【医師監修】妊娠中の尿漏れはなぜ起こるの?原因と尿漏れ防止のための対策を解説
妊娠中に尿漏れが起こる理由
まずは、妊娠中に尿漏れが起こる原因を妊娠期ごとに解説します。
妊娠初期(妊娠15週まで)
妊娠初期の尿漏れは、子宮が少しずつ大きくなり膀胱を圧迫することが原因です。
膀胱が子宮に圧迫されることで伸びにくくなってしまうため、貯められる尿の量が少なくなり、尿漏れや頻尿が起こるのです。
また、妊娠中に多く分泌される「プロゲステロン」というホルモンも尿漏れを引き起こす原因の一つ。
プロゲステロンには膀胱の筋力をゆるめる作用があるので、尿漏れが起きやすくなります。
妊娠中期(妊娠16〜27週)
妊娠中期は、子宮の圧迫に加え尿の量の増加によっても尿漏れが起きやすくなります。
妊娠中は、赤ちゃんに血液を送るために妊娠前よりも多くの血液が必要になるので、血液の量が増加します。
血液量が増えると尿の量も増えるので、ちょっとした刺激でも尿漏れが起きやすくなるのです。
妊娠後期(妊娠28週以降)
妊娠後期の尿漏れは、赤ちゃんが大きくなり、子宮が膀胱をさらに圧迫することが原因です。
大きくなった子宮は、排便や排尿をコントロールしている骨盤底筋という筋肉を引き伸ばします。
骨盤底筋が引き伸ばされた状態で、笑ったりくしゃみをしたりすると腹圧がかかり、尿漏れしやすくなるのです。
また、くしゃみや咳をしておなかに力が入ったときに、赤ちゃんが動くことで膀胱が刺激され、尿漏れが起こることもあります。
妊娠中の尿漏れ対策
ここからは、日常生活でできる簡単な尿漏れ対策を解説します。
こまめにトイレに行く
妊娠中は子宮が膀胱を圧迫しているので、貯められる尿量が少なくなっています。
腎機能も活発になるので、尿意がなくても、こまめにトイレへ行く習慣を身につけることで、尿漏れの回避につながるでしょう。
また、トイレを我慢すると膀胱炎になり、赤ちゃんに悪影響を与えるおそれがあります。
膀胱炎を予防するためにも、日頃からトイレにこまめに行くようにしてください。
尿漏れパッドを活用する
尿漏れパッドを活用するのもよいでしょう。
最近では、不快感が少なく衣服の上から目立たない商品も多くあります。
敏感肌の人用の商品もあるので、蒸れによるかゆみが出やすい人も安心して使えるでしょう。
骨盤底筋を鍛える
排便や排尿をコントロールしている骨盤底筋を鍛えることは、頻尿や尿漏れ対策に効果的です。
骨盤底筋トレーニングは、腟と肛門を締めたりゆるめたりする動作を繰り返すのが基本の形。
締めるときは息を吐きながら、ゆるめるときは息を吸いながらおこなうのがポイントです。
以下では、簡単にできる骨盤底筋トレーニングを紹介します。
骨盤底筋を鍛えるトレーニング方法
腟と肛門を締める(力を入れる)
そのままをキープ
腟と肛門をゆるめる(力を抜く)
締める・ゆるめるを繰り返す
10回を1セットとし、無理のない程度で
骨盤底筋トレーニングは、どんな姿勢でおこなってもかまいません。
立っているとき、座って仕事しているとき、寝る前に横になったときなど、日常生活のちょっとした合間におこなうだけで尿漏れ対策につながります。
無理のない範囲で、自分の好きなタイミングで継続しておこないましょう。
水分はこまめにしっかり摂る
水分はこまめにしっかり摂取しましょう。
水分を控えてしまうと「膀胱炎」を引き起こすことがあります。
また、血管のなかで脱水が起きることで血栓ができやすくなり、心筋梗塞・肺塞栓・脳梗塞などを発症するおそれもあります。
水分をこまめに摂取して、尿漏れだけでなくほかの病気も防ぎましょう。
尿漏れから考えられるリスクとは?
妊娠中は骨盤底筋がゆるむため尿漏れしやすくなりますが、さらなる病気を引き起こす可能性があります。
妊婦さんが気をつけておきたいのが、尿が通る尿路に炎症が起こる「尿路感染症」です。放置すると治りにくく、再発のリスクが高くなります。
とくに、尿路感染症のうち、膀胱に感染が生じる「膀胱炎」は女性がかかりやすいとされています。
膀胱炎が悪化すると腎盂腎炎を発症し、流産や早産につながることもあるので、膀胱炎の段階で早めに治すことが大切です。
尿漏れだけでなく、頻尿や残尿感、排尿時の痛みが現れたら膀胱炎の可能性があるため、早めにかかりつけ医を受診しましょう。
注意したほうがよい尿漏れとは?
