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産婦人科医が答える! 悩み・疑問Q&A 低用量ピル編【産婦人科医監修】
今回はMAMADAYSのInstagramのストーリーズで募集した、低用量ピルについてのお悩みについて産婦人科医の吉村泰典先生に質問します。
今回はMAMADAYSのInstagramのストーリーズで募集した、低用量ピルについてのお悩みについて産婦人科医の吉村泰典先生に質問します。
ピルについてMAMADAYSユーザーから吉村先生に質問!
産後6ヶ月以降は、医師がピルを服用可能と判断したら再開できます。
低用量ピルの再開については、産後6ヶ月以降になるとベネフィットがリスクを上回り「内服してもよい」ということになっています。
ただ、授乳中、ピルが赤ちゃんに与える影響ははっきりしていない部分もあるんですね。できれば僕は授乳中は控えたほうがいいんじゃないかなとも思います。
もし避妊を目的とする場合には、産後に生理が(月経)が再開しているかどうかによっても違いますけれど、ほかの避妊方法をしておいたほうがよいような気もしますね。
ただし、医師に向けて低用量ピルの処方について書かれた「OC・LEPガイドライン」では、産後6ヶ月以降はピルを飲んでもよいということになっています。
それぞれのお母さんで産後の静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)のリスクや、産後の妊娠する確率、月経に関連した症状なども変わってきますから、かかりつけの医師にピルの内服について相談してみるとよいでしょう。
出典:「OC・LEPガイドライン 2020年度版」公益社団法人 日本産科婦人科学会/一般社団法人 日本女性医学学会
一般的に50歳以降はピルを内服せず、ホルモン補充療法(HRT)に移行します。
これはなかなか難しいんですよね。
何歳までピルを飲んでいいかということに対して、意外とコンセンサス(一致した意見)がないんですよ。
ただピルは、定期的な医師の診察のもとであれば、長期間飲み続けても大きな問題はありません。健康上問題がなければ閉経まで飲み続けられます。
40歳以降では静脈血栓塞栓症のリスクが高い糖尿病や、肥満傾向、高血圧など持病などがある場合にはそれぞれ主治医に相談のもと内服が必要ですね。
医師によっても意見に違いがありますが、50歳以降はピルはやめておいたほうがいいということですね。これは言えるんですね。
閉経期になると、ピルの女性ホルモン量は閉経期の女性ホルモン量を超えます。
更年期障害にとって必要なホルモンの量よりもピルのほうが含まれているホルモンの量が多いので、50歳以降は、飲まないほうがいいですね。
45〜50歳くらいの間で、ピルから「ホルモン補充療法(HRT)」に変えていきます。
45、6歳でいったんピルをやめて、更年期障害とか、色々な症状が強いようだったら、ホルモン補充療法に変えていくのがよいでしょうね。
ホルモン補充療法(HRT:Hormone Peplacemant Therapy)とは?
ホルモン補充療法とは、閉経前後の時期に少なくなっていく女性ホルモン(特にエストロゲン)を薬で補充する治療方法です。
ホルモン補充療法では、1日に補充するエストロゲンの量は、低用量ピルの約1/5と少量です。
更年期の不快な症状(疲れやすさ、のぼせ、頭痛など)を改善させる目的で使用されます。ほかにも骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防や改善、動脈硬化の予防にも効果があるとされています。
乳がんの経験者や治療中、静脈血栓塞栓症になったことがある場合などではホルモン補充療法は受けられません。
開始する前には、医師に十分に相談することが大切です。
最初の1〜2ヶ月は不正出血がよく起こります。長引いたり、ひどくなるときには医師に相談しましょう。
「不正出血」、これは副作用としてよくありますね。
ピルを飲み初めの1周期は結構ある人が多いです。2〜3周期になるとだんだん減ってきます。
おそらく3ヶ月以降はほとんどありませんので、はじめのうちはあまり心配する必要はないと思います。
ただし、不正出血がひどくなったり、長引くときには医師に相談しましょう。
妊娠していたり、何か病気が隠れていたりしないか検査を行います。
何も異常がみられなければ、そのままピルを飲み続けることができます。
不正出血が長引いたり、自分の体に合わないと感じたりするときには、別の種類のピルに変更したりもします。
ピルだけではPMSの改善が難しいこともあります。
これは、ピルを飲んでPMSが一時軽くなったのですね。
