【医師監修】妊娠中に頻尿になるのは普通?トイレが近くなる理由や対処法を解説
頻尿は、妊娠中によく起こる症状です。ホルモンバランスの変化や、子宮が膀胱を圧迫することが影響しています。
今回は、妊娠中に起こる頻尿の原因と、改善するための対策について解説。頻尿から考えられる病気や破水との違いも紹介するので、妊娠中の頻尿で悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
頻尿は、妊娠中によく起こる症状です。ホルモンバランスの変化や、子宮が膀胱を圧迫することが影響しています。
今回は、妊娠中に起こる頻尿の原因と、改善するための対策について解説。頻尿から考えられる病気や破水との違いも紹介するので、妊娠中の頻尿で悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
妊娠中に頻尿になる理由
まずは、妊娠中に頻尿になる原因を妊娠期ごとに解説します。
妊娠初期(妊娠16週まで)
妊娠初期の頻尿は、「プロゲステロン」という女性ホルモンが増加することが原因です。
プロゲステロンは、尿の通り道(尿道)の筋肉をゆるめる作用があります。
妊娠初期(2〜4ヶ月ごろ)に特に多く分泌されるので、この時期に頻尿になりやすいのです。
妊娠中期〜後期
妊娠中期から考えられる頻尿の原因は、体を循環する血液量が増えることです。
妊娠中は、赤ちゃんを成長させるために、妊娠前の約1.5倍の血液がママの体を循環します。
循環する血液が増えると、腎臓が作る尿の量も増えるため、頻尿になりやすいのです。
また、子宮が膀胱を圧迫することも、頻尿になる原因です。
大きくなった子宮は、隣にある膀胱を圧迫します。その結果、膀胱の容量が小さくなり、尿意を頻繁に感じるようになるのです。
頻尿を改善するための対処法
妊娠中の頻尿は、毎日の生活習慣やトレーニングで改善できます。頻尿の対処法を確認しましょう。
水分をこまめに摂る
水分を摂取するタイミングを意識しましょう。
水分を摂らないと、体の水分量が減少して尿の成分が濃縮され、膀胱をさらに刺激してしまいます。
ただし、寝る前に大量の水分を摂取すると、夜中にトイレで何度も起きて寝不足につながることも。
寝る2時間前からは、水分をコップ1杯くらいにしておきましょう。
食事に気を配る
食事の内容に気を配りましょう。
ごまやはちみつ、豚肉など、アミノ酸が豊富に含まれる食品を積極的に摂取するとよいですよ。
一方、以下の食べ物には膀胱を刺激する働きや利尿作用があるので注意が必要です。
頻尿で気をつけたい食べ物
酸味の強い食品
刺激の強い食品
塩分の多い食品
カリウムを多く含む食品
骨盤底筋を鍛える
骨盤底筋を鍛えることも、頻尿対策に効果的です。
骨盤底筋とは、排便や排尿をコントロールする筋肉のことです。
骨盤底筋を鍛えるトレーニングでは、腟と肛門を締めたりゆるめたりする動作を繰り返します。
日常生活のちょっとした合間にやるだけで骨盤底筋を鍛えられるので、無理のない範囲で、自分の好きなタイミングで取り組んでみてくださいね。
骨盤底筋を鍛えるトレーニング方法
腟と肛門を締める(力を入れる)
そのままをキープ
腟と肛門をゆるめる(力を抜く)
締めたり・ゆるめたりを繰り返す
10回1セットでおこなう
頻尿の症状があるときにやってはいけないことは?
ここからは、頻尿の症状があるときに避けたほうがよい行動を紹介します。
トイレを我慢する
トイレに行く回数を減らそうとして、無理にトイレを我慢してはいけません。
トイレを我慢すると膀胱炎になってしまい、おなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼすことがあります。
赤ちゃんへの影響を抑えるためにも、普段からこまめにトイレに行く習慣をつけておきましょう。
水分を控える
水分を控えると、さまざまな合併症を引き起こすおそれがあるので注意が必要です。
水分を摂らなすぎると、ママが脱水を起こしたり、尿路感染症にかかりやすくなったりします。
尿路感染症が重篤化した場合、早産・流産につながるおそれがあり危険です。
また、水分不足によって血栓症を発症し、赤ちゃんに十分な栄養と酸素を届けられなくなることもあります。
頻尿が気になる場合でも、こまめに水分補給をするようにしましょう。
頻尿から考えられる病気とは?
