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ピルって怖くない? 副作用は?【第2回 トモニテお悩み相談・後編】

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ピルって怖くない? 副作用は?【トモニテお悩み相談 低用量ピル後編】

前回は産婦人科医・吉村泰典(よしむら やすのり)先生に、低用量ピルの避妊以外の効果、「副効用(ふくこうよう)」についてお伺いしました。

今回は私たちが持つピルの「副作用(ふくさよう)」に対する不安や、疑問について吉村先生に教えていただきます。

前回は産婦人科医・吉村泰典(よしむら やすのり)先生に、低用量ピルの避妊以外の効果、「副効用(ふくこうよう)」についてお伺いしました。

今回は私たちが持つピルの「副作用(ふくさよう)」に対する不安や、疑問について吉村先生に教えていただきます。

ピルの副作用が怖い?

トモニテアンケートでも副作用に対する不安の声が

実際のトモニテユーザーアンケートでもピルの副作用に対する不安の声が聞かれました。

(2021年4月21日から22日にかけてトモニテのInstagramのストーリー内で「低用量ピル」についてのアンケートを実施)

「副作用が怖いです」(23歳/2歳・0歳児のママ)

「副作用について。特に飲んでいたらがん家系の人はがんになりやすいと聞いた」

(28歳/3歳・2歳・0歳児のママ)

「副作用について。吐き気や体調不良になることはあるのか、長期服用するとどんな害があるのかなど」(31歳/3歳児・生後4ヶ月のママ)

ピルの副作用について吉村先生にお伺いします。

ピルの副作用を正しく理解することが大切

吐き気や胸の張りなどは3ヶ月程度で落ち着く

ピルというと副作用が心配な声が多いようですね。

ピルを飲み始めると女性ホルモンの変化により、頭痛や吐き気、胸の張り、だるさなどの「マイナートラブル」と呼ばれる症状が出現します。

飲み始めの一時的なもので、大体3ヶ月程度で体が慣れて落ち着くことがほとんどです。

もしなかなか症状が改善しない場合には、主治医に相談しほかの種類のピルを試してみてもよいかもしれません。

乳がんや子宮頸(けい)がんのリスクはわずかに上がる

確かにリスクとしては、乳がんと子宮頸がん(※)の場合はわずかに上がります。

ただ子宮頸がんはリスク上がる可能性がある程度です。ピルを飲んでいる人だけに限りませんが、定期的に検診をすることが大事ですね。

たとえば家族に乳がんの人がいたりする場合はピルの内服を控えるとか、内服を始める前に問診があります。医師に十分に相談することが大事ですね。

※ピルの内服により子宮がんのうち、子宮体がんの発症率は低下します。

子宮頸がん・体がんについては以下の記事も参考にしてください。

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静脈血栓塞栓症、実際の発症リスクは低い

いずれにしてもピルを飲んでいると静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)のリスクは少し上がるんですね。

これはピルに含まれているエストロゲンの影響です。エチニールエストラダイオール(EE)といいますが、量に比例します。

特に飲み始めたときから3ヶ月くらいは静脈血栓塞栓症に注意しておく必要がありますね。1ヶ月に1回は診察を受け、異常を感じたら受診しましょう。

その期間をクリアできれば飲み続けていても問題はないと言えます。

妊娠を希望していったんピルをやめることがありますよね。

再開のときはまた、3ヶ月間は注意が必要ということですね。

ただ現在多く使われているピルは低用量のものです。数十年前は高用量、中用量のピルが使われていたので、昔に比べてだいぶリスクは減っているということです。

静脈血栓塞栓症を起こす確率も、ピルを内服している女性では、年間1万人のうちに3〜9人とほとんどの女性にとっては影響がないことのほうが多いのです。

ピルを内服している女性より、妊娠中や産後の女性のほうが静脈血栓塞栓症のリスクは上がります。けれど妊娠中や産後、それほどみなさん気にしていないでしょう。

定期的な診察のもと、正しく服用すれば副作用を心配しすぎる必要はありません。

血栓症のリスクが高くなるケース

  • 35歳以上で1日35本以上の喫煙する人
  • 肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症がある人
  • 乳がん・子宮がんのある人
  • 肝臓・腎臓・心臓に持病がある人 など

ピルを飲んだら妊娠に影響しそうで心配

ピルの内服を中止すれば妊娠が可能

ピルを内服して長期間生理(月経)を止めていると、「妊娠に影響がありそう」「子どもができにくくなりそう」と、不安に思う女性も多いようですね。

ピルの内服を中止して1〜3ヶ月すると、排卵・生理(月経)は元の状態に戻ります。すぐに妊娠が可能な状態になるので、あまり心配する必要はありません。

長期間ピルを服用しても、中止したあとの妊娠には影響しないことがわかっています。

おなかの赤ちゃん(胎児)に影響を及ぼすこともありません。

もし妊娠したくなったらピルをやめる。授乳中もいったんやめる(※)。

そして授乳が終わったらピルを再開する。

そしてまた2人目が産みたいときにはピルをやめる。ライフステージに合わせて生理をコントロールしていくことが大事じゃないですかね。

※「OC LEPガイドライン」2020年度版では、産後の静脈血栓塞栓症のリスクの高さなどからピルを開始する場合は分娩後6ヶ月以降としています。

ピルの再開を希望する場合は、主治医と相談しましょう。

ピルは長期間飲み続けても大丈夫

定期的な診察のもと正しく内服を

ピルは定期的な医師の診察のもとであれば、長期間飲み続けても大きな問題はありません。健康上問題がなければ閉経まで飲み続けられます。

40歳以降では静脈血栓塞栓症のリスクが高い糖尿病や、肥満傾向、高血圧といった持病などがある場合にはそれぞれ主治医に相談のもと内服します。

50歳以降は閉経していなくても使用しなくなります。加齢によりホルモン量に変化があり、ピルを内服するメリットがなくなってくるからです。そのままホルモン補充療法(※)に移行したりしますね。

※ホルモン補充療法:エストロゲンを補う、更年期障害の治療法

トモニテ編集部まとめ

ピルは正しい方法で内服すれば安全な薬で、必要以上に怖がる必要がないことがわかりました。

悩んでいる症状や将来の妊娠に対して不安があれば、1人で悩まずに医師に相談してみてくださいね。

連載のご紹介

トモニテ編集部では、普段なかなか聞く機会のないドクターたちの話を伺うことのできる「トモニテお悩み相談」を立ち上げました。

今回は、慶應義塾大学名誉教授であり、3000人以上の不妊症、5000人以上の分娩など数多くの妊産婦の診療に関わる一方、第2次~第4次安倍内閣では「少子化対策・子育て支援担当」として、内閣官房参与も務めていた産婦人科医の吉村泰典先生にご協力いただき、「トモニテお悩み相談」の連載を開始します。

「トモニテお悩み相談」では先生にさまざまなお話を伺う予定です。

また、ユーザーアンケートを通してトモニテユーザーの疑問や気になることなど、まとめて発信する予定です。

産婦人科医への質問アンケートは不定期でトモニテの公式Instagram のストーリーズで配信予定です。

ドクターズプロジェクト第2回は前編・後編に渡り「低用量ピル」について紹介しました。

次回以降も気になる情報についてお伺いします。

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