【管理栄養士監修】保育園の離乳食はどんなもの?チェック表はなぜあるの?
保育園の離乳食の進め方・与え方のポイント
保育園では、子どもの発達や食事状況などを考慮した上で、離乳食の内容(食品の種類や形態)や量をそれぞれの子どもに合わせて無理なく進めていることが多いです。
そのため、保育園で離乳食を始めるにあたっては、先生とよくコミュニケーションをとることが大切です。
家庭ではどのような食事環境で食べているか、食事量はどのくらいかなどを伝え、不安なことや保育園で注意してもらいたいことがあれば相談しておきましょう。
園でも、担任や調理担当の職員間で情報共有して保育園での離乳食を進めます。
下記に保育園の離乳食の進め方や与え方のポイントの一例を時期ごとに紹介します(園によって詳細は異なります)。
離乳初期(生後5〜6ヶ月頃)
・離乳食の形態
なめらかにすりつぶした状態
・食べ方の特徴
唇を閉じてごっくんと飲み込める
・この時期の子どもの様子と先生の与えるときのポイント
この時期は、スプーンから食べ物を唇で取り込むことができるようになります。
先生は、子どもを抱いたり、チャイルドチェアの背もたれを調節したりして、子どもの舌が床に平行になる背中を少し後ろに傾けた姿勢を保って離乳食を与えます。
この姿勢にすることで、離乳食がのどの方へ移動することを助け、ゴックンと飲み込みやすくなります。
また、「あーん」「おいしいね」などと声をかけることで、子どもの口の動きを促すようにしています。
食事量には個人差があり、途中で眠くなる子どももいるので、無理に量を与えないように留意しています。
離乳中期(生後7〜8ヶ月頃)
・離乳食の形態
舌でつぶせる固さ
・食べ方の特徴
舌と上あごで食べ物をすりつぶして食べられるようになる
・この時期の子どもの様子と先生の与えるときのポイント
この時期は舌の使い方が上手になり、唇を閉じて食べ物を口の中に送ろうとするようになります。
舌ですりつぶしにくい肉や魚などの食材は、上手くつぶしたり飲み込むことができないこともあります。
先生は、口の中に食べ物が残っていないか一人一人確認しながら離乳食を与えます。
また、食事中にあごや舌に力が入るよう、それぞれの子どもに合わせて背もたれにクッションを当てたり、床に足がつくようマットや踏み台を設置したりして食事中の椅子を工夫しています。
離乳後期(生後9〜11ヶ月頃)
・離乳食の形態
歯ぐきでつぶせる固さ
・食べ方の特徴
形のある食べ物を舌で移動させ、歯ぐきでつぶして食べることができるようになる
・この時期の子どもの様子と先生の与えるときのポイント
この時期になると手づかみ食べを始める子どももいて、最初のうちはうまく手を使うことができず、手のひらで食べ物を口に押し込む姿も見られます。
また、コップを使って飲もうとする子どもも出てきて、この時期から少しずつコップ飲みの練習を始める場合もあります。
園ではスティック状の離乳食を用意したり、手づかみ食べ用の別皿を用意したりするなど、子どもの食べる意欲を大切にした食事を意識しています。
ただ、子どもが食べ物を口に詰めこみすぎてしまうこともあるので、先生は「もぐもぐ」などの声をかけつつ丸呑みしないよう見守っています。
離乳完了期(1歳〜1歳6ヶ月頃)
・離乳食の形態
歯ぐきで噛める固さ
・食べ方の特徴
舌を自由自在に動かして、歯や歯ぐきで噛んだりつぶしたりして食べられるようになる。
上下の切歯が生えてきている場合は、手づかみした大きめの食べ物を前歯を使ってかじり取る練習も
できるようになる。
・この時期の子どもの様子と先生の与えるときのポイント
