【医師監修】妊娠中の風邪(かぜ)はどう乗り切る?赤ちゃんへの影響は?
妊娠中の風邪、胎児への影響は?
ママが風邪をひくと、お腹の中の赤ちゃんにどんな影響があるのでしょうか?
熱がある場合
風邪によって熱が出ることがありますが、高熱の場合には注意が必要です。
妊娠初期に高熱が続いた場合、流産や、胎児に神経管閉鎖不全や水頭症、小頭症などの異常が起こる可能性があります。微熱の場合は1〜2日様子を見ても構いませんが、熱が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
また、熱の原因が一般的な風邪ではなく、下記のような感染症による場合があります。これらの感染症は、原因となるウイルスなどが胎児に直接影響を及ぼす恐れがあります。
- トキソプラズマ
生肉や猫のふん、土の中にいる病原体です。ガーデニングも注意が必要です。妊娠中のママが初めてトキソプラズマに感染した場合、胎児の脳や目への影響が心配されます。
ママの症状としては、多くは無症状ですが、首のリンパ節が腫れたり、発熱することがあります。
- 風疹ウイルス
妊娠中に感染すると、胎児の目や耳、心臓などに異常を引き起こす可能性があります。
ママの症状としては、発熱や発疹、リンパ節の腫れが挙げられます。
- サイトメガロウイルス
子どもの難聴の一因となるのが、このウイルスの感染です。
妊娠中にママが初めてサイトメガロウイルスに感染すると、胎児に発育の遅れや難聴、脳の異常、精神発達の遅れなどを引き起こすことがあります。
ママの症状としては無症状の場合が多いですが、発熱や頭痛などの風邪のような症状が出る場合があります。
- ヒトパルボウイルス(リンゴ病)
リンゴ病の原因になるウイルスで、妊娠中に初めて感染すると、胎児の全身がむくんだり(胎児水腫)、流産や死産になる可能性があります。
ママの症状としては、発熱や寒気、筋肉痛などの症状がみられます。
- インフルエンザウイルス
ママの症状としては、38℃以上の高熱、頭痛、だるさ、筋肉痛などの症状がみられます。妊娠初期に感染した場合、神経管閉鎖障害や心臓の奇形などが増えるという報告があります。
ただし、これらの奇形は、インフルエンザウイルスが直接の原因ではなく、妊婦の高熱によるもので、適切な治療で奇形リスクは上昇しないという報告もあります。
また、流産や死産の可能性があるということもわかっています。
ママがインフルエンザウイルスに感染す罹ると重症化することが知られています。早めに医療機関を受診しましょう。
咳が続く場合など
風邪の症状でよくあるのが咳です。風邪などが原因で一時的に出る咳であれば問題ありません。
咳が原因で流産や早産になることはまずありませんので、心配しないで大丈夫です。
ただし、咳が続く場合は他の病気が隠れていることもあるので、早めに医療機関を受診しましょう。
対処法は?いつ病院へいけばいい?
通常の風邪の場合、妊娠中は風邪をひきやすいだけでなく、悪化もしやすいため、体調に異変を感じたら早めに病院を受診することが大切です。
また、熱が高くなくても、咳や頭痛、筋肉痛、関節痛、吐き気・嘔吐、下痢などの症状がある場合は早めに病院を受診しましょう。
特に、食事や水分がいつもの半分も摂れない場合や、息切れがひどい場合、嘔吐や下痢を繰り返す場合は早急な受診が必要です。
薬は飲んでもいい?
妊娠中には、飲んではいけない薬があります。自己判断で薬を飲むのはやめましょう。
また、風邪と思っていても、実は胎児に影響を及ぼす感染症の可能性もありますので、病院を受診して処方してもらった薬を飲むのが安心です。
受診する際は、必ず妊娠していることを医師に伝えるようにしましょう。
市販薬
市販の風邪薬は、胎児に影響を与える成分が含まれている可能性があり、自己判断での使用はNGです。必ず医師に相談してから、服用するようにしましょう。
葛根湯
葛根湯は漢方の一つで、風邪のひき初めに飲むという人も多いかもしれません。妊娠中の内服は、安全性は確立されていませんが、使用可能と考えられています。
ただし、麻黄(まおう:主要成分のエフェドリンが血液の流れに作用し、胎盤への血流にも影響する)という成分が入っているため、長期間の使用は避ける必要があります。内服方法は必ず医師に相談するようにしましょう。
漢方薬の服用については、こちらの記事も参考にしてみてください。
食事で摂りたい栄養
風邪をひいたら、安静・水分補給・保温の3つを心がけましょう。
食事は、風邪によって胃腸が弱りやすいので、温かく消化しやすいものがおすすめです。おかゆや、具材を柔らかく煮込んだ味噌汁、煮込みうどんなどが食べやすいでしょう。
ビタミンB1やビタミンC、たんぱく質などを摂ると免疫力を高めたり、体力の回復効果があります。食べられそうなら果物や大豆製品、卵、豚肉などもメニューに加えてみましょう。
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妊娠中は風邪をひきやすいだけでなく、悪化もしやすいため、人混みを避け、日ごろからマスクや手洗い、うがいをして予防に努めましょう。また、体調に異変を感じたら早めに病院を受診することが大切です。
参考:
・「レジデント 2013/8 Vol.6 No.8 妊婦の急性発熱 頭痛」(医学出版)、2019年9月閲覧
・「妊娠中の発熱」(MSDマニュアルプロフェッショナル版)、2019年9月閲覧
・「神経管閉鎖不全と二分脊椎」(MSDマニュアルプロフェッショナル版)、2019年9月閲覧
・「サイトメガロウイルスの特徴」(神戸大学 大学院医学研究科・医学部)、2019年9月閲覧
・「岡山医学会雑誌 妊婦・授乳婦とインフルエンザ」(岡山医学会雑誌 第121巻 April 2009, pp. 47-48)、2019年9月閲覧
・「妊娠と薬情報センター:インフルエンザについて(医療関係者向け)」(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)、2019年9月閲覧
・「インフルエンザとは」(NIID 国立感染症研究所感染症情報センター)、2019年9月閲覧
・「『妊娠・授乳と薬』対応基本手引き(改訂 2 版)2012 年 12 月改訂 」、2019年9月閲覧
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写真提供:ゲッティイメージズ
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