【医師監修】妊活中の接種のタイミングはいつ? 新型コロナウイルス感染症ワクチン
妊活中の人はコロナワクチンの接種はできる?
接種することができる
現在、妊娠中、授乳中、妊娠を計画中の人も、ワクチンを接種することができます。
産婦人科の関係学会は妊娠中の時期を問わずコロナワクチンの接種を推奨しています。
もし接種後に発熱した場合は、早めの解熱剤の服用を推奨しています。解熱剤については記事後半の「副反応での解熱鎮痛薬の使用について」を確認してください。
厚生労働省のQ&Aによると、新型コロナウイルスのワクチン「mRNAワクチン」が妊娠、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼすという報告はみられていません。
2021年9月現在、日本で接種が行われている、ファイザー/ビオンテック製ワクチン「コミナティ筋注」とモデルナ製ワクチン「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」は、いずれも「mRNAワクチン」と呼ばれる新しい仕組みのワクチンです。
このワクチンは、ウイルス等の毒性を弱めて作られた「生ワクチン」とは異なるため、接種により新型コロナウイルスに感染することを心配する必要はありません。
ただし、コロナワクチン接種を行うにあたって、リスク(副作用)とベネフィット(効果)の双方を考慮する必要があります。
産婦人科の施設以外で接種を受ける場合は、事前にかかりつけ医に接種する旨を相談してください。
※ファイザー社のワクチンと武田/モデルナ社のワクチンがmRNAワクチンです。アストラゼネカ社のワクチンはウイルスベクターワクチンで原則40歳以上の人が接種できます。
妊活中のコロナワクチン接種について
タイミングを変更する必要はない
厚生労働省のQ&Aによると、米国CDC(アメリカ疾病対策センター)は、これから妊娠を計画されている人にも新型コロナワクチンの接種を推奨しています。米国で承認されているワクチンが生殖器に悪影響を及ぼす報告はなく、日本でも米国同様、日本で承認されている新型コロナワクチンが生殖器に悪影響を及ぼすという報告はありません。
ワクチン接種のために妊娠のタイミングを変更する必要はないとしています。
パートナーは接種を検討して
厚生労働省のQ&Aによると、妊婦が感染する場合の約8割は、夫やパートナーからの感染と報告されています。
夫またはパートナーが、ワクチンを接種することで妊婦・妊活中の女性を守ることにもつながります。
mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンとは
「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」は既存のワクチンとは違い、新しい仕組みのワクチンです。
これまで日本で使用されていたワクチン(不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン、ペプチドワクチン)はウイルスの一部のタンパク質を人体に投与し、それに対して免疫ができる仕組みでした。
mRNAワクチンやウイルスベクターワクチンでは、ウイルスのタンパク質をつくるもとになる情報の一部を注射します。
注射後、人の体の中でこの情報をもとに、ウイルスのタンパク質の一部がつくられ、それに対する抗体などができることで、ウイルスに対する免疫ができます。
次では、副反応が起きたときの妊活中の解熱鎮痛剤の使用について説明します。
副反応での解熱鎮痛薬の使用について
新型コロナワクチン接種をしたあと、発熱や頭痛がある場合は早めに解熱鎮痛剤を服⽤するようにしてください。
ただし薬の成分によって、妊娠中は使用できるものと避けるべきものがあるため、妊娠の可能性がある場合は解熱鎮痛剤薬の種類に気をつけましょう。
妊活中の解熱鎮痛薬の使用
アセトアミノフェンは使用可能です。
※主治医に相談の上服用してください。
できる限り市販薬を使用せず、かかりつけ医に処方してもらうようにしましょう。医療機関の受診が難しい場合は薬局やドラッグストアの薬剤師に相談し、アドバイスをもらうようにしてください。
ワクチン接種したあとは
2回のワクチン接種後も、これまでと同様に感染予防策は続けておこなってください(適切なマスク使用、手洗い、人込みを避けるなど)。
参考:
厚生労働省、新型コロナワクチンについて「新型コロナワクチンQ&A Q. 私は妊娠中・授乳中・妊娠を計画中ですが、ワクチンを接種することができますか。」 (2021年9月2日閲覧)
厚生労働省、新型コロナワクチンについて「新型コロナワクチンQ&A ワクチンの仕組み」 (2021年8月16日閲覧)
厚生労働省、「健康・医療 開発状況について ワクチン開発と見通し」 (2021年9月2日閲覧)
国立成育医療研究センター「妊娠・授乳中の新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種について」 (2021年9月2日閲覧)
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