漏れたものが無色無臭だったり、水が出続けたりする場合は破水の可能性があります。
破水(羊水)の場合、無色透明や少し白濁した色、血液が混じったような薄いピンク色をしています。
また、においは無臭か生臭く感じることも。
お腹に力を入れても止められず、水がどんどん出てきてしまうのも破水の特徴です。
破水した場合は感染症などのリスクがあるため、速やかに病院に行きましょう。
尿漏れか破水か判断できないときも、受診している産科にすぐに相談してください。
妊娠中の尿漏れに関するよくある質問
妊娠中の尿漏れに関する質問にお答えします。
妊娠中の尿漏れは出産後に改善する?
妊娠中の尿漏れとは違う原因で尿漏れが続く人も
産後は尿漏れが落ち着くケースがほとんどです。しかし、出産によって骨盤底筋が緩んだり、尿道周りの筋肉や神経が圧迫されたりして、産後の尿漏れに悩む人もいるようです。産後はしっかり体を休め、会陰の痛みが治まる時期を目安に骨盤底筋トレーニングを取り入れましょう。
次の妊娠で尿漏れが悪化することはある?
経産婦は尿漏れに悩む人が多い
次の妊娠で尿漏れが悪化するという医学的な根拠はありません。しかし、妊娠によって骨盤底筋が引き伸ばされるため、一度妊娠を経験した人は尿漏れしやすくなる傾向があります。日頃から骨盤底筋トレーニングを取り入れ、尿漏れを防ぎましょう。
尿漏れを防ぐためにやるべきことは?
こまめにトイレへ。骨盤底筋トレーニングを意識して
こまめにトイレに行く習慣を身につけることが大切です。トイレにちょこちょこ行って膀胱に尿がたまらないようにすることで、尿漏れが起こりにくくなります。また、日頃から骨盤底筋を鍛えることを意識すると、尿漏れしにくくなるでしょう。
妊娠中の尿漏れが起こるのは自然なこと!ただし異常を感じたら医療機関を受診しよう
妊娠中の尿漏れは、妊娠中のホルモン変動や、大きくなった子宮が膀胱を圧迫することが原因です。
尿漏れを防ぐために、こまめにトイレへ行くことや水分補給を心がけましょう。そして、日々の生活のなかで骨盤底筋を意識することも大切です。
「尿漏れか破水かわからない」「尿漏れのほかに残尿感もある」など異常を感じたら、医療機関を受診しましょう。
- 妊娠中の尿漏れは自然な症状
- 大きくなった子宮が膀胱を圧迫したり、骨盤底筋を伸ばしたりすることが原因
- 尿漏れパッドを活用し、こまめにトイレへ行く習慣をつけよう
- 普段から骨盤底筋を鍛えよう
- 尿漏れと破水は間違えやすいので、気になることがあれば病院へ
【注意事項】
本記事は公開時点での情報となります。
本サイトでは正確な情報を提供できるよう最善を尽くしておりますが、妊娠期の母体の状態は個々人により異なるためすべての方に適用できるものではございません。
記事の一部では妊娠中の方から寄せられた体験談を紹介しておりますが、個人の実体験に基づいており医学的根拠があるものとは限りません。専門家の見解と異なる意見も含まれるためご注意ください。
掲載情報に基づく判断はユーザーの責任のもと行うこととし、必要に応じて適切な医療機関やかかりつけの病院などに相談・受診してください。
サイベックスベビーカー当たる!
人気のベビーカー「サイベックス リベル」が当たるよ♪
アプリで妊娠中の体調管理&情報収集!
自分の週数に合わせて情報が出てくる!
ママの妊娠週数に応じたおすすめ記事が表示されます。
ネットなどでわざわざ調べに行かなくても、出産予定日を設定するだけで、ママの妊娠週数に応じた情報が手に入りますよ!
おなかの赤ちゃんの成長がイラストでわかる
妊娠中のママがおなかの赤ちゃんの成長をよりイメージしやすくなる新機能です。
出産予定日までの日数をカウントダウンしながら、イメージイラストで週数に合わせて赤ちゃんが成長していくようすが見れます。
イラストをタップすると、赤ちゃんからのひとことが表示され、妊娠中のママを応援してくれます!
医師監修のメッセージで週ごとの赤ちゃんとママの様子がわかる
医師監修のもと、赤ちゃんやママに関する様子や変化に関する読み物を毎日更新!
「今日の赤ちゃんのようす」では、おなかの中で赤ちゃんがどう過ごしているのかなどについて分かります。
「今週のママのようす」では妊娠中のママの体調変化、過ごし方のアドバイスなどを毎週読むことができます。
パパにママの体調を理解してもらう助けにもなりますよ。