【医師監修】妊娠中にイライラする原因は？胎児への影響や対処法も解説！

妊娠すると、自律神経が乱れやすくなります。自律神経とは、私たちの体のさまざまな機能を司っている神経で、交感神経と副交感神経があります。

交感神経は活発に活動するときに働く自律神経で、副交感神経はリラックスするときに働く自律神経です。

妊娠すると、流産や早産、赤ちゃんの発育、出産や育児に関する不安が大きなストレスとなり、交感神経が優位になります。その結果、気持ちがうまくコントロールできなくなって、イライラしやすくなるのです。

妊娠すると女性ホルモンの分泌が盛んになり、ホルモンのバランスが大きく変化します。なかでも妊娠継続に欠かせないホルモンが「プロゲステロン」です。

プロゲステロンには、栄養や水分を体に蓄えたり、体温を上昇させたりする働きがあります。

同時に、自律神経を調整する視床下部にも影響を及ぼすため、感情がコントロールしにくくなり些細なことでイライラしやすくなってしまいます。

ここからは、妊娠中にイライラしやすいときを解説します。妊婦さん本人だけでなく家族の方もイライラしやすいシーンを知っておきましょう。

妊娠初期は特に、つわりなどで体調が安定しません。

そのため、妊娠前はできていたことができなくなったり、食べられたものが食べられなくなったりすることが大きなストレスになることがあります。

「ほかの人はできているのにどうして自分だけできないの？」という気持ちからイライラしてしまうこともあります。

妊娠すると体型が大きく変化します。おなかが大きくなったり、胸や腰回りに脂肪がついたりして、それまで着ていた服が着られなくなることも珍しくありません。

「妊娠前に比べて太ったな」「おしゃれしたいのにできない…」など、体型の変化がストレスになることもあります。

妊娠してから周りとの人間関係が変化した、という人もいるでしょう。

家族や友人からプレッシャーを感じる言葉をかけられたり、それによって疎遠になったりすることもあるかもしれません。

周りの人との関係がうまくいかないのも、イライラしやすくなる原因です。

育児にはお金がかかります。

「産後も今の仕事を続けられるかな」「育児にかかるお金をちゃんとまかなえるかな」といった経済的な不安が、イライラの引き金になることもあるでしょう。

赤ちゃんの発育は個人差が大きいものです。

しかし、なかには平均より小さい・大きいことが不安の種になるママも。先天的な障害に対する不安も、大きなストレスになり得るでしょう。

妊娠中は、初期や後期、臨月にイライラしやすいといわれています。ここからは、妊娠時期ごとのイライラの原因を紹介します。

妊娠初期は、ホルモンバランスの変化によりイライラしやすくなります。

また、つわりで思うように食べたり動いたりできず、イライラしてしまうこともあるでしょう。

妊娠後期や臨月は、ホルモンの影響や自律神経の乱れによりイライラすることがあります。

出産への不安や、お腹が大きくなったことによる動きづらさがストレスとなり、イライラにつながることもあるようです。

ここからは、妊娠中のイライラ解消法を紹介します。自宅で時間を見つけて、こまめにストレスを発散しましょう。

イライラ・モヤモヤしたら、軽く体を動かしてみましょう。

無理なくできる範囲でストレッチやエクササイズをしてみると、気分がスッキリするかもしれませんよ。体調がよい日は近所の散歩に出かけるのもおすすめです。

その際、体に負担がかかるほどの激しい運動は控えてくださいね。

大きな声を出すと、気持ちがスッキリするかもしれません。

自宅で大声を出すのが難しい場合は、カラオケボックスなどに行って思いきり大きな声を出してみましょう。

その際、極端に大きな音を流したり、長時間立ちっぱなしになったりしないよう注意してください。

泣ける映画を見たり、感動的な本を読んだりして思いきり泣く「涙活」をするのもおすすめです。

気が済むまで泣くことで、気持ちが少しだけ軽くなるかもしれません。

悩みがあれば、ひとりで抱え込まずに周りの人に相談してみましょう。

ほかの人に相談してみると、自分では思いつかなかった見方や解決策が見えてくることがありますよ。

家族や友人に相談しにくいときは、公的機関が運営している相談窓口なども活用してみてくださいね。

妊娠中のイライラはよくあることとはいえ、イライラが止まらず物に当たってしまったり、家族との関係が悪くなってしまったりするのは困りものですよね。

そんなときは、早めに医師に相談しましょう。

特に「イライラしすぎて夜も眠れない」「食欲がわかない」など、体に不調が出るほどの場合は赤ちゃんに影響するおそれがあるので、すぐに医師に相談することが大切です。

「妊娠中だから我慢しなきゃ」と思わず、不調が悪化する前に専門家の手を借りましょう。

妊娠初期のイライラは、赤ちゃんの発育に影響することがあります。

イライラによって交感神経が優位になると体の血流が悪くなるため、赤ちゃんに十分な栄養や酸素が行き届かなくなるのです。

低体重や将来の健康リスクの上昇といった影響があることも研究で分かっているので、妊娠中はできるだけストレスの少ない、ゆったりとした生活を心がけたいですね。

妊娠中にイライラしやすくなるのは、あなただけではありません。

妊娠中は、それまでできていたことができなくなったり、不安に感じることが増えたりして、ストレスを抱えやすいもの。

イライラしたり、気持ちがモヤモヤしたりしたときは、一人で抱え込まず家族や親しい人に相談してみましょう。

体に不調が出ていたり、イライラによって家族との関係が悪くなったりしているときは、我慢せずに早めに医師に相談することも大切です。

自分なりの方法でイライラをコントロールしながら、妊娠期間の1日1日を大切に過ごしていけるとよいですね。

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