【専門家監修】妊娠中に摂りたい!鉄分の必要量はどのくらい?
妊娠期に必要な栄養素について
妊娠中は、ママの体だけでなくおなかの赤ちゃんの発育のためにもエネルギーが多く必要になります。食事の基本は、妊娠前と変わらず主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物をバランスよく摂ることに変わりありませんが、ほかにも特に積極的に摂りたい栄養素があります。
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鉄が必要な理由
妊娠中はおなかの赤ちゃんの成長をサポートするために血液が必要となり、妊娠前に比べて血液の量が増えます。主に血しょう(水分)が4割近く増えるのに対して、赤血球は2割程度しか増えないために、血液は相対的に薄まった状態になります。そのためママが鉄欠乏状態に陥り、貧血と診断されるケースもあります。
貧血とは、血液中の赤血球や血色素(ヘモグロビン)が正常値より少なくなった状態のことです。その原因の多くは、鉄欠乏性貧血です。
赤血球の寿命はおよそ120日で、毎日少しずつ古くなった赤血球が壊されて新しい赤血球ができています。このサイクルの中で鉄は1日約1mg損失しているといわれています。
鉄分は摂りすぎたり、不足したりするとどうなる?
鉄分はもともと体内で吸収されにくいので、普段の食事で摂りすぎるということはほとんどありません。妊娠中に必要な栄養を手軽に摂れる、妊婦向けのサプリメントで補うという方も少なくないでしょう。
しかし、サプリメントを過剰に摂取し続けると、肝機能障害を起こしたり、先天性異常児出生が多くなるという報告もあります。
反対にもし妊娠中に重度の貧血状態になると、おなかの赤ちゃんの発育不良に繋がり、低体重や早産になりやすくなることもあります。このようなリスクを防ぐためにも、妊娠したら意識して鉄を摂ることが必要となります。鉄が足りていると、元気が出て疲れにくくなり、産後の回復も早くなります。
全体の栄養バランスを考え、食事やサプリメントで上手に摂取しましょう。
鉄分の必要量はどのくらい?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば、妊娠中の鉄の必要量合計値を、初期は9mg/日、中期、後期は16mg/日としています。
上手に鉄分を摂る方法は?
貧血を防ぐためには、毎日失われている鉄分を食事からしっかり摂りましょう。
鉄には、動物の血液中のヘモグロビンに含まれる「ヘム鉄」と植物由来の「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄はレバーや、牛肉、豚肉、鶏レバー、かつお、マグロ、あさり、しじみなどの動物性食品に多く含まれ、非へム鉄に比べて体への吸収率が高いのが特徴です。
レバーにはビタミンAが多く含まれるため、妊娠初期にレチノールを摂り過ぎると、赤ちゃんに形態異常が起こる可能性が指摘されています。取りすぎに注意しましょう。
また、マグロにはメチル水銀が含まれているため、食べる量に注意が必要です。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
ヘム鉄を多く含む食品
- さんま(皮つき、焼き) 鉄1.7mg/可食部100gあたり
- かき(フライ) 鉄1.8mg/可食部100gあたり
- あさり(つくだ煮) 鉄18.8mg/可食部100gあたり
- 鶏卵(全卵ゆで) 鉄1.8mg/ 可食部100gあたり
非ヘム鉄は豆類や野菜などに含まれ、ヘム鉄に比べて吸収率は低いものの、ビタミンCやたんぱく質を含む食品と一緒に摂取すれば吸収率が上がります。
非ヘム鉄を多く含む食品
- 納豆 鉄3.3mg/可食部100gあたり
- えだまめ/ゆで 鉄2.5mg/可食部100gあたり
- 小松菜/ゆで 鉄2.1mg/可食部100gあたり
たんぱく質を多く含む食品
- 牛肉(うし・もも/皮下脂肪なし/焼き) 鉄3.3㎎/可食部100gあたり
- レバーペースト(ぶた) 鉄7.7mg/可食部100gあたり
- かつお(加工品角煮) 鉄6.0mg/可食部100gあたり
- あさり(缶詰/水煮) 鉄29.7mg/可食部100gあたり
ビタミンCが多い食品
- 緑黄色野菜(赤ピーマン、黄ピーマン、パセリ、ブロッコリーなど)
- 果物など(イチゴ、みかん、バナナなど)
ビタミンC以外にも、赤血球が作られるときには、葉酸やビタミンB12なども必要となるので、これらを多く含む食品も意識して摂るとよいでしょう。
葉酸が多い食品
- ブロッコリー
- えだまめ
- モロヘイヤ
- ほうれん草
- 納豆
など
このように、貧血を予防するためには、動物性食品と植物性食品をバランスよく組み合わせて食べることが大切だとわかります。
食べものや飲みもの以外にも、サプリメントから鉄分を摂取する方法もあります。「つわりが酷くて食事もできない……」というときでも、サプリメントなら手軽に摂取できます。
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鉄分を効率よく摂るためには、「主食」「主菜」「副菜」、乳製品や果物をそろえたバランスのよい食事を摂ることが大切です。また食事の摂取量が偏らないためにも1日3食を基本に、規則正しい生活を送ることを心掛けてみましょう。
参考:
・「妊娠中から授乳中のママのための食事と栄養お悩み解決ブック」(かんき出版)、2015年1月21日発行
・「はじめてのママ&パパの妊娠・出産」(株式会社 主婦の友社)、2017年8月10日発行
・「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」(文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会編)
・「『日本人の食事摂取基準』策定検討会『日本人の食事摂取基準(2020 年版)』(厚生労働省)、2020年9月閲覧
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