
【今年出産家庭向け】出産で変わる?産休・育休中の年末調整で「実は見落としがちな控除」をチェック!
毎日バタバタで、自分のご飯もゆっくり食べられない中、なんだか説明だらけの年末調整の書類を見ると、正直ため息が出ますよね。しかし、出産という大きなライフイベントがあった後は、年末調整でチェックすべきポイントも変わってきます。この記事では、出産後に見落としがちな年末調整のポイントをざっくり解説します。
毎日バタバタで、自分のご飯もゆっくり食べられない中、なんだか説明だらけの年末調整の書類を見ると、正直ため息が出ますよね。しかし、出産という大きなライフイベントがあった後は、年末調整でチェックすべきポイントも変わってきます。この記事では、出産後に見落としがちな年末調整のポイントをざっくり解説します。
こんにちは。トモニテ子育て研究部の成田恵梨歌です!私は税理士資格を保有していて、現在3児の育児と仕事に日々奮闘中です!
家族が増えると、特に「扶養」の関係が変わりやすいです。
確認すべきポイント① 配偶者(特別)控除
まずチェックしたいのが、「配偶者控除」または「配偶者特別控除」です。今年出産があった場合には、今年1年間のママの給与所得(育休に入る前の給与やボーナスなど)が、去年に比べて大きく減っているはずです。この給与所得が一定額以下になると、パパが受けられる控除額が増え、結果としてパパの所得税や住民税が少なくなる可能性があります。
出産手当金・育児休業給付金をもらっている場合、配偶者(特別)控除はどうなる?
育休中にもらえる育児休業給付金は、税金がかからない非課税のお金なので、育児休業給付金を除いたママの給与収入をもとに考えます
「育児休業給付金(育休手当)」は、所得税がかからない非課税所得です。これが何を意味するかというと、配偶者(特別)控除を受けられるか受けられないかの判定金額には含まれないということです。育児休業給付金をもらっているから配偶者控除は受けられないと思っていたママも、会社からの給与だけで控除を受けられるのかどうか改めて確認してみてくださいね。
結局年間の給与がいくらまでなら配偶者(特別)控除を受けられる?
今年の収入が給与のみの場合、配偶者(特別)控除が満額(38万円)受けられるのは年間給与160万円まで、控除が受けられるのは年間給与201万6,000円未満です
配偶者(特別)控除が受けられるかどうかは、「合計所得金額」というものを基準に判定します。ママの今年の収入が給与収入(会社からの給与。賞与を含む)のみの場合、「収入金額」-「給与所得控除額」=「合計所得金額」になります。合計所得金額が133万円以下であれば配偶者(特別)控除が受けられるのですが、給与収入のみの場合で合計所得金額が133万円以下になるのが、給与収入が201万6,000円未満になります。※給与所得控除額は、給与収入の金額に応じて変動します。計算方法は年末調整の用紙に書いてあります。
確認すべきポイント② 扶養親族の申告
今年生まれたばかりのお子さんは「16歳未満の扶養親族」にあたります。残念ながら、現在の制度では、16歳未満の扶養親族を申告しても税金(所得税・住民税)が安くなる直接的な控除額はありません。
しかし、年末調整の書類の中の扶養控除等申告書には16歳未満の扶養親族について書く欄がありますので、記載しておきましょう。
なぜ申告が必要?
記載がないと、住民税の算定や、児童手当などの行政サービスにも影響が出ることがあります。税額に直接反映されなくても、会社への申告忘れず行っておくと安心です。
16歳未満の扶養でも適用される「障害者控除」
16歳未満の扶養親族は、扶養控除はありませんが、もしお子さまが所得税法上の障害者に該当する場合は、年齢に関係なく障害者控除の適用を受けることができます。
所得税法上の障害者には、たとえば「精神障害者保健福祉手帳」「身体障害者手帳」「療育手帳(「愛護手帳」、「愛の手帳」や「みどりの手帳」などの名前の場合もあります)の交付を受けている人が該当します。細かいその他の要件は国税庁のホームページ等を参照してみてくださいね。
新しい家族のための備え!生命保険料控除の書類は忘れずに
お子さまが生まれて、将来のために学資保険や、子ども向けの医療保険などに新しく入ったママ・パパも多いのではないでしょうか?
これらの保険料は、生命保険料控除として年末調整で控除を受けることができます。
見出し3/保険会社から届く「生命保険料控除証明書」を探しましょう。生命保険料控除証明書には、保険の区分(一般/介護/個人年金)、今年支払った(もしくは支払う見込み)の年間保険料が書いてあります。この証明書の金額をもとに年末調整の書類に記載し、証明書を添えて提出します。
保険の契約者名義がママでもパパの年末調整で控除を受けられる?
契約者・名義は関係なく、保険料を負担した人が控除を受けられます。
生命保険料控除は、保険料を支払った人が受けられます。パパが保険料を負担していれば、契約者や被保険者がママや子どものものでも、パパの年末調整で控除を受けることができます。今までママが自分で負担していた保険料も、出産を機にママの収入が減るのでパパの口座から支払うようにした、など、パパが支払っていれば控除を受けることができます。
年末調整ではできないけど準備しておきたいこと
出産費用や通院費…医療費控除のポイントは?
妊娠中の定期検診や出産費用、妊娠・出産に伴う体調不良での通院など、今年は医療費がかさんだ家庭も多いはず。医療費控除もぜひ活用したい制度ですが、この控除は年末調整ではできません。1年間の医療費の合計が一定額(基本10万円)を超えている場合は、翌年確定申告を行うことで、税金が戻ってくる可能性があります。
レシートや領収書は必ず保管して、来年の手続きに備えましょう。出産についての費用だけでなく、風邪やその他の病気・けがなどで病院にかかった費用や薬代なども対象になるので、今年の家族全員分の医療費をまとめておきましょう。
住宅ローン控除の申請準備もしておこう
赤ちゃんを迎えるにあたって、お家を買ったという方もいるのではないでしょうか。住宅ローンを組んでお家を買った場合は、住宅ローン控除が使える場合があります。お家を買って住み始めた初年度は、確定申告で必要書類をそろえて申請しなければ適用を受けられないので、今から準備しておくと安心ですね。
2年目以降は、年末調整でも控除を受けられるようになります。
【まとめ】もれなく控除を活用しよう
産休・育休中の年末調整で特に大事なポイントは、以下の3点です。
1.家族構成の変化による配偶者(特別)控除・扶養親族の申告。
2.新しく入った保険の生命保険料控除の申告。
3.翌年の確定申告の準備
育児で大変な時期ですが、この記事が皆さんの年末調整のモヤモヤを少しでも解消するためのお役にたっていれば嬉しいです。
※本記事は、令和7年12月1日施行の所得税法を基に執筆しています。また、記事内の情報は一般的な解説であり、個別の事案に対する具体的なアドバイスではありません。個別の状況については税理士もしくは税務署への個別相談をお勧めしています。














