【医師監修】1歳未満は特に注意! 赤ちゃんがRSウイルス感染症にかかったら
大人が感染しても症状が軽いため、知らず知らずのうちに赤ちゃんへ感染を広げてしまう可能性があります。
大人が感染しても症状が軽いため、知らず知らずのうちに赤ちゃんへ感染を広げてしまう可能性があります。
RSウイルス感染症とは
2歳までにほぼすべての子どもが感染するウイルス
RSウイルスは一生のうちに誰もが一度は感染するウイルスです。2歳までにほぼすべての子どもが一度は感染するといわれています。
RSウイルスは一度かかっても終生免疫(しゅうせいめんえき)を得られないウイルスのため、そのあとも複数回感染します。
ただし再感染では初めての感染のときほど、重症化することは少ないとされています。
終生免疫
一度そのウイルスや細菌に感染すると、一生その感染症にはかからないとされる免疫のこと。
秋〜冬にかけて流行のピークが、近年は夏から
例年秋から冬頃に流行のピークを迎えていたRSウイルス感染症ですが、近年では夏頃から感染する人が増えてきています。
感染経路は「飛沫(ひまつ)感染」「接触(せっしょく)感染」
主に咳(せき)やくしゃみなどから感染する「飛沫感染」、ウイルスが付着した手すりやドアノブ、おもちゃから感染する「接触感染」が感染経路となります。
赤ちゃんがRSウイルスに感染したら?
咳や鼻水、発熱などの呼吸器系の症状から始まる
RSウイルス感染症は呼吸器系の感染症です。
のどから上の部分の「上気道(じょうきどう)」の感染から始まり、咳や鼻水、発熱などの症状が数日間続きます。
1週間程度で改善するとされていますが、悪化すると、のどより下の部分である「下気道(かきどう)」の感染へ進行します。
・咳がひどくなり治らない
・呼吸をするときにゼイゼイ、ヒューヒューといった音(喘鳴/ぜんめい)
・胸がへこむような呼吸をする(陥没呼吸/かんぼつこきゅう)
などの症状が出現します。
RSウイルス感染症で、中耳炎になる赤ちゃんも
特に乳幼児ではウイルスを含んだ鼻水が、耳と鼻をつなぐ耳管(じかん)から耳に入り、急性中耳炎を起こしやすくなります。
・耳を触っていることが多い
・首を振ったりぐずっている
など普段と違う行動があるときには小児科医に伝えたり、耳鼻科にも相談するのがよいでしょう。
1歳未満の赤ちゃんのRSウイルス初感染では重症化することも
注意が必要なのが「初めてRSウイルスに感染する赤ちゃん」です。
月齢の低い赤ちゃんが感染すると、「細気管支炎(さいきかんしえん)」、「肺炎」などを起こす可能性があります。特に生後2ヶ月未満の赤ちゃんでは、無呼吸発作を起こすケースがあり注意が必要です。
先天性の病気や、早産で生まれた赤ちゃんは特に注意
1歳以下の赤ちゃんのほか、1歳を過ぎていても
・早産で生まれた赤ちゃん
・心臓や肺に病気がある場合
・神経や筋肉に病気がある場合
・免疫に異常のある場合
などでは、より重症化するリスクが高まります。
リスクのある赤ちゃんのパパやママは対応について、かかりつけ医に相談しておきましょう。
RSウイルス感染症、赤ちゃんの治療は?
RSウイルスの特効薬はなく、症状を和らげる治療が基本
現在、RSウイルスに対して効果のある治療薬はありません。
症状に合わせた対症療法(症状を和らげる)が基本です。
たとえば、以下のような治療です。
・高熱が出た場合は、解熱剤(げねつざい)を使用する
・吸入薬をして痰(たん)を出やすくする
・鼻水や痰の吸引を行う
・呼吸が苦しそう、体内の酸素の量が不足したときには酸素吸入をする
・ミルクや母乳など水分が取れないときは点滴で補うなど
赤ちゃんが医療機関を受診するタイミングは?