この時期の子どもは、スプーンやフォークを使って食べたがる子どもが出てきたり、食べる量や好き嫌いなどに個人差が出やすくなります。
先生は、子どもに固い食材を与えたときはしっかり噛めているかを確認し、食べることが難しそうな場合は大きさを調節しながら見守っています。
スプーンを使って離乳食を与える以外に、子ども自身もスプーンやフォークを使って食べることができるよう、手を添えて助けるときもあります。
また、「おいしいね」などの声かけをすることで、食事の時間が楽しい雰囲気になるように心がけています。
保育園の献立の考え方・献立例
保育園では「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)というガイドラインに書かれている1日にとりたいエネルギーや栄養素の量を参考に、「給与栄養目標量」という園での給食やおやつを提供する際のエネルギーや栄養素の目標量を作成し、それを基に主食・主菜・副菜の揃った栄養バランスのよい献立を考えています。(「児童福祉施設における「食事摂取基準」を活用した食事計画について」、厚生労働省)
子どもが1日に必要なエネルギーや栄養素のうち、昼食では1日全体のおおむね1/3、おやつでは1日全体の10~20%程度の量をとれるようにしています。
献立は3~5歳児用を基本とし、そこから分量やつぶす、刻むなどの調理の形態を変化させることで離乳食用に応用していることが多いです。
3〜5歳児用の食事から応用できない場合は、3~5歳児用と同じ食材などで別献立を作成し、食事とおやつで給与目標量を満たせるように栄養価計算もしています。
また、栄養バランスだけでなく、以下の工夫も盛り込みながら子どもたちが色々な食経験を積める献立を作っていることが多いです(園によって異なります)。
・様々な食材の素材の味を生かし、薄味を基本とする
・旬の材料や季節感のあるメニューを取り入れる
・和食や郷土食、世界の料理など、様々な食文化に触れるメニューを取り入れる
・菜園活動や園外活動(いちご狩り、稲刈り、芋掘りなど)の収穫物を利用する
・保育行事(節分、七夕、クリスマスなど)と関連のあるメニューを取り入れる
・子どもからのリクエストに応えたメニューを取り入れる
献立例
保育園の離乳食の献立の一例です。離乳食の段階が上がるにつれて、食材の種類やメニューが豊富になっていきます。
離乳初期(生後5〜6ヶ月頃)
・昼食
10倍粥、豆腐の煮つぶし、きゅうりのすり流し、にんじんスープ
・おやつ
離乳初期はおやつはなし
離乳中期(生後7〜8ヶ月頃)
・昼食
7倍粥、鶏ささみのトマト煮(鶏ささみは細かく刻み、とろみ付けする)、たまねぎのとろとろ煮、パンプキンスープ
・おやつ
パン粥、さつまいも粥(7倍粥)など
離乳後期(生後9〜11ヶ月頃)
・昼食
5倍粥~軟飯、白身魚のムニエル(食べにくい子どもには煮魚に変更し、とろみ付けをする)、にんじんスティック、わかめとねぎの味噌汁
・おやつ
にんじん蒸しパン、しらす粥(5倍粥~軟飯)など
離乳完了期(1歳〜1歳6ヶ月頃)
・昼食
軟飯、豚肉の生姜炒め(薄切り肉、一口大にカット)、粉ふき芋、チンゲンサイと大根の味噌汁
・おやつ
ひじきピラフ(軟飯)、ツナサンド(パン耳は落とす)など
食事の時間
園によって異なりますが、次のスケジュールは保育園での食事時間の一例です。
9:00〜9:10:おやつ(離乳後期~2歳まで)
12:00〜12:30:昼食(すべての園児)
15:00~15:30:おやつ(離乳後中期以降のすべての園児)
食材チェック表はなぜあるの?
