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【医師監修】子宮口を開くバルーンとは?どんなときに使うの?

【医師監修】子宮口を開くバルーンとは?どんなときに使うの?

出産についてインターネットで情報を調べていると「子宮口に風船を入れた」という話が出てくることがあります。これはバルーン処置を指しますが、具体的にどのようなものか、どんな場合に使うのか、想像しにくいのではないでしょうか。今回は、バルーン処置についてご説明します。
出産についてインターネットで情報を調べていると「子宮口に風船を入れた」という話が出てくることがあります。これはバルーン処置を指しますが、具体的にどのようなものか、どんな場合に使うのか、想像しにくいのではないでしょうか。今回は、バルーン処置についてご説明します。

子宮口を開くバルーンとは

バルーンは、正式名称は「メトロイリンテル」といい、子宮口にゴムの袋を入れて蒸留水や生理食塩水を注入し、袋を風船のように膨らませて子宮頸管を押し広げる医療器具です。分娩誘発や陣痛促進の目的で行われます。

子宮口にバルーンを入れると、この器械的な刺激により子宮頸管の熟化が始まり、子宮口が開きやすくなります。ときには陣痛がいざなわれることもあります。

子宮口がある程度開いていること、臍帯下垂がないこと、分娩監視装置による連続モニタリングが使用の条件になります。

バルーンの種類と注意点

いくつか種類がありますが、バルーンの容量により使い分けられ、40ml以下か、41ml以上かどうかで注意点が異なります。

容量が40ml以下のバルーンはミニメトロと呼ばれ、吸湿性頸管拡張剤(ラミナリア桿(かん)、ラミセル、ダイラパンなど)と同様、子宮口が閉じている場合に用いられます。大きな容量のバルーン使用の場合に比べて臍帯脱出の報告は少なく、吸湿性頸管拡張材に比べて子宮頸管内への挿入は短時間でスムーズに終わることが多いです。

大きなバルーン(フジメトロ、ネオメトロなど)は40ml以下のバルーンよりも子宮口を開くことに対しては貢献しますが、分娩の進行過程で破水が起きることもあり、臍帯脱出となると緊急帝王切開になることが報告されています(※)。使用時は慎重な観察と対応が求められます。

どんなときに使うの?

分娩誘導の際に使用します。

分娩誘発で薬剤を使うときは、子宮口がある程度開いていないと薬剤の効果は期待できないため、薬剤使用前の処置として使われます。

前期破水後に陣痛が発来しないときや、出産予定日を過ぎても分娩が始まる気配がないときなどです。

大きなバルーンは子宮口が2〜3cm開いていても陣痛が弱いときなどに使用します。

バルーン処置の流れ

胎児分娩監視装置でのモニタリングのあと、内診台上で腟内を消毒し、しぼんだ状態のバルーン先端部分を子宮口へ挿入します。

次に、滅菌された蒸留水または特に生理食塩水をバルーン内に注入しバルーンを膨らませます。 

そして、胎児分娩監視でモニタリングを続けます。

バルーン処置の副作用として、臍帯下垂・脱出、頸管裂傷、子宮破裂などがあります。

これらを引き起こすことがないように、処置の前後に胎児分娩監視装置や超音波(エコー)、抗生物質の投与を行い、赤ちゃんとママの安全に留意します。

大きなバルーンを入れたあとは、おおむね子宮口が5〜6cmほど開いたあたりで自然に抜けることが多いです。その際、臍帯の下垂には注意します。

産婦人科医 大柴葉子先生のひとこと 「バルーン処置は痛い?」

陣痛が来ていない状態で入院すると、初めての内診台での処置やバルーンによる刺激を受けると「痛い!」とびっくりする人が多いです。

しかし、前期破水したあと陣痛が来なかったり、予定日超過の場合は子宮頸管熟化が不十分なことが多いので、ミニメトロによる頸管拡張は薬によらない有効な熟化方法の一つだといえます。

挿入してからこれがきっかけとなり、陣痛が発来することもあります。これはラッキーなことです。陣痛がこないと子どもは産めませんからね。

出産後にミニメトロ挿入の痛みと、そのあとに来た自然陣痛、どちらが痛かったかを聞くと、まちがいなく後者の陣痛に軍配があがるのはいうまでもありません。

助産師 難波直子さんのひとこと 「バルーン処置の感覚と乗り切るコツ」

子宮口にバルーンを入れたときやそのあと痛みがあるのかと心配になるかもしれませんね。

ここからは私が臨床の場で経験したママの様子からお話します。

ただ、痛みとは本来主観的なものなので、感じ方には個人差が大きいことを念頭に置いておき

ましょう。

まず、初めは子宮口に入れた風船が膨らむにしたがって、腟の奥から陰部にかけて圧迫感を感じる人が多いようです。

中には内診時の痛みがつらくて、そのまま痛みが続いている気がしたという人も。

次に、バルーンを挿入したあとの痛みですが、多くの人は陰部に違和感があり、歩行の際に少し気になったという声もありましたが、挿入時ほどの違和感や痛みではないようです。陣痛が発来していなければ、バルーンを入れてもそのまま眠ることもできます。

しかし、子宮口バルーンを入れたことによって陣痛が発来することもあります。その際はバルーンが痛いというよりは陣痛がつらいということはあるでしょう。

そして子宮口バルーンが抜けたときは、「今抜けた!」と抜けた瞬間を感じる人は多くはあり

ません。

どちらかというと陣痛がきて、内診をしてみたときや、腟に違和感を感じて内診をしたところバ

ルーンが抜けていたというケースが多い印象です。

内診やバルーン処置を少しでも楽に乗り越えるコツは、「緊張しないこと」です。

内診時に医師や助産師に「力を抜いて」とか「ゆっくり息をしましょう」と声をかけられた人は多いと思います。

内診を受けるときに緊張してしまうと、内診にともなう痛みを強く感じる傾向にあります。

子宮口バルーンも処置と聞いて緊張すると痛みを強く感じることがあるので、内診時から深呼吸をして口から息を吐き、体の力を抜きましょう。

バルーン処置で追加される費用はどのくらい?

バルーン自体は数千円から1万円前後ですが、そもそも分娩誘発は保険診療の適応ではありません。

器具代のほかに処置費用なども加算されますが、その金額は各施設によって設定に違いがあります。

また、誘発分娩ではバルーン以外にどんな処置をしたか、使用した薬剤の種類や使用回数によっても変わってきます。入院した時間によっても金額は変化します。

このような処置を受ける場合にどのくらい金額が変わるか気になる人は、各出産施設に直接問い合わせてみるとよいでしょう。

出産後に気になる場合は、退院の前に出産費用の概算を教えてくれる施設もあるので、そのときに聞くこともできます。

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バルーンは子宮口を開く手助けをして、陣痛を促進するためのツールの一つです。

しかし「バルーン」と聞くと、どんな処置なのかとっさにはイメージがつきにくいかもしれません。わからない処置への不安が恐怖心になると、体は緊張してしまいます。

陣痛が来て子宮口が全開大となるまでは、分娩所要時間の中で最も時間を要するので、できるだけ緊張せずに過ごしてほしい時間です。

各処置を行うときには、医師からの説明が必ずあり、ママが同意した上で処置を始めますが、不安に思うこと、わからないことは自分から医師や助産師に聞き、少しでも不安要素を取り除いておくようにしましょう。

日本医療機能評価機構、「臍帯脱出について」、第3回産科医療補償制度再発防止に関する報告書、2013;48-76

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