【専門家監修】認可保育園に入るには「点数」が必要?
認可保育園の入園には高い指数が必要
指数(点数のこと)制度があるのは、認可保育園です。
指数には次の3種類があります。
・父親の利用調整基準指数(以下、父親指数)
・母親の利用調整基準指数(以下、母親指数)
・調整指数
指数の名称は自治体によって異なる場合があり、これは大田区(東京都)のものです。
3つの指数とも、困っている度合いである「保育園での保育の必要性」が高くなるほど高くなるように設定してあります。
この3つの指数を足して世帯指数を出します。計算式は以下のとおりです。
© every, Inc.
世帯指数がその世帯の点数になり、点数が高い子供から入園が内定します。
内閣府が指数制度の大体のイメージをつくっている
指数制度は自治体によって「微妙に」異なる場合があります。ただ、自治体によって「大きく」異なっては、引っ越しによって住む市区町村が変わったときに混乱するので、内閣府が「大体のイメージ」をつくっています。
各自治体は「大体のイメージ」から大きく逸脱しないようにしながら、指数制度をつくっています。
内閣府が作成している「保育の必要性認定・指数(優先順位)イメージ」は以下のとおりです。
(1)事由と(2)区分(保育必要量)と(3)優先利用を考慮する
(1)事由とは
就労、妊娠・出産、保護者の疾病・障害、同居親族等の介護・看護、災害復旧、求職活動、就学、虐待やDVのおそれがあること、育児休業取得時に既に保育を利用していること、その他市町村が定める事由
区分(保育必要量)とは
保育標準時間、保育短時間
(3)優先利用は次のとおり
ひとり親家庭、生活保護世帯、生計中心者の失業により、就労の必要性が高い場合、虐待やDVのおそれがある場合など、社会的養護が必要な場合、子どもが障害を有する場合、育児休業明け、兄弟姉妹(多胎児を含む)が同一の保育所等の利用を希望する場合、小規模保育事業などの卒園児童、その他市町村が定める事由
これを元に点数をつけていきます。
続いて、利用調整を行います。
例えば、A保育園は入園希望者が殺到しているが、B保育園は応募がそれほど多くない、といった事情が発生します。
そこで、入園希望者に希望する保育園をたずね、保育園ごとに点数が高い順に内定を出していきます。これが利用調整です。
この選考方法(指数制度)はあくまでイメージであり、内閣府は自治体に対して「現行の運用状況を踏まえつつ、市町村ごとに運用するように」としています。
指数のつけ方
続いて、政令指定都市の札幌市(北海道)の認可保育園の指数制度を使って、点数の仕組みを解説します。
札幌市の指数制度は、内閣府の「イメージ」に近い形になっています。
利用調整基準指数
3つの指数のうち、まずは父親指数と母親指数を確認します。
父親指数と母親指数の項目はほぼ同じです。同じ項目に父母ともに該当すれば、指数は2倍になります。
ただ、以下の「★」の項目は母親指数にしかありません。また「■」は世帯の指数になります。なお、項目が多いので一部を抜粋して紹介しています。
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『認可保育所等利用調整基準表 』(札幌市)を基に作成
これらの指標の項目から、労働時間が長いほど指数が高くなっていることがわかります。また、同じ自営業で同じ労働時間でも、自分が生計の中心者なのか、協力者なのかで指数が変わってきます。
さらに、虐待の指数は999点と、ほかの点数に比べて極めて高い点数になっています。最優先で認可保育園に入れなければならない子どもであるということです。
調整指数
3指数のうち、調整指数は次のとおりです。こちらも札幌市のもので、一部を抜粋しています。
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『認可保育所等利用調整基準表 』(札幌市)を基に作成
同点のときの優先順位の決め方
指数制度では、各世帯の事情を点数化するので、まったく同じ点数の世帯が存在することがあります。しかし同じ点数の世帯で も、実際の保育の必要度は変わってきます。
そこで、指数が同点になったときに、どの世帯を優先させるかを前もって決めています。
札幌市の場合は次のようになっています。
1、兄弟・姉妹がすでに入園している
2、階層区分の低い世帯
3、所得割額が低い世帯
4、申請児童が障がい児
5、多子世帯
6、核家族世帯
7、世帯の状況から総合的に判断
左側の数字は、審査する順番になります。
たとえば、同じ指数の世帯が2つあったら、そのうち、申請児童の兄弟・姉妹がすでに入園している世帯が優先的に入園できます。
もし、2つの世帯ともに兄弟・姉妹がすでに入園していたら、階層区分をみます。
階層区分は生活保護世帯かどうか、市町村民税または特別区民税が非課税化どうか、市町村民税または特別区民税の所得割額が多いか少ないかで判断します。
そして1~6でも2つの世帯に差が出なかったら、最終的には総合的に判断します。
まとめ〜指数化することで公正性を保っている〜
同じ自治体が運営する認可保育園でも、立地条件や設備の状態や建物の築年数などが異なるので、どうしても違いが生まれてしまいます。その違いによって、どうしても人気と不人気が出てきてしまいます。
そうなると定員以上の応募が集まる保育園では、入園できる子どもを厳正にを選ばなければいけません。
そのため指数という基準で公正性を保つ必要があります。
出典
『利用調整方法・基準について 』(大田区)
『子ども・子育て支援新制度における利用調整等について 』(内閣府)
『認可保育所等利用調整基準表 』(札幌市)
『保育認定(2・3号認定)を受けた児童の利用者負担額表(月額) 』(札幌市)
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