【専門家監修】3歳以降は保育園の保育料が無償化?対象範囲や注意点まとめ
幼児教育・保育の無償化とは
幼児教育と保育の無償化は、2019年から3~5歳の子どもを対象に始まりました。
保育園については、認可保育園も認可外保育園も両方とも無償化の対象になります。
保育園無償化が実施される前は、保護者が保育園に利用料を支払っていました。これが保育園無償化によって、住んでいる自治体が保護者に代わって、保育園に利用料を支払うようになります。それにより保護者は無償になるわけです。
このように基本ルールは単純なのですが、さまざまな例外ルールがあって、実際に無償化の制度を利用するときは、自分の子どもがどのルールに該当するのか確認しなければなりません。
複雑さの一例を紹介すると、利用料は無償ですが、通園送迎費、食材料費、行事費などは、これまでどおり保護者の負担になり、食材料費はさらに細かい規定があります。
無償化についてそのほかの細かい決まりをみていきましょう。
いつから無償化の対象になるのか
仕組みが複雑に思えるのは、子どもの年齢などによって「無償の仕方」が変わるところだと思います。
どの子どもでも保育園利用料が無償になるのは、3~5歳です。
0~2歳は、条件に合致すれば無償になります。
以下、3~5歳のケースと0~2歳のケースにわけて解説します。
3~5歳のケース:3年間はすべての子どもが無償化
子どもが3~5歳の間は、保育園利用料が無償になります。保護者の年収に関係なく無償になる点がポイントです。
保育園無償化がスタートする「3歳」は、正確には「3歳になった直後の4月1日から」となります。
保育園無償化が終了する「5歳」は、正確には「小学校入学前まで」となります。
保育園利用料以外の、通園送迎費、食材料費、行事費などは保護者が負担します。つまり有償のままです。
ただし食材料費は、保護者の年収などによって有償のままだったり、免除されたりします。
〈食材料費の免除の基準〉
- 年収360万円未満相当の世帯は副食(おかずやおやつなど)の費用が免除されます
- 全世帯の第3子以降は、副食の費用が免除されます
施設別の無償対象について
0~2歳のケースを紹介する前に、ここで、幼稚園と認定こども園なども含めて無償のルールの全体像を確認しておきます(*)。
【幼稚園、保育園、認定こども園について】
●3~5歳は利用料が無償
- ただし「子ども・子育て支援新制度」の対象にならない幼稚園の無償化は、月額25,700円まで
- 企業主導型保育事業については、これまでの利用料から年齢に応じて一定額が減額される
- 通園送迎費、食材料費、行事費などは保護者負担(有償)
- ただし食材料費については、1)年収360万円未満相当の世帯は副食(おかずやおやつなど)の費用が免除、2)全世帯の第3子以降は、副食の費用が免除
●0~2歳は住民税非課税世帯が無償
- 保育園などを利用する最年長の子どもを第1子とし、第2子は半額、第3子以降は無償になる
- ただし、年収360万円未満相当世帯は、第1子の年齢は不問となる
- 企業主導型保育事業については、これまでの利用料から年齢に応じて一定額が減額される
【幼稚園の預かり保育について】
●3~5歳は最大月額11,300円まで無償
- 幼稚園の利用に加え、月内の預かり保育利用日数に450円を掛けた額と、預かり保育の利用料を比較して、小さいほうが月額11,300円まで無償となる
- ただし、無償化の対象になるのは「保育の必要性の認定」を受けた場合。就労などの要件を満たす必要がある
【認可外保育施設などについて】
「認可外保育施設など」とは、一般的な認可外保育施設、地方自治体独自の認証保育施設、ベビーシッター、認可外の事業所内保育、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業などのことです。
●3~5歳は月額37,000円まで無償
●0~2歳は、住民税非課税世帯が対象となり、月額42,000円まで無償
- 無償化の対象になるのは「保育の必要性の認定」を受けた場合。就労などの要件を満たす必要がある
- 保育園、認定こども園などを利用できない人が対象
- 対象施設は、都道府県に届け出し、国が定める基準を満たす認可外保育施設のみ。ただし、基準を満たしていない場合でも5年間の猶予期間がある
【就学前の障害児の発達支援を利用する子ども】
対象施設は、児童発達支援、医療型児童発達支援、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設です。
●無償の対象は、満3歳になって初めての4月1日から小学校入学までの3年間
- 幼稚園、保育園、認定こども園等と併用する場合は、両方とも無償
- 利用料以外の費用(医療費、食材料費等)は保護者負担
0~2歳のケース:世帯年収や子どもの人数によって料金が変わる
0~2歳のケースを解説します。
ここからはまた、保育園の解説になります。
先ほどの説明と重複する部分がありますが、すべてのルールを紹介します。
0~2歳の子どもの保育園利用料は、住民税非課税世帯のみ無償になります。
ただし、次のようなルールがあります。
- 認可保育園などを利用する子どもが2人以上いる場合は、第2子は半額、第3子以降は無償になる
