【管理栄養士監修】妊婦は鮪(まぐろ)を食べてもいいの?どのくらいなら大丈夫?
妊娠中に鮪を食べてもいい?
妊娠中でも、鮪を食べることができます。ただし食べる量に注意する必要があります。
鮪はたんぱく質や健康によいとされるEPA、DHAといった不飽和脂肪酸を含んでいますが、鮪を食べる量に注意が必要な理由は、鮪に含まれるメチル水銀です。
海水や土壌など自然界に存在するメチル水銀は、食物連鎖によって鮪やかじき、くじらなどの大きな魚介類、鯨類により多く蓄積されていきます。
厚生労働省では、メチル水銀は、魚などの魚介類を極端にたくさん食べるなどのかたよった食べ方によって、おなかの中の赤ちゃんの発育に影響を与える可能性が指摘されていると注意を呼びかけています。(※1)
魚の種類ごとに摂取量の上限を設けているので、メニューに魚を選ぶ際は、参考にしてみましょう。
※1
参考:「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと 」(厚生労働省)
刺身は大丈夫?鮪以外のお刺身は?
鮪を食べるとき、量以外に注意したいのが調理法です。
鮪は刺身や寿司で食べることが多いと思いますが、妊娠中は生魚を避けたほうがよいとされています。細菌やウイルスによって食中毒を起こす可能性があるためです。
鮪に限らず、すべての魚介類にいえることでもあります。
また、スモークサーモンなどの加工品や生ハム、ナチュラルチーズなども避けたほうがよいとされています。
主に心配されているのがリステリア菌といわれるもので、妊娠中は一般の人よりも感染しやすく、赤ちゃんに影響を与えてしまうこともあります。
リステリア菌は冷蔵庫の中でもゆっくり増殖します。リステリア菌による食中毒を予防するためには、なるべく新鮮なうちに、焼いたり煮たりするなど、しっかり加熱してから食べるようにしましょう。
妊娠中に気をつけたほうがよい魚の種類と上限摂取量
鮪はどのくらいの量を食べてもよいのでしょうか。
鮪は種類によってメチル水銀の量が異なるので、種類を確認するようにします。
厚生労働省では、「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」として鮪のほかに、食べる量に注意が必要な魚についても提示しています。その資料を参考にご紹介していきます。(※2)
- クロマグロ(本マグロ)…1週間に80gまで
- メバチ(メバチマグロ)…1週間に80gまで
- ミナミマグロ(インドマグロ)…1週間に160gまで
80gはだいたい刺身1人前、切り身1切れと覚えておきましょう。
そのほかの魚も見てみましょう。
- キンメダイ…1週間に80gまで
- メカジキ…1週間に80gまで
- キダイ…1週間に160gまで
- マカジキ…1週間に160gまで
計算は面倒という方や不安に感じる方は、資料を参考に選ぶとよいでしょう。魚に限らず摂取する食材は一つの食材に偏ることなく、バランスよく食べることが大切です。
※2
出典:「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと 」(厚生労働省)
鮪を食べるときの注意点
メチル水銀の影響が心配になるのは、上記でご紹介した上限摂取量を上回るときです。
この量よりもかなり多くの量を食べ続けた場合ですが、赤ちゃんが生まれてから音を聞いた場合の反応が1/1000秒以下のレベルで遅れる可能性があることも指摘されています。
食べたものを簡単にメモするなどして、食べる量と頻度に気をつけるようにしましょう。
また、上限摂取量に満たない場合でも、鮪の生食はメチル水銀とは別に食中毒のリスクがあります。妊娠中は免疫力が低下しているため食中毒にかかりやすく、飲むことができる薬も限られています。調理前に常温での放置を避け、できれば中までしっかり火を通すようにしましょう。
妊娠に気がつくのが遅くて、初期に気にせず食べてしまったというケースもあると思います。
摂取量に注意が必要なのは、胎盤ができ上がる妊娠4ヶ月頃からです。それまでにママが摂取した水銀は代謝・排せつされているので、妊娠に気がついてから注意すれば、それほど心配しなくても大丈夫です。
_______
日本人に人気の食材の一つ、鮪。妊娠中でも食べることはできますが、量と頻度に気をつけ、新鮮なものをできるだけ火を通して食べるようにしましょう。
鮪以外にも妊娠中にはいくつか注意が必要な魚があります。それらにも気をつけながら、いろいろな種類をバランスよくとって、健康的なマタニティーライフを楽しんでくださいねくださいね。
参考:
「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと 」(厚生労働省)、2020年8月閲覧
「これからママになるあなたへ 食べ物について知っておいて欲しいこと 」(厚生労働省)、2020年8月閲覧
「「リステリア」による食中毒に注意してください。 」(厚生労働省)、2020年8月閲覧
「ヒスタミンによる食中毒について」(厚生労働省)、2020年8 月閲覧
「第2章 日本食品標準成分表 PDF(日本語版) 」(文部科学省)、2020年8月閲覧
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