【医師監修】妊娠中の子宮頸管ポリープは手術する?治療内容・費用は?
子宮頸管ポリープとは
子宮は体部と頸部に分かれており、出口側の頸部は筒状の構造をしていて、その内側を頸管といいます。この部分にできる腫瘍が子宮頸管ポリープで、成人女性の約2~5%にみられるといわれています。
大きさは1cm未満であることが多いのですが、まれに数cm程度になることがあります。
子宮頸管ポリープのほとんどは良性ですが、ごくまれにこのポリープと思われる病変が悪性腫瘍であった症例も報告されています。(出典:大橋浩文、加藤 敬三、畠山重春、後藤恵子、塩田敬、三浦妙太、「子宮頸管ポリープに発生した上皮内癌の1例」、日本臨床細胞学会雑誌、1991)
30~50歳代の妊娠歴がある女性に多い疾患ですが、まれに10代女性にも見られます。
一度切除しても繰り返すことが多い疾患で、原因は慢性の炎症や女性ホルモンの影響、外的刺激という説もありますが、はっきりとはわかっていません。
子宮頸管ポリープの症状
無症状の人も多いのですが、主な症状は不正出血、おりものの増加です。
妊娠中は妊婦健診時の腟鏡での観察、不正出血で発見される場合もあります。
直径が大きく、不正出血の量が多い場合は、貧血症状(立ちくらみや階段を上るときの息切れなど)が出ることがあります。
子宮頸管ポリープの治療
子宮頸管ポリープは自然に消えることはありません。薬などで消えることもなく、悪性腫瘍である可能性も否定できないので、一般的には手術による切除を行いますが、サイズも小さく悪性を疑わないような場合は、切除せず慎重に観察することもあります。
妊娠中に子宮頸管にポリープが見つかった場合、「子宮頸管ポリープ」なのか「子宮内膜から続いている脱落膜ポリープ」なのかを判断します。脱落膜ポリープを切除すると、流産早産のリスクがあるため、切除しない場合もあります。
子宮頸管ポリープの手術療法
外来で切除する場合
大きさが小さなものであれば、外来で手術可能です。
病理組織検査の費用も含め、約6,000~7,000円の場合が多いようですが、クリニックによっては個室使用料などを別途徴収するケースもあるので、各医療機関に問い合わせましょう。
入院して手術する場合
ポリープの直径が大きい場合や、ポリープの根が太い場合は、術後出血が起こる可能性も考慮して、入院しての手術になります。
多くは日帰り入院での手術となり、費用は1万円ほどです。(医療機関により入院や手術の条件が異なります。)
費用については健康保険が適用されますが、別途医療保険に加入している場合は、外来・入院手術共に医療保険が適用になるケースがあります。契約している保険会社に問い合わせましょう。
手術後の日常生活について
術後は2日~1週間出血が続く場合があります。出血がある間は、運動や体に無理のかかる家事・育児などは控えましょう。
出血が少量で腹痛もなければ、翌日から仕事に復帰できます。
シャワーは当日から可能ですが、浴槽に浸かる入浴は感染の恐れがあるので、出血が治まってからがよいでしょう。
切除を行わない場合
ポリープが小さい場合などでは不正出血は少量であり、妊娠には影響しないケースもあります。
医師の判断で手術をせずに様子をみる場合は、外来で妊婦健診を行う際、大きさに変化が無いかを観察します。
年に1度は婦人科検診を
子宮頸管ポリープは一度切除をしても繰り返しやすい疾患です。再発していないかどうかを確認するため、年に一度は産婦人科で検診を受けましょう。
また、妊娠中にごく小さなポリープがあり、治療せずに様子観察となった場合も産後の定期的な受診が必要です。
ただし、不正出血の増量など、症状が出た場合は1年を待たずに婦人科を受診しましょう。
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写真提供:ゲッティイメージズ
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