- 年収360万円未満相当世帯については、第2子以降の子どもが認可保育園などを利用している場合は、第2子は半額、第3子以降は無償になる
住民税非課税世帯とは
「住民税非課税世帯」について紹介します。
住民税は、都道府県民税と市区町村民税を合わせた総称です。
住民税は収入が低い人からは徴収せず、これが住民税非課税と呼ばれています。
「収入がいくら以下なら住民税非課税になるのか」については、その人の家族構成などによって変わってきます。ここでは東京都港区の例を紹介します(*)。
〈住民税非課税世帯の対象者(港区の場合)〉
●その年の1月1日現在で、生活保護法による生活扶助を受けている人
●障がい者、未成年者、ひとり親、寡婦(夫)の人で、前年の合計所得が135万円以下(給与収入なら204万4,000円未満)の人
●前年の合計所得が一定の所得以下の人
・35万円×(本人+被扶養者の人数)+21万円(この21万円は被扶養者がいる場合に加算)+10万円
・所得割の非課税の場合は、次の所得以下の人
35万円×(本人+被扶養者の人数)+32万円(この32万円は被扶養者がいる場合に加算)+10万円
認可保育園と認可外保育園では「無償の仕方」が異なる
このように無償化のルールは複雑なのですが、保育園の「無償の仕方」は、認可保育園と認可外保育園でも異なり、さらに複雑になっています。
認可保育園と認可外保育園にわけて解説します。
認可保育園では住んでいる自治体が利用料を支払う
認可保育園では、保護者に代わって、住んでいる自治体が保育園に利用料を支払います。
そのため、保護者が利用料を支払う必要はありません。
認可保育園であれば、国立、公立、私立に関係なく無償化の対象になります。
認可外保育園ではまず保護者が支払って、あとから戻ってくる
認可外保育園の無償化は次のような段取りを踏んで無償化されます。ただ住んでいる自治体によって異なる場合があるので注意してください。
〈認可外保育園における無償化の流れ〉
保護者が認可外保育園に利用料を支払う
↓
保護者が認可外保育園から領収書や提供証明書などを受け取る
↓
保護者が住んでいる自治体に利用料を請求する(領収書などを住んでいる自治体に提出する)
↓
住んでいる自治体が領収書などに書かれてある金額(保護者が認可外保育園に支払った金額)を保護者に支払う(支払ったお金が戻ってくるので、これで無償化が完成する)
認可外保育園では、保護者がまず利用料を負担して、あとからそのお金が戻ってくることで無償になります。そのため認可保育園より手続きが複雑になり、そのうえ、無償になるまで時間がかかります。
ただし住んでいる自治体によっては、認可外保育園が全保護者から領収書を受け取って、全保護者に代わって住んでいる自治体に利用料を請求することもあります。こちらのルールは認可保育園と似ているので、保護者にとってメリットが大きいでしょう。
認可外保育園の無償化については、事前に住んでいる自治体に問い合わせておいたほうがよいでしょう。
住んでいる自治体以外の保育園でも無償になる
自分の子どもが住んでいる自治体以外の保育園に入れている場合も、無償化の対象になり、このルールは認可保育園でも認可外保育園でも適用されます。
専業主婦・専業主夫の場合は保育園の利用は難しい
専業主婦・専業主夫の場合は、そもそも保育園を利用することが難しいので、保育園の無償化の対象にならないと考えておいてよいでしょう。
専業主婦・専業主夫の世帯に関する無償化のルールは次のとおりです(*)。
〈専業主婦・専業主夫の場合〉
- 3~5歳の幼稚園、または認定こども園、または就学前障害児の発達支援の利用は無償。ただし幼稚園は月額25,700円まで
- 3~5歳の「幼稚園、認定こども園+就学前障害児の発達支援」の複数利用はともに無償。ただし幼稚園は月額25,700円まで
無償化の申請方法
保育園無償化を受けるための申請方法を紹介します。
「子ども・子育て支援新制度」の対象になっている認可保育園を利用する場合は、無償化を受けるための特別な申請は必要ありません。通常の入園手続きだけで済みます。
子どもを入園させた保育園が「子ども・子育て支援新制度」の対象になっているかどうかは、対象の保育園か住んでいる自治体に問い合わせて確認する必要があります。
認可外保育園は、「子ども・子育て支援新制度」の対象外です。その場合、住んでいる自治体から「保育の必要性の認定」を受けると、無償化を受けることができます。
「自分の子どもはどうなるのか」を確認して
「無償化」と聞くと全然お金がかからないような感じがしますが、無償にならないケースもあるので注意が必要です。保護者の収入や、認可か認可外か、また子どもの数などにも応じてルールが変わるので、とても複雑に感じます。住んでいる自治体に問い合わせるなどして、「自分の子どもの場合」をしっかり把握するようにしてください。
- 幼児教育と保育の無償化は2019年から3~5歳の子どもを対象にスタート
- 保育園無償化では住んでいる自治体が保護者に代わり保育園に利用料を支払う
- 保育園無償化にはさまざまな例外ルールがある
- 子どもの年齢や認可保育園か認可外保育園かによって無償の仕方が異なる
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