出産後に「離婚したい」と思ってしまったらどうする?回避する方法は? 【専門家監修】
出産後離婚したいと思ってしまったら
まずは原因を考えてみましょう
出産後の女性の体はホルモンバランスが変化し、心に影響が出ることもあります。赤ちゃんとの慣れない生活や、それに加えて「母親」という立場になりプレッシャーなどを感じたりもします。
夫婦だけの生活を送っていたところに、出産後は赤ちゃん中心の生活への変化や、慣れない育児にママもパパもお互いにストレスがかかり夫婦仲が悪くなる人もいます。
離婚につながる原因例
- ホルモンの変化によってママの気持ちが不安定
妊娠中から上昇したホルモンが分娩のときをピークとして出産後一気に低下するほどの変動があり、気持ちが不安定になりやすくなります。
急に涙もろくなったり、すぐにイライラしてしまったり……。自身で気持ちのコントロールをしたくてもなかなかできない状態になることもあります。
また体やホルモンバランスが回復するときに、2ヶ月ほどかかる中で、気持ちが落ち込みやすくなってしまう場合もあります。
- 育児疲れ
夜間の授乳や赤ちゃんが泣くとあやすなど、慣れない育児でママもパパも疲れが出てきます。特に新生児から生後3ヶ月までの赤ちゃんは睡眠リズムが整うまでにしばらく時間がかかったり、細切れの授乳でママもパパも圧倒的な睡眠不足が起きてしまうことが多くあります。
例えば8時間寝ていたとしても、それが細切れの8時間でなかなか熟睡感も得られず、寝ても疲れが取れない、ということもあります。
- 生活の変化
外出のときも赤ちゃん対応の施設かどうかを気にしたり、自分がいつも担当していない慣れない家事をこなすなど、赤ちゃんとの暮らしを優先して夫婦二人暮らしのときのような時間の過ごし方はできなくなります。
事前に話し合ったり、協力したり、家族やほかのサポーターに頼って夫婦二人の時間の確保や、リラックスして家事をしたりするような時間がとれる……という家庭は少ないように思います。
多くの家庭でママ・パパ二人で頑張っていきながら、お互いが暮らしに疲れていき、赤ちゃんのお世話もつらい状態に知らず知らずのうちになっていくケースもあります。
- セックスレス
赤ちゃんが生まれることでママは赤ちゃんにかかりっきりになり、パパに対する余裕がなくなったり、パパも環境によって気持ちが変化し、夫婦生活がしたくなくなりセックスレスになる夫婦もいます。
「産後の体の回復」に時間がかかるだけでなく、「育児で疲れた体」や「寝不足」は赤ちゃんが1歳半くらいまで続くこともあるかもしれませんし、産後のデリケートゾーンの状態や傷による痛みがある場合もセックスをリラックスして楽しめる状況にはなかなかなれないこともあります。
気持ちにも時間にも余裕がないと、夫婦でセックスを楽しもうという気分になれず、セックスレスになるケースも多くあると考えられます。
ここに記載した例以外にも、夫婦だけの理由がそれぞれにあります。
どのようなときに出産後のママやパパは離婚したいと考えてしまうのでしょうか。離婚したいと思ったときのママとパパの実際のエピソードを見ていきましょう。
出産後にママ・パパが離婚したいと思ったエピソード
実際、出産後にママ・パパが離婚したいと思った具体的なエピソードとしては次のことがよくあげられるようです。
- 妊娠中にパートナーが「浮気」してしまった
とても切ないケースですが、妊娠期にパートナーの浮気がわかることもあります。信じられない!と思いますが実際にあることです。
離婚を選択するケースもあれば、離婚をしないで関係性を修復するケースもあります。
- 触れ合うのが嫌になり夫婦生活がなくなった
産後のホルモンバランスや授乳の影響などで、パートナーとの触れ合いが苦手に感じる人もいるようです。
人として嫌いではないし、好きではあるけれど、性行為をするような気持ちになれないというケースもあります。
出産前からあまりセックス自体が好きではなかった場合や、子育てがより忙しくなり「個人」ではなく、「子どもの母親・父親」としか見られなくなり、セックスをする気にはなれない、というケースもあります。
- 心境や生活の変化によるもの
パパがママに対して「子どもの母親になったママのことを女性としてみることができない」「出産後の体が心配で、痛い思いをさせてしまうのではないかと思い触れることが少なくなり再開のチャンスがつかめない」ことや、パパ自身も「仕事や家事、育児のサポートに必死で性欲自体が低下して、性行為をしたいと思えない」というケースもあります。
また、産後にママがイライラしたり、言葉がきつくなったりすることがあります。
よくパパから聞くのが「ママが優しくなくなった」という言葉です。それはただ、子育てが中心になり、夫婦二人で暮らしていたときのようにできないだけの場合が多いのですが、どうしても「子ども優先で自分(パパ)が後回し」と感じてしまい、「妻が冷たい」と感じるケースがあったりします。
他にも「家族のために」と思い、仕事を頑張るあまりに子育てに協力することが疎かになり、ワンオペ育児になってしまっていたり、「子どもがかわいい」と思う暇がないほど忙しかったり、パートナーをねぎらうよりも「自分はよく頑張っているのを認めてくれない」、などという考え方の人もいたりします。
出産後の離婚率はどのくらい?