ピルは現在、「1相性(いっそうせい)」と「3相性(さんそうせい)」とあるんですけれど、PMSの場合は「1相性」を用いることが多いですね。「1相性」というのは女性ホルモン量が一定のものです。
PMSは、ほとんどホルモンの状態としては正常なんですよ。排卵が終わって生理が始まる前までに、プロゲステロン(黄体ホルモン)が増えます。
そして、生理が終わって次の排卵までにはエストロゲン(卵胞ホルモン)が増えるというふうに。排卵もちゃんと起こっている人が多いです。
PMSは、このホルモンバランスが変動することが影響するとされているので、ホルモン量が一定の「1相性」のピルを治療として使用します。
ただPMSは、女性ホルモンも影響しますが、それだけで起こってくるというわけじゃないんですね。
はっきりと原因がわかっていない部分もありますが、ストレスや精神的な問題も影響したりします。漢方薬やそのほかの薬、カウンセリングを受けることも必要になりますね。
PMSはピルで効果がある人もいれば、ピルだけでは治らないケースもある。
症状が重くなるにつれてピルだけでは効果がないこともあります。
そのときは身体的・精神的症状に合わせて、別の治療法も行う必要があるということですね。
1相性ピル、3相性ピルの違い
1相性ピル:エストロゲンとプロゲステロンの配合量が一定で変わらないピル。
3相性ピル:エストロゲンとプロゲステロンの配合量が3段階に分かれているピル。
服用する順番が決まっている。副作用を減らすために、自然のホルモンのリズムに近づけている。
※2相性ピルは、現在日本では使用されていません。
ピルの服用を止めれば妊娠が可能です。
ピルを飲んでいるからといって妊娠しにくくなることはありません。妊娠したくなったらピルを止めれば大丈夫です。
ピルの内服をやめるとだいたいの人は、3ヶ月以内に排卵が再開して、妊娠できる状態となります。
長期間ピルを内服しても、中止したあとの妊娠する確率は変わらないとされています。
おなかの赤ちゃんに影響するということもありません。
MAMADAYS編集部より
MAMADAYS編集部ではMAMADAYSユーザーを対象に、2021年4月21日から22日にかけてMAMADAYSのInstagram のストーリーズ内で「低用量ピルについてのアンケート」を実施しました。
お答えいただいたMAMADAYSユーザーの皆様ありがとうございます。
産婦人科医への質問アンケートは不定期でMAMADAYSの公式Instagram のストーリーズで配信予定です。
次回以降も、MAMADAYSユーザーの皆様や編集部が気になる内容についてお伺いしていきます。
【注意事項】
本記事は子育て中のママ・パパ、生理に悩む女性に役立つ情報の提供を目的とし、診療を目的としておりません。
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連載の目次
【トモニテお悩み相談】生理(月経)は実は必要ないもの?【産婦人科医監修】
第1回避妊以外の効果? 低用量ピルの話【トモニテお悩み相談 低用量ピル前編】
第2回ピルって怖くない? 副作用は?【トモニテお悩み相談 低用量ピル後編】
第3回【トモニテお悩み相談】かかりつけの婦人科・産婦人科は必要⁉︎【産婦人科医監修】
第4回【トモニテお悩み相談】辛いときの対処法 -【産婦人科医監修】
第5回産婦人科医が答える!悩み・疑問Q&A 生理編【1】【産婦人科医監修】
第6回産婦人科医が答える! 悩み・疑問Q&A 低用量ピル編【産婦人科医監修】
第7回産婦人科医が答える!悩み・疑問Q&A 生理編【2】【産婦人科医監修】
第8回【トモニテお悩み相談】もしものために知っておこう!アフターピル【産婦人科医監修】
第9回【トモニテお悩み相談】どれを選ぶ? 避妊方法について知っておこう【産婦人科医監修】
第10回【トモニテお悩み相談】妊娠中のセックス コンドームって必要?【産婦人科医監修】
第11回【トモニテお悩み相談】妊娠中にセックスはしてもいい?【産婦人科医監修】
第12回【トモニテお悩み相談】性感染症になると赤ちゃんに影響がある?【産婦人科医監修】
第13回【トモニテお悩み相談】生まれたときから卵子が減り続けているって本当?【産婦人科医監修】
第14回【トモニテお悩み相談】知っておきたい高齢妊娠,出産のリスクについて【産婦人科医監修】
第15回精子の機能は男性が高齢になると妊娠・出産に影響する?【産婦人科医監修】
第16回産婦人科医が答える! 悩み・疑問Q&A 高齢妊娠・出産編【産婦人科医監修】
第17回妊娠中に知っておきたい性感染症① 性器ヘルペスウイルス感染症【産婦人科医監修】
第18回妊娠中に知っておきたい性感染症② 性器クラミジア感染症【産婦人科医監修】
第19回