【医師監修】妊娠中、葛根湯を飲んでも大丈夫?
妊娠期に葛根湯を飲んでもいい?
葛根湯(かっこんとう)は、漢方薬のひとつになります。
漢方薬(漢方医学)とは、中国伝統医学を基礎としながら日本で独自に発展してきたものを指しています。そのため、中国医学と同じものではなく、日本人に合ったものとなっています。
漢方薬とは、天然生薬を組み合わせて調合される薬です。
生薬の約8割は植物の根・茎・葉などからなり、残りの2割は動物の骨・皮と鉱物です。
葛根湯の服用は必ず主治医の指示のもと服用
葛根湯は妊婦でも飲める薬とされていますが、安全な薬剤と謳っている訳ではありません。妊娠中に葛根湯を飲むときは、必ず医師の診察を受けて処方されたものを服用しましょう。
葛根湯には、「麻黄(まおう)」という生薬(漢方薬の成分)が入っています。麻黄には、発汗を促す作用や血圧上昇作用、胎盤への血流を低下させる作用があり、妊娠中の使用には注意が必要です。
葛根湯は妊娠中に風邪症状がみられる場合に、胎児に害を及ぼすことなく使用ができるとされています。ただし風邪症状が落ち着いたら、すぐに内服を中止することが大切です。
妊娠中は、適切な服用期間や用法用量を知るためにも、かかりつけの産婦人科への受診と医師からの処方を受けるようにしましょう。
妊娠中の漢方薬の服用は注意が必要
妊娠中に漢方薬などの薬を服用する場合、胎児への影響が心配されます。妊婦にとって効果的な薬でも、胎児にとっては障がいや命に関わる原因になることもあります。
特に妊娠4週から妊娠7週前後は「絶対過敏期」と呼ばれ、胎児の体を形作る大切な期間で、もっとも薬の影響を受けやすい時期です。
この時期には薬や漢方薬も極力避けるべきとされています。
また、妊娠8週から15週までは外性器や口蓋(上あご)への影響が心配されます。
妊娠16週以降も、薬によっては胎児の発育や命に関わる影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。
以上のことから妊娠中の薬の服用は必ず、主治医の診察を受けて処方された薬を、用法用量を守って指示された内服期間に飲むことが大切です。
「漢方薬=副作用なし」というわけではない
漢方薬は副作用が少なく、比較的安全性が高いというイメージから、妊娠中にも服用できると思っている人も少なくないかもしれません。
しかし漢方薬は薬であり、危険性や副作用がまったくない、というわけではないので医師に処方されていない限りは服用しないほうが安心です。特に妊娠中は、服用を避けたほうがよいものや、長期に使用すべきではない漢方薬があります。
妊娠中に避けたほうがよい漢方薬
妊娠中の漢方薬の服用については、まだ安全性が確立されていません。また、妊娠中には避けたほうがよいとされている漢方薬があります。
漢方医学の分野では「安胎薬(あんたいやく)」「慎用薬(しんようやく)」「禁忌薬」に生薬を分類しています。
「禁忌薬」には巴豆(はず)、水蛭(すいてつ)、麝香(じゃこう)などがあり、禁忌薬の多くは動物性生薬や鉱物で毒性が強いため、妊娠中の使用は禁止されています。
「慎用薬」は、治したい症状がある場合、服用量や服用期間に注意し、症状が軽快したらすぐに服用をやめれば問題ない生薬です。葛根湯に含まれる「大黄」、「乾姜」は慎用薬ですが、妊娠中は禁忌にあたります。
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葛根湯に含まれる麻黄剤は発汗を促す作用や血圧上昇作用があるので、妊娠中の処方に関して「禁忌薬」に分類されます。そのため本来服用は避けるべきですが、どうしてもほかの薬剤が使用できない場合は最小限の期間で服用することが重要です。
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)などの便秘薬に含まれる大黄という生薬は、子宮収縮作用や下痢を引き起こすことがあります。
さらに、乾姜(かんきょう)には利尿作用があるので妊娠期には服用しないことが望ましいです。
「安胎薬」は子宮収縮を抑える作用があり、妊娠中も安心して使用できます。人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、香附子(こうぶし)、杜仲(とちゅう)などがあります。
漢方薬には、これらの生薬が複数組み合わさっているため、自己判断での服用してはいけません。
妊娠と気づかず葛根湯を飲んでしまった場合胎児に影響はある?
妊娠3週目(生理予定日の1週間前頃)までであれば、薬を服用したとしても影響はないと考えられます。
もし妊娠4週目以降に飲んでしまった場合は医師に伝えて妊娠の経過に注意しましょう。
医療用漢方エキス製剤(一般的に病院で処方される漢方薬)については妊娠に影響する副作用の報告はありません。心配な場合は、かかりつけの産婦人科で相談してみましょう。
妊娠中、処方薬ではなく市販の葛根湯を飲んでもいい?
葛根湯などの漢方薬の一部は、薬局などで市販薬として販売されています。しかし、漢方薬とは本来は知識が豊富な漢方医が診察して処方するものです。そのため、妊娠中は特に、自己判断で漢方薬を購入・服用することは避けましょう。
医師の診察を受け、処方された漢方薬を内服するのが安心です。
妊娠期に風邪を引いたときの対処法
体調管理に気をつけていても風邪を引いてしまったら、次の3つのポイントを意識しながら休むようにしましょう。
保温
室温が低く、体が冷えると発熱が引き起こされます。体を冷やさないようにしっかりと温めましょう。
睡眠
睡眠中は外から侵入した病原体を攻撃する役目を持つ抗体を作るリンパ球の活動が促進されます。睡眠をたっぷりと取って抗体を作り、回復に努めましょう。
栄養
栄養のある食事を取って水分を補給することも大切です。食欲が落ちているときは、消化の負担にならないおかゆなどを食べるようにしましょう。
- 妊娠中、葛根湯の服用は慎重に行うべき
- 必ず医師の診察を受けて処方されたものを服用する
- 漢方薬=安全ではないため以前処方された薬を自己判断で服用するのはNG
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