【専門家監修】男性も育児休業給付金をもらえる?短期間の取得でも受給可能?
育児休業給付金とは
育児休業給付金は、雇用保険の被保険者(雇用保険に加入している労働者)が、育児のために勤め先の会社などを育児休業したときに、国からもらえるお金です。
育児休業給付金における「育児休業」とは、育児・介護休業法で定められた制度で、勤め先の会社の就業規則などに定めがなくても取得することができます。
育児休業も、育児休業給付金も、男女が平等に取得することができます。日本では、取得した人の8割以上が女性となっています。
取得条件
育児休業給付金を取得できるのは次の条件にあてはまる人です。
- 1歳未満の赤ちゃんを育てている
- 雇用保険の被保険者である
- 育児休業に入る前の2年間のうち、その会社で11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
- 有期雇用の労働者(アルバイトや契約社員)の場合は、上記の条件に加えて、同じ会社に1年以上勤めていて、子どもが1歳6ヶ月になった日以降も、その会社に雇われる見込みである
男性が育児休業給付金を受け取る条件
男性は、妻が専業主婦でも、育児休業を取得すれば申請することで育児休業給付金をもらうことができます。期間は、原則、赤ちゃんが1歳になる前々日までです。
女性は産後8週間(赤ちゃんが産まれた日から8週間)は「産後休業」となり、産後休業が終わってから育児休業を取得することになりますが、男性は赤ちゃんが産まれた日から育児休業を取ることができます。
育児休業の取得は原則一人の子どもにつき一度しか認められていませんが、男性は妻の産後休業の8週間以内の期間に育児休業を取得すると、そのあともう一度育児休業を取ることができます。つまり男性は、期間内であれば1人の子どもにつき最大2回、育児休業を分けて取得することができるのです。(「パパ休暇」)
夫婦同時にもらうには
育児休業給付金は、夫婦同時にもらうことができます。
妻が産後休業後にそのまま育児休業に入り、夫も育児休業を取れば、夫婦それぞれ育児休業給付金が支給されます。
どのくらいもらえるの?
育児休業給付金の額は、育児休業開始時から180日間は賃金(月額)の67%で、181日目から子どもが1歳になるまでは、賃金の50%となります。
厚生労働省は大体の支給額を次のように示しています。
・平均の賃金が月15万円の場合
育児休業開始時から180日間(支給率67%):月10万円程度
181日目~子どもが1歳になるまで(支給率50%):月7.5万円程度
・平均の賃金が月20万円の場合
育児休業開始時から180日間(支給率67%):月13.4万円程度
181日目~子どもが1歳になるまで(支給率50%):月10万円程度
・平均の賃金が月30万円の場合
育児休業開始時から180日間(支給率67%):月20.1万円程度
181日目~子どもが1歳になるまで(支給率50%):月15万円程度
休業開始時の賃金(日額)は、育児休業開始前6ヶ月の総支給額を180で割った額(休業開始時賃金日額)になります。
また、育児休業給付金には上限・下限額があり、上限の賃金は454,200円、下限の賃金は75,000円です。(※)
※令和元年8月1日現在。額は毎年8月1日に変わる可能性があります。
以上が原則の額で、条件によって額が増えたり減ったりします。
次に、例外の給付額を紹介します。
例外① 育児休業給付金が減額される場合
育児休業期間中の1支給単位期間に10日超かつ80時間超働くと、それが一時的な労働であっても育児休業給付金は支給されません。1支給単位期間とは、育児休業を始めた日から数えた1ヶ月間のことです。
一時的な労働が10日以下、または10日を超えていても就業時間80時間以下の場合は、育児休業給付金は支給されます。
また1支給単位期間において、「休業開始時賃金日額×30日×80%以上の賃金」が会社から支払われた場合は、育児休業給付金は支給されません。
80%未満の場合でも、育児休業給付金は収入額によって減額されることがあります。
例外② 1歳になるより早く支給が終わる場合
育児休業給付金は原則、子どもの1歳の誕生日の前々日まで支給されます。
ただし、その前に職場復帰した場合、復帰日の前日までの支給となります。
例外③ 1歳6ヶ月または2歳まで支給される場合
次の条件のいずれかに当てはまる場合、子どもが1歳6ヶ月になるまで育児休業給付金が支給されます。
・申し込みをしているのに子どもを保育所に入れることができないとき
・子どもを養育しているほうの親が死亡、負傷、発病したとき
・離婚などの事情により、養育予定であった配偶者と同居しないこととなったとき
・6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定であるか、産後8週間を経過しないとき(産前休業を請求できる期間又は産前休業期間及び産後休業期間)
また、上記の状態が続く場合は、2歳までの支給の延長申請が可能です。
例外④ 「パパ・ママ育休プラス」を使う場合
育児休業には、夫婦ともに育児休業を取る「パパ・ママ育休プラス」という特例があります。この特例に該当すると、夫は育児休業給付金を子どもが1歳2ヶ月になるまで受け取ることができます。
ただし、夫の給付期間は最長1年間となるので、夫が早く育児休業を取得すると、子どもが1歳2ヶ月になる前に支給期間が終了します。
また妻の給付期間は、パパ・ママ育休プラスに該当しても、子どもが1歳になるまでです。
妻の産後休業期間中(産後8週間)は、妻には育児休業給付金は支給されません。
育児休業は労働者の権利
労働者の育児休業の取得は、育児・介護休業法が保障する権利です。
企業は、従業員の育児休業の取得を認めなかったり、育児休業の取得を理由に不利益な取り扱いをすることは許されません。
育児休業給付金の申請方法
育児休業給付金の申請は原則、被保険者(給付金の対象の労働者)の勤め先の担当者が行ないます。自分が育児休業給付金の対象になる予定があれば、会社の総務部などに相談しましょう。
ただし、自分で申請したい場合は、自身でハローワークで手続きすることができます。
その場合は、支給対象期間中に支払われた賃金の額及び賃金の支払い状況、休業日数及び就労日数を確認できる書類を用意する必要があります。
育児休業給付金の所得税は非課税、社会保険料も免除
育児休業給付金には所得税がかかりません。
また、育児休業中は社会保険料も免除されます。
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男性にも育児休業給付金が支給されるのは、「男性も育児休業を取って育児をしよう」という国からのメッセージと考えることができます。
まだまだ男性の育児休業取得が少ない状況の中、勤務先に取得の希望を伝えることにハードルを感じることがあるかもしれません。しかし、パパとなる男性はぜひ上司や同僚に相談しながら、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
※記事内で紹介する内容や金額は掲載時点のものです。
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