妊娠中になりやすい頻尿ですが、なかには病気が隠れていることも。
ここからは、頻尿から考えられる病気を解説します。
尿路感染症
尿路感染症とは、尿が通る尿路に起こる炎症のことです。
とくに、尿路感染症のうち「膀胱炎」は、妊娠中のママが発症しやすいといわれています。
膀胱炎が悪化すると「腎盂腎炎(じんうじんえん)」を発症するおそれがあります。腎盂腎炎は高熱や腰痛の症状が現れることが多く、重篤化すると流産や早産につながることも。そのため、膀胱炎の段階で早めに治すことが大切です。
「頻尿で尿意があるのにおしっこが出ない」「排尿時に痛みを感じ、血液が混じっている」という人は膀胱炎の可能性があるので、早めに主治医に相談しましょう。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値が高くなる病気のことです。
自覚症状はほとんどありませんが、「喉が渇きやすい」「トイレが近い」「疲れやすい」といった症状が現れる人もいるようです。
妊娠糖尿病になると流産や早産を起こしたり、胎児が大きくなりすぎたりするなど、赤ちゃんへの影響が考えられます。
気になる症状が現れたら医師に相談し、早めに適切な治療を受けましょう。
注意すべき頻尿とは?
妊娠中の頻尿は、破水と見分けがつかないことがあるので注意が必要です。
尿と破水(羊水)は、色やにおいなどで判別できることがあります。
尿の色は無色透明や黄色なのに対し、破水(羊水)は、無色透明、少し白濁した色、血液が混じったような薄いピンク色です。
また、尿はアンモニア臭を発しますが、羊水は無臭か生臭く感じることもあります。
ただし、色やにおいだけではわからないことも少なくないので、自分で判断できないときはすぐ医師に相談しましょう。
妊娠中の頻尿に関するよくある質問
多くの妊婦さんを悩ませている妊娠中の頻尿に関する質問に答えます。
妊娠中の頻尿はいつから起こる?
妊娠中はいつでも起こる可能性がある
妊娠中はどのタイミングでも頻尿になりやすいでしょう。妊娠初期は、ホルモンの影響で頻尿になりやすい傾向があります。また、妊娠中期から後期にかけては、血液量の増加と大きくなった子宮が膀胱を圧迫することで頻尿になりやすいでしょう。
妊娠中の頻尿は産後に改善される?
産後から頻尿になる人も
妊娠中はなんともなくても、産後から頻尿になる人もいるようです。出産により骨盤底筋が大きくダメージを受けることで、頻尿が引き起こされることがあります。産後体調が戻ったら、無理のない範囲で骨盤底筋を鍛えるとよいでしょう。
夜中に水を飲まないほうがいい?
寝る2時間前になったら水分を控えよう
寝る前に大量の水分を摂取すると、夜中のトイレ回数を増やすことに繋がります。寝る2時間前からの水分は控え、コップ1杯くらいにしましょう。ただし、水分不足に陥ると尿路感染症や血栓症を引き起こすおそれがあるので、日中は水分補給を十分におこなってください。
妊娠中は頻尿になりやすい!気になることがあれば医療機関を受診しよう
妊娠中の頻尿は、ホルモンバランスの変化や血液量の増加、子宮による圧迫が原因です。
生活習慣を見直し、骨盤底筋を鍛えることを意識しましょう。
排尿時に痛みを感じる、喉が渇きやすい、などの気になる症状があれば、一人で悩まず医師に相談してください。
また、尿漏れと破水は間違えやすいので、見分けがつかない場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
- 妊娠初期はホルモンバランスが変化するため頻尿になりやすい
- 妊娠中期〜後期は血液量と尿量の増加が頻尿を引き起こす
- 水分を摂るタイミングや食事の内容に気をつけて
- 排尿時の痛みや血尿は「尿路感染症」の可能性があるので早めに医師に相談を
- 尿なのか破水なのか迷ったら、必ず産科を受診しよう
【注意事項】
本記事は公開時点での情報となります。
本サイトでは正確な情報を提供できるよう最善を尽くしておりますが、妊娠期の母体の状態は個々人により異なるためすべての方に適用できるものではございません。
記事の一部では妊娠中の方から寄せられた体験談を紹介しておりますが、個人の実体験に基づいており医学的根拠があるものとは限りません。専門家の見解と異なる意見も含まれるためご注意ください。
掲載情報に基づく判断はユーザーの責任のもと行うこととし、必要に応じて適切な医療機関やかかりつけの病院などに相談・受診してください。
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