【管理栄養士監修】離乳食のベビーフード、種類や品質は?活用例や献立も紹介
ベビーフードって何?
市販で売られているベビーフードとは一体どんなものなのでしょうか?
ベビーフードとは?
ベビーフードとは、赤ちゃんの成長に合わせた栄養補給をすると共に、徐々に大人と同じような食事が食べられるように食べることに慣れていくことを目的として作られた加工食品をいいます。
つまり、スーパーやドラッグストアなどで手に入る、離乳食として売られている加工食品を指します。
気になる塩分量・固さ・食品添加物・衛生管理などは、「日本ベビーフード協議会」という日本でベビーフードを製造・販売している企業が集まって運営している団体(2020年11月現在6社が会員)が自主規格を設け、ベビーフードの品質向上に努めています。
離乳食について困ったことの1位は「作る負担」
厚生労働省の「平成27年度 乳幼児栄養調査」によると、「離乳食について困ったことがある」と回答した保護者の中で「作るのが負担・大変」と回答した割合は33.5%と最も高い結果が出ました。離乳食作りが大変だという悩みはやはり多くのママ・パパ共通なのですね。
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」という離乳食について書かれたガイドラインでは、ベビーフードについて、「離乳食は、手作りが基本であるが、ベビーフード等の加工食品を上手に使用することにより、離乳食を作ることに対する保護者の負担が少しでも軽減するのであれば、それも一 つの方法である。」と記載しています。
上記のガイドラインでも書かれているように、必要に応じてベビーフードを上手に活用することで、離乳食を作る負担を減らして、ママ・パパ、赤ちゃんみんなが笑顔で過ごせるといいですよね。
管理栄養士のひとこと
忙しいときや疲れているとき、外出するときなど、様々なシーンでベビーフードはママ・パパの頼れる存在ですよね。
一方で、「ベビーフードばかり食べていても大丈夫?」「子どもがベビーフードだけ食べる」といった不安や悩み持つママ・パパも少なくないようです。
下記の記事ではそのようなママ・パパの悩みを解決するヒントを紹介しています。ぜひ参考にしてみてくださいね
ベビーフードを使うメリットと気をつける点は?
メリット
・調理時間を削減できること
・単品で使うほかに手作りの離乳食と組み合わせると品数やレパートリーが増えること
・商品によっては月齢に合わせた固さや大きさに調整されていたりとろみがついているため、離乳食を手作りするときの見本にもなること
・商品パッケージに離乳食のメニューが提案されているものもあり、献立の参考になる
などが挙げられます。
気をつける点
・商品によっては子どもの食べる力に対して固すぎたりやわらかすぎるものなどもあるので、与える前に味や固さ、大きさなどが子どもに合っているかを確認する
・商品によっては1種類だけでは栄養バランスが取りにくい場合もあるので、上手に組み合わせて活用する
・温める場合には熱すぎないかを与える前に確認する
・食べ残しは与えない
などが挙げられます。
ベビーフードを組み合わせるときは料理や食材が重ならないように注意し、下記の3つの食品グループがそろうようにすると栄養バランスが取りやすくなります。
・エネルギー源となる食品のグループ(おかゆ、うどんなど)
・たんぱく質源となる食品のグループ(豆腐、卵、魚、肉など)
・ビタミン・ミネラル源となる食品のグループ(野菜、果物など)
詳しくはこちらの記事でも紹介しているので参考にしてみてくださいね。
離乳食で与えるベビーフードの量は?
離乳食をすすめている段階に合わせます。離乳食が始まったばかりで赤ちゃん用のスプーン数さじの場合は、その量を目安に与えます。
ベビーフードの種類は?
市販されているベビーフードは500種類以上あり、大きく分けると2つのタイプに分かれます。
水やお湯を加える「ドライタイプ」
水やお湯を加えて食べさせるタイプの離乳食です。たとえばフリーズドライのおかゆや野菜や魚などがあります。
ほかのベビーフードや手作りの離乳食と組み合わせて使うこともできます。
そのまま食べられる「ウェットタイプ」
開封してそのまま食べさせることができます。外出先で食事が必要な場合も衛生的で持ち運びしやすく、簡単に与えられるので便利です。
こちらも参考にしてみてくださいね。
レトルトだけでなくいろいろな種類があることを知っていましたか?
用途に合わせて活用しましょう!
ベビーフードの品質は?
ベビーフードに対して味の濃さや食品添加物の使用などを心配し、不安を感じていたりしませんか?
