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産婦人科医が答える!悩み・疑問Q&A 生理編【1】【産婦人科医監修】
生理(月経)についてMAMADAYSユーザーから先生に質問!
人によって「機能性」と「器質性」があり、痛みの感じ方・考え方も違うから。
月経困難症※1っていうのはね、生理痛を持つ人のことを言うんですけども、「機能性月経困難症※2」と「器質性月経困難症※3」に分類されます。
機能性というのは原因がわからないもの。それから、器質性っていうのは病気があるもの。
生理痛の個人差があるのはなぜか。
これはね、器質性の場合は子宮内膜症の程度にもよります。
本当に痛いのはですね、「子宮内膜症」と「子宮腺筋症」です。この2つの病気があるんですけども、生理痛が辛い人はこういった病気が潜んでいるかどうかです。
機能性の場合は、症状はあるけど病気ではなく原因がわからないものです。
生理のときにはプロスタグランジンという物質が分泌されます。プロスタグランジンは生理のときには必要なホルモンの一種です。
プロスタグランジンは子宮を収縮させ子宮の内膜がはがれ落ちるときに経血を体の外に押し出します。同時に血管を収縮させ、出血量を減らす作用があります。そのプロスタグランジンの分泌が多いと痛みを強く感じます。
全く痛みがない人もいますし、病気がない場合でもプロスタグランジンによって収縮することで痛みを感じる人もいます。
それからもう一つはね、痛みの感じ方は非常に個人差があるものなんですよ。
痛みに強い人もいれば、痛みに弱い人もいるんですよ。こういったことも大きな理由です。同じ痛みを与えても「痛い」という人と「何も痛くない」という人と、「我慢できる」人と、いろんな痛みの考え方っていうのはありますよね。
※1
月経困難症:生理中に起こる病的な症状のことで、下腹部痛と腰痛が起こります。このほかには腹部が膨れる・吐き気・頭痛・疲労感・脱力感・食欲不振・イライラ・下痢・憂鬱の順に多くなっています。
※2
機能性月経困難症:原因は不明ですが、子宮の発育不全やプロスタグランジンの過剰産生による子宮の収縮によるものと考えられています。妊娠・分娩後に症状は改善・消失します。生理の初日と2日目の出血の多い時期に強く痛みが起こります。
※3
器質性月経困難症:20代以降に発症する。子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫などが原因で、そのほかに子宮下部の通路が狭くなる「頸管狭窄」や内膜ポリープなども原因となります。生理の4〜5日前から始まり生理後まで続く持続性鈍痛のことが多く、子宮内膜症などの疾患の進行に伴い症状や病態などがさらに悪化します。
痛みは病気ができてる部位によって違う。
腰が痛くなるような人は、子宮の後ろ側に子宮内膜症があったりとかね。ひきつれて痛いとか、病巣のある部位によっても違います。
一般的には病気がない場合の下腹部痛ですよね。要するにそれは先ほどお伝えしたプロスタグランジンが出てるということです。
性交すると痛い「性交痛」なども、場合にはよりますが、病巣のできる部位によって違うんですね。腰が痛くなる人、おなかが痛くなる人、痛みもいろんなところに放散します。
また、生理中おなかを下すというのは、子宮内膜症が直腸などにまで及ぶということもありますし、プロスタグランジンが過剰に出たりしますと下痢を起こしたりすることもありますので、生理中に下痢を起こすことはあると思いますよ。
産後久々の生理で強く感じることも。元々重い場合は早めに病院に行きましょう。
産後の生理で起き上がれないほど辛いというのは、長い間生理を経験してなかったので強く感じるということもあります。
痛みというのは非常に精神的な面もあります。自分の置かれた環境によっても痛みの感じ方は違います。
今は大丈夫でも元々生理が辛く、重いと感じていた場合は病院で一度診てもらうのが安心だと思います。
生理中は出血しますし痛みがあるので気分が落ち込むということは当然あります。
また「PMS(月経前症候群)※4」みたいに、月経前に体調不良を訴える人もいます。
寝込んで痛くて、ということはありますけど、生理になるとさっと気分の落ち込みなどはなくなるという人も多いです。
黄体期の、生理が起こる前のほうが気分が不快になることが多いです。
※4
PMS(月経前症候群):原因は不明で、イライラ、のぼせ、下腹部が膨れた感じ、下腹部痛、腰痛、片頭痛、乳房の痛みなどの症状があらわれる。月経周期と一致して出たりおさまったりを繰り返す。
MAMADAYS編集部より
MAMADAYS編集部ではMAMADAYSユーザーを対象に、2021年4月21日から22日にかけてMAMADAYSのInstagramのストーリーズ内で「月経(生理)についてのアンケート」を実施しました。
お答えいただいたMAMADAYSユーザーの皆様ありがとうございます。
産婦人科医への質問アンケートは不定期でMAMADAYSの公式Instagram のストーリーズで配信予定です。
次回の「産婦人科医が答える!悩み・疑問Q&A 生理編【2】」でも生理についてのさまざまな質問を吉村先生にお答えいただく予定です。
【注意事項】
本記事は子育て中のママ・パパ、生理に悩む女性に役立つ情報の提供を目的とし、診療を目的としておりません。
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参考:
医学書院、「標準産科婦人科学 第4版」『月経困難症』『月経前症候群』
連載の目次
【トモニテお悩み相談】生理(月経)は実は必要ないもの?【産婦人科医監修】
第1回避妊以外の効果? 低用量ピルの話【トモニテお悩み相談 低用量ピル前編】
第2回ピルって怖くない? 副作用は?【トモニテお悩み相談 低用量ピル後編】
第3回【トモニテお悩み相談】かかりつけの婦人科・産婦人科は必要⁉︎【産婦人科医監修】
第4回【トモニテお悩み相談】辛いときの対処法 -【産婦人科医監修】
第5回産婦人科医が答える!悩み・疑問Q&A 生理編【1】【産婦人科医監修】
第6回産婦人科医が答える! 悩み・疑問Q&A 低用量ピル編【産婦人科医監修】
第7回産婦人科医が答える!悩み・疑問Q&A 生理編【2】【産婦人科医監修】
第8回【トモニテお悩み相談】もしものために知っておこう!アフターピル【産婦人科医監修】
第9回【トモニテお悩み相談】どれを選ぶ? 避妊方法について知っておこう【産婦人科医監修】
第10回【トモニテお悩み相談】妊娠中のセックス コンドームって必要?【産婦人科医監修】
第11回【トモニテお悩み相談】妊娠中にセックスはしてもいい?【産婦人科医監修】
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第18回妊娠中に知っておきたい性感染症② 性器クラミジア感染症【産婦人科医監修】
第19回