入っていないことがあります。
また、乳首の吸いつき方が浅いと赤ちゃんはちゃんと母乳を飲めないので、赤ちゃんがむずがってしまいます。お母さんのおっぱいに傷もできやすくなります。
母乳の分泌を止めないようにする
母乳の分泌は、定期的に乳汁を外に出さないと分泌が減ってしまうことがあります。直接吸わないときでも定期的に搾乳(おっぱいから母乳を絞り出すこと)をして、乳汁の分泌を維持できるようにしましょう。搾った母乳はそのとき使わなくても、冷蔵や冷凍して飲ませることができます。
人工の乳首は使わずに母乳やミルクを飲ませる
搾乳した母乳やミルクを飲ませるときは、浅めのカップ、スプーン、スポイトなどを使ってみましょう。
カップやスプーンの使いはじめは口からこぼしてしまうことがありますが、慣れてくると上手に飲めるようになります。
スポイトは薬局で販売しているものや、薬を処方されたときのものを使いましょう。
カップやスプーンから比べると時間はかかりますが、こぼしにくいのがよいところです。一方でカップやスプーンに比べて、洗浄しにくいという面はあるので、衛生面には気をつけてください。
お腹が空く前に母乳を含ませる
赤ちゃんはお腹をひどく空かせると大泣きをします。そうすると、舌が上顎に巻き上がってしまうので、無理におっぱいを吸わせようとするとさらに泣いてしまいます。
そのため、赤ちゃんが落ち着いているときに練習をしてみましょう。
たとえば、ほんの少しカップなどで哺乳してから母乳を含ませたり、ウトウトしているタイミングで授乳することなどから始めるのがおすすめです。
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哺乳瓶の人工の乳首やおしゃぶりが乳頭混乱を引き起こすのではないかという説もありますが、そのメカニズムはじゅうぶんに解明されていません。
相談に来る人の中には「授乳を拒否されるなんて!!」「母乳が嫌いなの……?」とショックを受けるママもいますが、乳頭混乱になったからといって母乳をあきらめなくてはならないというわけではありません。適切な対処と焦らず続けていくことが大切です。
このようなときは、ママは日々の疲れと相まって精神的なストレスも多くなります。速やかに正しい対処をして安心して育児をするためにも、出産した施設や乳房外来の助産師にも相談してみましょう。
乳頭混乱になったとしても、赤ちゃんはお母さんを嫌がっているのでは決してないということを忘れずにいてくださいね。
参考
・水野克巳・水野紀子・瀬尾智子、「よくわかる母乳育児」、へるす出版、2012年
・「PERINATAL CARE」2011年10月号、メディカ出版、2011年
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