厚生労働省による「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」では、「ひとり親世帯になった時の親及び末子の年齢」を調べた調査があり、一番下の子の年齢が0〜2歳のときに離婚した人が一番多いという結果でした。
出産後すぐに離婚する人や、二人目や三人目の出産後に離婚する人もいます。
この調査結果をみていると、実際に出産後は夫婦関係の悩みが出てくることがわかります。出産後の時期は悩んでいる人が多いようです。
出典: 厚生労働相、「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告 ひとり親世帯になった時の親及び末子の年齢 」、2021年4月5日閲覧
出産後の離婚を回避する方法
一度振り返ったり立ち止まったりしよう
赤ちゃんの誕生で出産後はママ自身やパパ自身、自分の両親や義両親と関係が急速に変化する人もいます。
一番近くにいるのにパートナーであるママやパパが一緒に育児をしてくれないことや、両親や義実家と距離が近くなり自分のスタイルとは違う育児のアドバイスをされることもあります。
もし出産後に離婚をしたいと考えたら、一度振り返ったり立ち止まったりすることが大切です。
離婚を回避したいと考えたら、原因をひとつずつ解決していきましょう。
例えば前述した「育児疲れ」が原因ならお互い時間をとって一人の時間を作ってみたり、育児サポートなどのサービスを使ってみるのもいいかもしれません。
「セックスレス」が原因ならハグし合うだけでもお互いの安心感が変わるかもしれません。もし「セックスが原因」ならば、二人の時間をとりながら話し合い、お互いをいたわり合い、マッサージをし合うなどもいいでしょう。
場合によっては間にカウンセラーに入ってもらい相談をすることも有効な手段です。
出産後にママとパパが意識すること
- ママ・パパになることでの生活形態の見直しとお互い協力し合うことを意識していく
- 両親や義実家と自分の考えが合わないと思っても受け流し、意見を取り入れるか考えた上で、自分の家庭を作ることを意識する
- 家事や育児分担を話し合う機会を作る
- お互いの時間を大切にする(自分のための時間を持てるようにしてみる)
- お互いを認め合う、ねぎらう
- お互いの体調や気持ちの面で不安定な場合は、無理せず専門機関へ受診をし相談をしてみる
- 第三者(カウンセラーやコンサルタント)に相談してみる
※夫婦だけだと喧嘩して終わってしまう場合もあるので注意が必要です。身近な友人などには話しづらいことも聞いてもらえるような関係性の人に話を聞いてもらうなどもおすすめです。
出産後一度は必ずお互いについて考える時間をとる
「出産前はあんなにラブラブで仲良しだったのに……」と、出産後にママとパパ自身が驚くこともあるかもしれません。
もし出産後、イライラしたとしても一度落ち着いて、ママとパパがお互いについて考え、家事育児の分担や気持ちを話し合ってみるとよいでしょう。
出産後は子育てを通して親が育っていく時期です。その中でもう一度よくパートナーシップを考えながら暮らしを整えていくと、お互いにとってより快適な生活ができ、パートナーへの理解が深まるかもしれません。
参考:
厚生労働省、e-ヘルスネット「妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療 」、2021年4月5日閲覧
厚生労働省、「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告 ひとり親世帯になった時の親及び末子の年齢 」、2021年4月5日閲覧
家族・夫婦・育児のことで悩んだら
トモニテは、全ての家族を応援しています。
もし家族や夫婦、育児に関するお悩みがあるなら、誰かに相談してみましょう。
「誰にも言えない悩みがある…」「ただ話を聞いてほしい…」「経験者のアドバイスが欲しい…」
そんな時には、プロのカウンセラーに電話で相談できる、トモニテ相談室がおすすめです。
人生経験が豊富で、家族・家庭のお悩み相談が得意なカウンセラーがあなたを待っています。
写真提供:ゲッティイメージズ
※当ページクレジット情報のない写真該当