
【医師監修】おりものの役割とは?生理周期による変化や受診が必要な状態も解説
おりものは、女性にとって大切な役割を担っています。しかし、下着にくっついて気になったり、量やにおいに不安に感じたりと、悩みの種になっている人もいるでしょう。
「このおりものは正常?」「病院に行ったほうがいいのかな?」と疑問に思っている人もいるかもしれませんね。
そこでこの記事では、おりものの役割や正常な状態、生理周期・年齢による変化などについて解説します。おりものが気になるときの適切なケアのしかたや受診が必要なサインも紹介しますよ。
自分のおりものの状態について不安や疑問を抱えている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
おりものは、女性にとって大切な役割を担っています。しかし、下着にくっついて気になったり、量やにおいに不安に感じたりと、悩みの種になっている人もいるでしょう。
「このおりものは正常?」「病院に行ったほうがいいのかな?」と疑問に思っている人もいるかもしれませんね。
そこでこの記事では、おりものの役割や正常な状態、生理周期・年齢による変化などについて解説します。おりものが気になるときの適切なケアのしかたや受診が必要なサインも紹介しますよ。
自分のおりものの状態について不安や疑問を抱えている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
おりものって何?

おりものは、腟や子宮頸部、子宮内膜から分泌される粘液のことで、腟内を清潔に保ち、細菌の侵入を防ぐ働きがあります。
通常は透明から白っぽい色をしており、無臭か、ほのかに酸っぱいにおいがあるのが特徴です。ホルモンの影響によって分泌量や性状が変化するため、健康状態を知る手がかりにもなります。
おりものの役割とは?

おりものは、女性の健康を守るために重要な働きをしています。ここからは、おりものが担う具体的な役割について詳しく見ていきましょう。
腟をきれいな状態に保つ
おりものには、雑菌の繁殖を防ぐ役割があります。
おりものに含まれる「デーデルライン桿菌(かんきん)」という乳酸菌が腟内を酸性にして潤いを保つことで、細菌を腟の外へと押し流し、腟内の清潔を維持しているのです。
また、腟や子宮から剥がれた古い細胞や老廃物を外へ排出し、腟の健康を保つ働きもしています。
受精しやすくする
おりものには、精子の通り道を整えて受精を手助けする役割もあります。
通常、腟内は酸性に保たれているため、アルカリ性の精子は子宮に入り込みにくくなっています。
しかし排卵期が近づくと、おりものは透明で粘り気のある状態になり、精子がダメージを受けないように保護してくれるのです。
これにより、精子がスムーズに子宮に進入でき、受精につながりやすくなります。
【生理周期別】おりものはどう変化する?

おりものの状態は、ホルモンの影響により生理周期に応じて大きく変化します。
おりものの変化を知ることで、体のリズムを把握しやすくなり、妊娠しやすい時期や体調の変化にも気づくことができます。
ここからは、生理周期ごとのおりものの特徴について詳しく見ていきましょう。
卵胞期(生理後)のおりものの特徴
卵胞期とは、生理が終わったあとから次の排卵までの期間のこと。この時期には「卵胞刺激ホルモン(FSH)」の分泌が活発になり、卵巣で新しい卵胞が育ちます。
おりものの量は比較的少なく、粘り気もほとんどありません。色は透明か白っぽく、さらっとした状態が特徴です。
卵胞が育つと「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が分泌され、排卵期に向けておりものの量が徐々に増えていきます。
排卵期のおりものの特徴
排卵期は、前回の生理開始から約14日前後に訪れる期間で、妊娠しやすい時期にあたります。
この時期のおりものは、精子が子宮に届きやすいように量が増え、卵白のように透明で伸びやすい性質になります。指でつまむと糸を引くような粘度もあります。
これにより腟内の酸性環境から精子を守り、受精しやすい状態を作っているのです。
黄体期(生理前)のおりものの特徴
黄体期とは、排卵後から次の生理が始まるまでの期間です。
この時期は「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が優位になる影響で、排卵期に比べておりものの量が減り、粘度が増して白っぽく濁るのが特徴です。下着につくと黄色っぽく見えることもあるでしょう。
妊娠するとおりものはどう変化する?
量が増え、さらっとした状態に変化します。酸っぱいにおいがやや強くなることも
妊娠初期はプロゲステロンの分泌が増える影響で、おりものの量が増加します。さらっとした状態になるのが一般的ですが、人によっては白く濁ったり、白い塊が出たりすることもあります。また、酸っぱいにおいがやや強くなることもあるでしょう。ただし、おりものの変化だけで妊娠の有無を判断するのは難しいので、「生理がこない」「体調がいつもと違う」といった変化がないかもあわせてチェックしてくださいね。
【年齢別】おりものはどう変化する?

