【医師監修】その症状は子宮内膜症かも? セルフチェックしてみよう
子宮内膜症とは?
子宮内膜症とは、子宮の内側にある子宮内膜とよく似た組織(子宮内膜様組織)が、子宮の内側以外の場所にできる病気です。多くは子宮の近くの卵巣や腹膜、ダグラス窩という場所にみられています。まれに肺などの子宮から離れた場所に発生することもあります。
子宮内膜は、女性ホルモンの影響を受けて月経の周期に合わせて増殖します。受精卵が着床しなかった場合にははがれ落ちて腟から排出されます。これがいわゆる月経(生理)です。しかし子宮の内側以外に子宮内膜様組織が増えた場合には、そのはがれ落ちた血液が外に出ていく場所がありません。
そのため炎症を起こしたり、臓器が癒着(ゆちゃく)してしまうことがあります。
出典:「Illustrated Guidance 子宮内膜症 2015年改訂版」(先端医学社)
出典:「Illustrated Guidance 子宮内膜症 2015年改訂版」(先端医学社)
子宮内膜症が増えている原因は?
子宮内膜症にかかる女性は年々増加し、現在では10人に1人(※1)がかかっているといわれています。医療技術が進歩して、子宮内膜症を発見しやすくなったことも理由の一つといえるでしょう。
子宮内膜症は、月経の回数が多いほど発症するリスクが高くなります。
現代の女性は、以下のようなことから一生に迎える月経の回数が増えており、子宮内膜症がより身近になってきています。
・初経を迎える年齢が低くなった
・一生のうちに出産する回数が減った
・初産が高年齢化している
※1(参考:岡井 崇、綾部 琢哉、(編集)、『標準産婦人科学 第4版』医学書院、2011年)
子宮内膜症の症状は?
子宮内膜症の症状や、症状に伴う痛みの強さには個人差がありますが、おもな症状は月経困難症と不妊症です。
月経困難症とは、月経に伴って起こる症状で激しい下腹部痛や腰痛などが代表的です。中でも月経痛は子宮内膜症の女性の約9割(※2)にみられており、発見のポイントとなります。
ただし注意が必要なのは、症状が強くても病気がそれほど進行していなかったり、子宮内膜症を発症した場所によっては、自覚症状がそれほどなくても病気が進行しているケースがあることです。
※2
(出典:日本子宮内膜症協会 、2006年 )
子宮内膜症の症状をセルフチェックしよう
以下に子宮内膜症の代表的な症状をご紹介します。ぜひセルフチェックの参考にしてみてください。ひとつでもあてはまれば子宮内膜症の可能性がありますので婦人科の受診をおすすめします。
月経(生理)痛がある
子宮内膜症の出血が腹膜を刺激することにより起こります。
また子宮内膜症があるとプロスタグランジンという物質が多く分泌されます。
プロスタグランジンは分娩のときに陣痛を起こさせる物質で、これにより強い子宮の収縮を引き起こすことも原因と考えられています。
鎮痛薬が効かなかったり、日常生活に支障をきたすほどの痛みがあるときは子宮内膜症の可能性が高くなります。
月経のとき以外でもおなかの痛み(腹痛)、腰痛がある
骨盤内の炎症を起こすことや、癒着によって臓器が引っ張られて、下腹部痛や腰痛を起こすことがあります。進行すると月経のとき以外にも痛みを生じることがあります。
排便をするときに痛みがある(排便痛)
子宮内膜が大腸や直腸周辺などに発生すると、月経前から月経のときに排便時などに、痛みが生じます。
性交のときに痛みがある(性交痛)
子宮やその周囲の臓器との癒着が原因となり、性交のときに腟の奥の方に痛みを生じることがあります。
不妊症
子宮内膜症だからといって妊娠しないというわけではありません。ただ病状が進み、癒着がひどくなったりすると、卵巣や卵管に障がいが起きて卵子がうまく取り込まれないことや、着床に障がいをもたらしたりして不妊症の原因となることがあります。
子宮内膜症を放置せず早めに受診しよう
放置すると癒着(ゆちゃく)や不妊症の原因にも
子宮内膜症は月経を繰り返すたびに症状が悪化していくとされています。長期間放っておくと卵巣内に血液がたまり、チョコレート嚢胞(のうほう)とよばれる状態となったり不妊症の原因となったりします。
なかなか妊娠しにくいことで検査をしてみて、初めて子宮内膜症に気付くケースもあります。
少しでも異常を感じている場合には、子宮内膜症の可能性があります。症状がある場合には我慢せずに婦人科を受診してみましょう。
また、症状を感じていない場合、婦人科を受診することに抵抗を感じるかもしれません。しかし早期発見のためにも受診してみることをおすすめします。
チョコレート嚢胞(のうほう)とは?
卵巣にできた子宮内膜症のことです。進行すると卵巣に血液がたまり、溶けたチョコレート状に見えることから卵巣チョコレート嚢胞とよばれています。
詳しい子宮内膜症と不妊症の関係については以下の記事も参考にしてみてくださいね。
_______
月経痛があるからといって必ず子宮内膜症であるというわけではありません。
しかし、月経のたびに辛い症状に悩んでいる場合は、子宮内膜症をはじめとした治療が可能な病気が隠れているかもしれません。ひとりで悩まずに一度医師に相談してみてはいかがでしょうか?
参考:
・(編集)岡井 崇、綾部 琢哉、『標準産婦人科学 第4版』医学書院、2011年
・百枝幹雄(著者)、『よくわかる 最新医学 子宮内膜症』、主婦の友社、2017年
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