食材チェック表とは、保育園での離乳食開始までに家庭で食べたことのある食材を確認するための書類です。
保育園で使用する食品は家庭で食べたことのあるものを基本としています。
子どもの安全を守るため、特に食物アレルギーの原因となる可能性がある食品については、必ず家庭で事前に食べてから園での提供を開始します。
食材チェック表は入園前の説明と共に保護者に渡されます。特に、園の離乳食でよく使用される食材を聞き取った上で、そういった食材から順に早めに何度か家庭で試しておきましょう。
また、毎月献立表が配布されるので、使用される食材を確認してそれらも優先的に試しておくと安心です。
離乳食開始までに、または次の離乳食の段階に上がるまでに、初めての食材のチェックをどこまで埋める必要があるかは園によって対応が分かれるので、先生に確認しておきましょう。
食物アレルギーがある場合の離乳食の対応
子どもに食物アレルギーがある場合には、入園前の面談や、食物アレルギーが判明した時点で随時、保育園の先生に伝えましょう。
保育園では保護者と協議した上で、保育園での離乳食や生活などで食物アレルギーとなる食品を除去するなどの特別な配慮や対応が必要とされた場合に、「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」という、保護者からの依頼を受けて医師が記入する書類を保護者に配布することになっています。
(「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン (2019 年改訂版) 」、厚生労働省より)
この書類をかかりつけ医に渡して記載してもらい、保育園に提出し、それにもとづき園での生活や食事の具体的な対応について、園児と関わる職員や給食に関わる職員と保護者が協議して、対応を決めていきます。
このとき離乳食に関しては、必要に応じて、食物アレルギーとなる食品を除去して代わりとなる食材を使った離乳食を提供する、ほかの園児の離乳食と間違えて与えることがないように提供する方法を考えるなどの対応を決めていきます。
具体的な離乳食の内容としては、たとえば牛乳や乳製品に食物アレルギーがある場合は代わりに豆乳を使うなどのように、食物アレルギーとならない食品の中から栄養面や調理の特性などを踏まえて代わりとなる食品を選んで対応することが多いです。
また、1年に1回以上、保護者と保育園の職員で、食物アレルギーの状況や対応などの情報を共有するために面談をし、必要に応じて「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」を再提出するなど、対応の見直しを行うことになっています。
保育園で人気の離乳食の時期のおやつ
保育園で人気のおやつレシピ スイートポテト(1歳〜1歳6ヶ月頃から)
大人が食べてもおいしいおやつの代表です。食物アレルギーをお持ちのお子さま向けに、牛乳と卵を使わないアレンジも紹介しています。
保育園で人気のおやつレシピ 超簡単!きな粉おにぎり(1歳〜1歳6ヶ月頃から)
きな粉の甘味と香ばしさをまとったおにぎりです。ご飯を軽くつぶすことで、おはぎのようなもちもち感も味わえます。
保育園で人気のおやつレシピ お麩ラスク(生後9〜11ヶ月頃から)
フライパン1つで作れる、サクサクとした食感が楽しいおやつです。お麩は口溶けがよいので飲みこみやすく、離乳食にぴったりです。
保育園で人気のおやつレシピ マカロニきなこ(生後9〜11ヶ月頃から)
シンプルな材料・調理法にもかかわらず、子どもが喜んでパクパク食べてくれるおやつです。マカロニの水気をしっかりと取ってからきな粉と和えるのが、おいしく作るポイントです。
アレルギーについての注意点
レシピには、特定のアレルギー体質を持つ場合にアレルギー反応を引き起こすおそれのある食品を含む場合がございます。
また、初めて召し上がるお子さまには注意が必要ですので、様子を見ながら少量から食べさせてください。
[特定原材料] えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生
[特定原材料に準ずるもの] アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、マカダミアナッツ
「料理を楽しむにあたって」の「乳幼児への食事提供について」もご参考ください。
参考
堤ちはる・土井正子編著、『子育て・子育ちを支援する子どもの食と栄養』、萌文書林、2018年
「児童福祉施設における『食事摂取基準』を活用した食事計画について」、厚生労働省
「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン (2019 年改訂版)」、厚生労働省
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