おりものの状態は、生理周期だけでなく年齢によっても変化します。ここからは、おりものの特徴を年齢別に詳しく見ていきましょう。
初潮〜10代
初潮を迎える頃から女性ホルモンが徐々に分泌されはじめ、おりものが見られるようになります。一般的には量が少なく、透明または白っぽいさらっとした状態が多いでしょう。
ただし、思春期の頃はホルモンバランスが安定していないため、おりものの量や状態が変わりやすいのが特徴です。
20〜30代
20〜30代は、女性ホルモンの分泌が最も活発になり、おりものの量も多くなります。
特に排卵期には量が増え、粘度が高くなるのが特徴です。
ホルモンバランスが安定しやすい時期なので、おりものの変化のリズムも把握しやすいでしょう。
40代〜閉経
40代に入ると、女性ホルモンの分泌量が減少していき、おりものの量も次第に減っていきます。
また、ホルモンバランスの乱れにより、おりものの状態が不安定になることもあります。たとえば、排卵が不規則になり、おりものの粘度が高くなる人もいれば、さらさらとした水っぽいおりものが増える人もいます。
閉経後
閉経後は、女性ホルモンの分泌が大幅に減少し、おりものの量が一気に減ります。
腟内の自浄作用が弱くなり乾燥もしやすくなるため、腟炎を起こしてしまうことも。炎症が起こると、黄褐色のおりものが見られることもあります。
おりものやデリケートゾーンの正しいケア方法は?

おりものは腟の健康を保つために欠かせない分泌物ですが、量やにおいが気になることもあります。
おりものが気になるときは、以下の方法でデリケートゾーンを適切にケアすることが大切です。詳しく見ていきましょう。
量が多いときはおりものシートを使う
おりものの量が多い場合は、おりものシートを活用してみましょう。
おりものシートは下着の汚れを防ぐだけでなく、ムレや不快感を軽減することにも役立ちます。
ただし、長時間つけたままにすると湿気がこもり、雑菌が繁殖しやすくなるため注意が必要です。使用する際は、1日に2〜3回は取り替え、清潔な状態を保ちましょう。
また、香料や人工的な成分が含まれていない肌に優しいものを選ぶと、かぶれやかゆみが起こりにくくなります。
デリケートゾーンはぬるま湯でやさしく洗う
デリケートゾーンは皮膚が薄く、刺激に弱いため、やさしく洗うことが大切です。手のひらでなでるように優しく洗い、ゴシゴシこすらないようにしましょう。
一般的な石けんやボディソープは洗浄力が強く、腟内の自浄作用を弱める原因になるので、ぬるま湯でやさしく洗うだけで十分です。
においなどが気になる場合は、弱酸性で刺激の少ないデリケートゾーン専用ソープを選びましょう。
腟のなかまで洗わない
健康な腟には乳酸菌が常在しており、雑菌が繁殖しづらい環境になっています。
そのため、腟の中を洗いすぎると、必要な乳酸菌まで洗い流してしまい、かえって腟内環境を悪化させる原因になります。
腟のなかまで洗うことはせず、外陰部のみをぬるま湯でやさしく洗うようにしましょう。
前から後ろに向かって洗う
デリケートゾーンを洗うときの向きも重要なポイントです。
腟や外陰部は尿道や肛門に近いため、後ろから前に洗ってしまうと雑菌が腟内や尿道内に入り込み、腟炎や膀胱炎の原因となることがあります。
必ず前(恥骨側)から後ろ(肛門側)に向かって洗うようにし、感染症のリスクを抑えましょう。トイレの際も、前から後ろへ拭く習慣をつけることが大切です。
注意が必要なおりものとは?

おりものは体の状態を知る手がかりの一つであり、異常が見られる場合は感染症や婦人科系の疾患が隠れている可能性があります。
以下のような変化が見られた場合は、早めに医師の診察を受けましょう。
病院を受診したほうがよいおりものの状態
黄緑色や灰色のおりものが出る
細菌性腟炎やトリコモナス腟炎などの疾患が考えられます。特にトリコモナス腟炎の場合は泡状のおりものが出ることもあります。
悪臭が強い、魚の腐ったようなにおいがする
細菌性腟炎やトリコモナス腟炎などの疑いがあるでしょう。細菌性腟炎ではかゆみや痛みを感じることはまれですが、トリコモナス腟炎では陰部に痛みを覚えることがあります。
白くポロポロしたカッテージチーズ状のおりものが出る
カンジダ腟炎の可能性もあります。真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌が増殖し、かゆみやヒリヒリとした痛みをともなうことが多いです。疲れやストレス、寝不足などが原因で発症することがあります。
茶色やピンクがかったおりものが続く
子宮頸がんや子宮体がんなどによる不正出血の可能性もあります。
排卵出血や生理前後の出血であることもありますが、長期間続く場合は注意が必要です。
黄色っぽく膿のようなおりものが増える
クラミジア感染症や淋菌感染症(淋病)などの性感染症の疑いがあるでしょう。
特にクラミジア感染症は自覚症状が少なく、進行すると不妊の原因になることもあるため、早めに医師の診断を受けることが大切です。
水っぽく大量に出る、または止まらない
子宮頸がんや子宮筋腫などのサインかもしれません。がんの初期症状として、おりものが異常に増えることがあります。
おりものは女性の健康のバロメーター!異常を感じたら早めに受診を

おりものは女性の健康を守る大切な役割を担っており、生理周期や年齢によって変化します。普段のおりものの状態や変化のリズムを知っておくと、自分の体の状態を読み取ることができるでしょう。
おりものの量や状態に異常を感じた場合は、医師に相談して適切なケアを行うことが大切です。なかには病気のサインである場合もあるので、少しでも「いつもと違う」と感じたら早めに受診してくださいね。
- おりものとは、腟や子宮頸部、子宮内膜から分泌される粘液のこと
- おりものには腟内を清潔に保ったり、受精を助けたりする働きがある
- おりものは生理周期や年齢によって変化する
- おりものシートやデリケートゾーン専用ソープを使って適切にケアしよう
- おりものに異常が見られる場合は早めに病院へ