【医師監修】 どんなものがある? ︎低用量ピルの種類と内容について
一言で「低用量ピル」といってもいくつもの種類があります。
成分の配合量や飲み方にも違いがあり、症状やライフスタイルによって選び方も変わります。
今回はピルの種類と内容についてお伝えします。
一言で「低用量ピル」といってもいくつもの種類があります。
成分の配合量や飲み方にも違いがあり、症状やライフスタイルによって選び方も変わります。
今回はピルの種類と内容についてお伝えします。
ピルに種類があるの?
現在は「低用量ピル」が一般的
「ピル」は「経口避妊薬」といい、もともとは避妊のための薬です。
2種類の女性ホルモン、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲスチン(黄体ホルモン)」が配合された薬で、1960年代にアメリカで承認。日本では1999年に承認・発売されました。
ピルには「高用量ピル」、「中用量ピル」、「低用量ピル」、「アフターピル(緊急避妊法)」などの種類があります。
エストロゲンの量が50マイクログラム未満のものを「低用量ピル」といいます。
現在では避妊や月経困難症の治療に、「低用量ピル」が選択されるのが一般的です。
ピルの効果や副作用については以下の記事も参考にしてください。
低用量ピルの種類とは?
低用量ピルは配合量、服用方法などによって分類があり、いくつもの種類があります。
以下で代表的な分類をお伝えします。
低用量ピルの分類①含まれる女性ホルモンの配合量の違い
現在日本では、女性ホルモンの量が一定の1相性ピルと、配合量が3段階に分かれた3相性ピルが使用されています。
一定の方が安定して使いやすい人、段階に分かれた方が自然に近く使いやすい人などさまざまです。
1相性ピル
1相性ピルはすべての錠剤に含まれる女性ホルモン(エストロゲン、プロゲスチン)の量が一定です。そのため飲み間違いが少ないピルです。
月経前症候群(PMS)は、ホルモンの変動による影響を受けやすいとされています。そのため月経前症候群の治療には、ホルモンの変動が少ない1相性ピルを使用することが多いのが特徴です。
3相性ピル
3相性ピルは、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲスチン)の配合量が3段階に分かれていて、内服する順番が決まっています。
3段階にすることで自然な女性ホルモンの分泌リズムに近づけています。
飲む順番を間違えてしまうと、不正出血が起こったり、避妊効果が低下することがあります。
※現在2相性のピルは日本で使用されていません。
低用量ピルの分類②低用量ピルの世代の違い
低用量ピルは女性ホルモンの配合量のほかに、使用されている黄体ホルモン(プロゲスチン)の違いによっても分類されます。
低用量ピルに使用されている黄体ホルモンは、人工的に合成されたものです。
第1〜4世代まであり、それぞれ別の種類の人工的な黄体ホルモンが使用されています。
もう一つ配合されている女性ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)は、第1〜4世代まで「エチニルエストラジオール(EE)」で共通しています。
第1世代(ノルエチステロン)
一番初めに承認された低用量ピルで、長く使われてきた薬です。
やや不正出血を起こしやすいとされています。
第2世代(レボノルゲストレル)
第1世代より黄体ホルモンの作用がやや強い特徴があります。
その分男性ホルモンが活性化するため、にきびや多毛といった副作用を起こすことがあります。
第3世代(デソゲストレル)
ほかの世代に比べると、不正出血を起こしにくいとされています。
第4世代(ドロスピレノン)
にきびやむくみに対する副効用も期待されています。
低用量ピルの分類③低用量ピルの飲み方の違い
低用量ピルは1日1回決まった時間に飲む薬です。ピルは飲み方(服用方法)によっても種類が分かれます。
21錠タイプ
1つのシートが21錠で、すべての薬に有効な成分が含まれているものが「21錠タイプ」の低用量ピルです。
1シートを順番に飲み終えたら、翌日から7日間は休薬します。休薬している間に生理のような出血(消退出血)が起こります。
休薬後新しいシートの内服を始めます。
28錠タイプ
1つのシートが28錠で、そのうち有効成分が入っているのは21錠、残りの7錠が有効成分の入っていないプラセボ(偽薬)のものが「28錠タイプ」の低用量ピルです。
シートに記載されている順番に内服します。
22日目から28日目はプラセボを内服し、休薬期間を設けます。この期間で、生理のような出血(消退出血)が起こります。
1シートすべての内服が終わったら続けて新しいシートの内服を始めます。
消退出血とは?
低用量ピルを内服していると、排卵はなくなります。ただし毎月定期的に生理のような出血がみられます。これを消退出血といいます。
通常の生理に比べると、出血量や生理痛の症状なども軽くなります。
自分に合った低用量ピルを処方してもらおう
低用量ピルには、女性ホルモンの配合量、黄体ホルモンの種類、内服の仕方などさまざまな種類があります。病院によって取り扱っている低用量ピルが違うこともあります。
人によって相性が違うので、婦人科や産婦人科の医師と相談しながら自分に合った低用量ピルを処方してもらいましょう。
悩んでいる症状やライフスタイルに合ったものが選べるとよいですね。
- 低用量ピルにはさまざまな種類がある。
- 女性ホルモンの配合量の違いで1相性、3相性に分かれる。
- 配合されている「黄体ホルモン」の種類によって、第1〜4世代に分かれる。
- 飲み方の違いで21錠タイプ、28錠タイプに分かれる。
- 人によって相性が違うので、医師とよく相談して処方してもらおう。
写真提供:ゲッティイメージズ
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