【管理栄養士監修】離乳食を食べない原因や対策は?食材別対策も
「離乳食を食べない」問題に悩むママやパパは多い
離乳食を赤ちゃんが食べないと、ママやパパは不安になったり、イライラしてストレスがたまってしまうこともありますよね。
厚生労働省の調査(平成27年度乳幼児栄養調査)では、0〜2歳児の保護者の74%が離乳食について困りごとを抱えていると答えており、その中でも「食べる量が少ない」「食べものの種類が偏っている」「食べるのを嫌がる」という回答は、合わせると全体の約6割となっています。
離乳食を食べない原因と対策は?
離乳食を食べない原因によくある例には下記のようなことが挙げられます。対策と合わせて紹介します。
- 初めての食材で食べることにまだ慣れていない
人間は初めて見る食べ物に対して「こわい」「大丈夫かな?」と感じやすいといわれています。
これは大人になっても経験することがあるのではないでしょうか。
これまで母乳やミルクだけで過ごしていた赤ちゃんにとって、おかゆや野菜、魚・肉などさまざまな食材にチャレンジするということはとても大きな変化です。
まだ慣れていない食材は特に、見た目や味、食感、においなどにこれから慣れていく段階のため、「食べない」「口から出してしまう」ということがあるのも、ある意味自然なことと捉えると、離乳食を食べないときのストレスが少し減るかもしれません。
- ペーストの水分量(少なすぎる、多すぎる)
- 食材の大きさ(大きすぎる、小さすぎる)
- 食材の固さ(固すぎる、やわらかすぎる)
離乳初期(生後5〜6ヶ月頃)の離乳食がペースト状の場合は、ペーストの水分量が少なすぎて飲み込みづらかったり、水分量が多すぎて食べづらい場合も考えられます。
離乳中期(生後7〜8ヶ月頃)以降では、食材の大きさや固さといった形態が子どもに合っていないことが原因の場合もあります。
この場合は少し前の段階に戻したり(やわらかくしたり小さくする)、進めてみたり(固くしたり大きくする)、行きつ戻りつで試してみましょう。
それでもやはり食べてくれない場合は、月齢に合った市販のベビーフードの食材の大きさやとろみなどを参考にしてみたり、経験上、離乳食を一回休んでみて、母乳や育児用ミルクを与えながら様子を見ることで解決できる場合もあります。
- おなかが空いていない(離乳食の時間の直前に授乳をしていないかなど)
食べる直前に授乳をしている、食事の時間が不規則、食事と食事の間隔が短い、日中の活動量が少ないなどの理由で、おなかが空いていないことが離乳食を食べない理由となる場合もあります。
心当たりがある場合は、生活リズムを見直したり、食事の時間を少しずつ変えてみてちょうどいい時間を探してみるのもよいかもしれません。
そのほかには……
大人に食欲や体調の波があるように、赤ちゃんにもよく食べる、少食、体格などの個性や体調による食欲の変化などがあります。
育児書やSNSで見た情報、周りの赤ちゃんの離乳食の進み方と比べて焦る必要もありません。その子の中で離乳食が少しずつ進んでいれば大丈夫です。ママ・パパは自信を持ってくださいね。
離乳食を食べない原因には月齢によっても傾向があります。こちらの記事では月齢別によくある原因と対策を紹介しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
離乳食の好き嫌いへの対策は?