いつもと違う呼吸のときはすぐに受診して
発熱や咳などの症状があっても、赤ちゃんの機嫌がよく、ミルクやおっぱいをよく飲めているようなら大きな心配はありません。
症状が続くような場合は昼間のうちに医療機関を受診しましょう。
ただし夜間や休日でも受診したほうがよいケースもあります。以下のようなときには、病院に相談しましょう。
・急激にぐったりとしている
・咳でまったく眠れない
・呼吸がしにくそう
・呼吸が速い(1分間に60回以上)
・肩で息をしている(肩呼吸)
・胸がへこんだ呼吸をしている(陥没呼吸/かんぼつこきゅう)
・ケンケンというような普通とは違う咳
・顔色や唇の色が青〜紫色をしている
・水分が取れない、尿が半日以上出ない
上記はあくまでも一例です。パパやママが赤ちゃんに対して何か変だな、と感じるときには病院に相談するようにしましょう。
昼間にかかりつけの小児科を受診した場合は、夜間や休日に救急を受診する目安についても確認しておくとよいでしょう。
夜間、休日に赤ちゃんの症状に悩むときには、電話で♯8000をプッシュして相談を受けられる「子ども医療電話相談」もあります。
RSウイルス感染症の検査方法は?
鼻の奥の鼻水を綿棒で取る
RSウイルスに感染しているかどうかの検査は、鼻の中に細長い綿棒を入れ、粘膜をぬぐって検査します。約15分ほどで結果がわかる検査です。
RSウイルス感染症の検査を積極的に行うのは1歳以下の赤ちゃん
特に月齢の低い赤ちゃんは、RSウイルスに感染すると重症となるリスクが高いため、感染が疑わしい場合には検査を行います。
RSウイルス検査が保険適用となるのは?
基本的には
・1歳未満の赤ちゃん
・入院が必要になる赤ちゃんや子ども
・パリビズマブ注射(RSウイルスの予防注射薬)が適応となる赤ちゃんや子ども
と決められています。
RSウイルス感染症が疑われるすべての人に、RSウイルス感染症の検査を行うわけではありません。
一度かかったことのある子どもや大人では、軽い風邪症状で改善することも多いためです。特効薬がなく、症状を和らげる治療が基本であることから積極的に検査を行うわけではないのです。
赤ちゃんのRSウイルス感染症を予防するには?
大人やきょうだいに風邪症状がある場合、マスクや手洗いを心がける
大人や赤ちゃんのきょうだいにとってはちょっとした風邪症状でも、RSウイルス感染症であった場合には、赤ちゃんにうつると重症化してしまう可能性があります。
症状があるときには自宅でもマスクや手洗いを心がけ、赤ちゃんにうつらないように注意しましょう。
赤ちゃんが触れる部分は適宜消毒
RSウイルスは消毒に弱いウイルスとされています。
赤ちゃんが使用するおもちゃなど触れる可能性のある部分は、アルコールや塩素系の消毒液を使用しこまめに消毒するようにしましょう。
基本的な感染対策で赤ちゃんを守ろう
2歳までにほとんどの子どもがかかるとされるRSウイルス感染症。
すべての赤ちゃんが重症となるわけではありませんが、重症となった場合には特効薬がなく命に関わるケースもあります。
できる限り対策をして、赤ちゃんへの感染予防を心がけましょう。
- RSウイルスは2歳までにはほぼすべての子どもが感染するウイルス
- RSウイルス感染症は月齢の低い赤ちゃんほど重症化しやすい
- 低出生体重児や先天的な病気のある赤ちゃんはより重症化しやすい
- 例年秋〜冬にかけての流行が、近年は夏から患者数が増えている
- 大人は比較的軽い風邪症状の事が多いので赤ちゃんに移さない様に注意が必要
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