前述のとおり日本ベビーフード協議会では、自主規格のもとベビーフードの品質に対しいくつかの基準を設け、質の向上に努めています。詳しくみていきましょう。
味付け・塩分について
味付けが濃いのではという心配の声も聞かれるベビーフードですが、日本ベビーフード協議会では味付けは必要最低限とし、塩分の目安量も規定されています。
実際に食べて味が濃く感じることがあるのは、塩分ではなく食材やだしなどの旨味によるものです。気になる場合は商品パッケージに載っている原材料・栄養成分表示の食塩相当量を参考に選んでみてくださいね。
固さについて
離乳期に合わせ、いろいろな固さのベビーフードがあります。
離乳初期ならなめらかにすりつぶした状態のもの、離乳中期なら舌でつぶせる絹ごし豆腐くらいの固さ、離乳後期なら歯ぐきでつぶせるバナナくらいの固さ、離乳完了期では歯ぐきでかめる肉団子くらいの固さを目安に選びましょう。
製品によって差があったり、子どもによって個人差があるので与える前に一度大人が試食してみましょう。
食品添加物について
日本ベビーフード協議会ではベビーフードの食品添加物の使用は最小限とし、種類も限定されています。
使用が認められている添加物は豆腐のにがり(凝固剤)やビタミンC(酸化防止剤)などが挙げられます。
その他
ほかにも、衛生管理では微生物や有害物質の基準値を設けた管理、残留農薬は食品衛生法に沿った管理、表示義務のある遺伝子組換え食品は使わない、わかりやすい食品表示を行うなど独自の基準を設けています。
ベビーフードの活用例
手作りの離乳食と組み合わせて活用することでメニューのレパートリーが増えます。また、ベビーフードの味を活用し、簡単に味つけもできます。
特に食べられる食材が増える離乳食の後期ではベビーフードの種類も増えるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
下記で手作りの離乳食と組み合わせる活用例を紹介します。
雑炊風お粥
ドライタイプ(フリーズドライ)の野菜や魚を戻したあと、おかゆに加えます。
たとえば離乳食にフリーズドライの白身魚のベビーフードを使うとたんぱく質も一緒にとることができます。
すりつぶしたおかゆと合わせれば、離乳初期(白身魚に慣れた頃から)でも食べられます。
あんかけうどん
とろみのついた野菜や鶏肉・魚などが入ったベビーフードを、ゆでて刻んだうどんにかけます。
うどんは離乳中期なら5mm程度、後期なら8mm程度を目安に刻みます。
ドリア風
ドライタイプもしくは裏ごしのコーンやかぼちゃ、チキンや野菜のトマト煮やクリーム煮など好みのベビーフードと軟飯を混ぜ、耐熱容器に入れて粉チーズをのせてからトースターで軽く焼きます。
フルーツヨーグルト
プレーンヨーグルトに果物ペーストのベビーフードをまぜます。果物の自然な甘みがつき食べやすくなります。
こちらの記事では幼児食から食べられるベビーフードのアレンジレシピを紹介しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
ベビーフードの献立例
ベビーフードの献立は、食材の重複や栄養の偏りがないよう主食+主菜+副菜がそろっているかを確認しましょう。
全部ベビーフードの場合
・野菜と卵または肉などが入ったうどん+果物のペースト
作り方
1.うどん(ベビーフード)を温め盛り付けます。
2.果物のペースト(ベビーフード)を器に盛りつけます。
ポイント
うどんは卵、肉、魚などたんぱく質が多い食品と野菜が入ったものを選ぶと栄養バランスが整いますよ。
果物のペーストの代わりにかぼちゃ(フリーズドライや瓶詰など)など野菜に置き換えてもよいですね。
・野菜スープのリゾット+白身魚ソテー風
作り方
1.レトルトもしくはフリーズドライのおかゆ(ベビーフード)を作ります。
2.野菜スープの素(ベビーフード)を1のおかゆに混ぜます。
3.フリーズドライの白身魚(ベビーフード)にお湯を加えバター少量を混ぜ盛り付けます。
4.盛り付けた3に野菜のベビーフードを添えて完成です。
ポイント
離乳中期や後期ではリゾットの中にミックスベジタブルなどを加えると具のボリュームを増やすこともできます。
手作りの離乳食とベビーフードを組み合わせる場合
・中華丼+野菜スープ
作り方
1.八宝菜やあんかけ(おかずのベビーフード)を温め、軟飯の上にのせる。
2.野菜スープの素(ベビーフード)に規定量のお湯に加え、卵や玉ねぎ・人参など好みの野菜を入れて煮込み、盛りつけます。
ポイント
おかずのベビーフードに肉や魚などのたんぱく質が多い食品と野菜が入ったものを選ぶと栄養バランスが整います。
・野菜ドリア風+フルーツヨーグルト
作り方
1.粉末や瓶詰の裏ごしコーンのベビーフードとミックスベジタブルを軟飯に混ぜます。
2.1を器に盛りつけ粉チーズをふり、トースターで軽く焼き目を付けます。
3.ヨーグルトを盛り付け、その上に果物のペースト(ベビーフード)をのせます。
ポイント
ドリアは中が熱くなりやすいので、中まで充分に冷めたことを確認してから与えましょう。
管理栄養士のひとこと
ベビーフードは保存期間も長いため、ママ・パパの体調不良や災害などのいざというときのためにストックしておくと便利です。
そのまま食べても構いませんし、手作り離乳食と組み合わせ、手軽にもう一品準備する事もできますよ。
ベビーフードのみの食事にする場合も、組み合わせを意識すると栄養バランスを整えることができます。
忙しいママ・パパの心強いサポート役として必要に応じて活用してみるとよいかもしれません。
参考
「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版) 」(厚生労働省)
五十嵐隆(監修)、『授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)実践の手引き』、公益財団法人 母子衛生研究会、2020年
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