離乳食の時期の赤ちゃんの好き嫌いは、特定のものを食べない大人の「偏食」とは違って、まだ固定化されたものではなく、まだその食材を食べ慣れていないことが原因であったり、その日の体調や気分によって変わることもあります。
この時期の赤ちゃんにとって「何回か食べない=嫌いな食べ物」ではないので、食べないからといって食卓に出すことをやめるのではなく、食べる機会をときどき作り少しずつ慣れていけるといいですね。
下記では赤ちゃんが食べない代表的な食材への対策例を紹介します。
苦味のある野菜(緑色の野菜)など
ピーマンや青菜などは子どもが苦手とする食材の代表的なものですが、たとえばにんじんなどのほかの野菜が食べられていれば栄養の面で大きな問題はないので、無理強いして与える必要はありません。
ママやパパがたとえば怒って与えることが続いてしまうと、食事の時間を楽しいと思えなくなってしまうこともあります。それよりは、ほかの野菜を食べられればOKとして、食べることが楽しいと思えるように考えてみませんか?食べない野菜はときどき食卓に出す機会を作り、少しずつ慣れていけるとよいですね。
また、ピーマンや青菜などの苦味がある野菜は、一度ゆでてゆで汁を捨ててから調理すると苦味が減り食べやすくなるので、ぜひ試してみてください。
下記で月齢別の対策例も紹介します。
・離乳初期(生後5〜6ヶ月頃)の対策例
離乳食がペースト状のこの時期は、食べ慣れていて甘みのあるおかゆや育児用ミルク、とうもろこしやかぼちゃのペーストなどと一緒に混ぜると苦味がやわらぎ食べやすくなることがあります。
・離乳中期(生後7〜8ヶ月頃)以降の対策例
離乳中期以降の苦手な野菜を食べやすくする工夫には、長めに加熱してやわらかくする、小さく切って好きな食材に少量混ぜる、ポタージュなどにしてつぶして見た目をわからなくするなどがあります。
・離乳後期(生後9〜11ヶ月頃)以降の対策例
離乳後期になると離乳食のメニューの幅が広がっていくので、ハンバーグや炊き込みごはんなど子どもがよく食べるメニューに細かく刻んだ野菜を混ぜ込むと食べやすくなるかもしれません。
手づかみ食べが始まったら、持ちやすいスティック状にしたり、型抜きを使っていつもと形を変えて見た目から食べる意欲を促すのもおすすめです。
また、炒め煮や揚げ物など油を使うことで苦味をわかりづらくしたり、トマトケチャップやかつおぶしなどのうまみのある食材と混ぜることで食べやすくなる場合もあります。
肉や魚
肉や魚を食べない場合は、まずは子どもの月齢に合う種類を与えているかを確認しましょう。月齢ごとに食べられる種類が異なります。
こちらの記事から月齢ごとに食べられる「たんぱく質源となる食品」の種類を確認することができます。
また、肉や魚を食べない場合は、水分量や固さ、飲み込みにくさ、パサパサ感、においなどが原因となることも多いです。
下記で月齢別の対策例も紹介します。
・離乳初期(生後5〜6ヶ月頃)の対策例
離乳初期はおかゆや野菜や豆腐に慣れたあとに白身魚を食べられるようになりますが、ペースト状の離乳食にしてもまとまりづらくパサつきやすいため、ペーストの水分量を増やしたり、とろみをつけることで食べやすくなります。
・離乳中期(生後7〜8ヶ月頃)の対策例
離乳中期は肉や魚を粗くつぶしたり刻むので、食材をより細かく刻んだり、とろみをつけることで飲み込みやすくなります。
- 離乳後期(生後9〜11ヶ月頃)以降の対策例
離乳後期以降でひき肉を材料に使う場合は、豆腐や卵などのつなぎを混ぜることでやわらかく食べやすくなります。
手づかみ食べが始まっていたら、形を変える(ハンバーグやつくねのように丸める、スティック状にするなど)こともおすすめです。
そのほかに、調理法(煮る、炒める、蒸す、揚げるなど)を変える、子どもが好みやすい味付け(ケチャップやトマト煮、クリーム煮など)を試してみるなどの工夫をしてみるとよいかもしれません。
ヨーグルト
離乳中期(生後7〜8ヶ月頃)から与えられる食品ですが、一般的な市販のプレーンヨーグルトは、赤ちゃんにとっては酸味が強くて食べない場合があります。この場合は、酸味が少なく作られている赤ちゃん用のヨーグルトを試してみるとよいかもしれません。
食べない食材を与えるときには、ママやパパの気持ちに余裕がある日を選んで、おおらかな気持ちで練習できるとよいかもしれませんね。
いろいろな工夫を試してもダメなときは、日にちを空けてまた別の日に少量試すことにしましょう。
もし少しでも食べられたときは、たくさん褒めて赤ちゃんの食べる意欲を引き出せるといいですね。
管理栄養士のひとこと
離乳食を食べないとパパとママはつい心配になって他の子どもと比べてしまったり、イライラしてしまうものですが、これは赤ちゃんのことを真剣に考えているからこその悩みでもあります。
離乳食をあまり食べない時期があっても元気に成長していく赤ちゃんはたくさんいます。
焦らずに新しいことにチャレンジする赤ちゃんをあたたかくサポートしていきましょう。
参考
- 五十嵐隆(監修)、『授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)実践の手引き』、公益財団法人 母子衛生研究会、2020年
- 堤ちはる・土井正子編著、『子育て・子育ちを支援する子どもの食と栄養』、萌文書林、2018年
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